「日本人」カテゴリーアーカイブ

川面凡児の禊行を体験

 古神道の大家、川面凡児の禊行を体験するため、筆者は2010年6月6日早朝、東京都練馬区にある稜威会本部道場を訪れた。
川面が谷中三崎町に「大日本世界教・稜威会」を設立したのは、明治39年春。「信仰を統一し、解釈を統一し、実行を統一し、世道を解頽を救ひ、人身の腐敗を救ひ、以つて個人を統一し、家庭を統一し、国家を統一し、世界宇宙を統一し、各自按分平等の自由幸福平和を獲得せしめん」とその目的を掲げた。本部は大正12年に大久保に移転し、川面没後の昭和17年に現在の練馬区関町へ移った。禊祓道場が新築落成されたのは、平成3年である。武蔵関公園に隣接する敷地は、豊かな自然に恵まれ、修行に相応しい場所だ。 続きを読む 川面凡児の禊行を体験

橋本増吉関連文献

 橋本増吉(1880~1956年)は、明治13年6月12日に長崎県で生まれ、東京帝大を卒業。慶應大教授を経て、東洋大学長に就いた。古代日中関係、中国古代の天文・暦法の研究で業績を残した。

書籍

著者 書籍写真 書名 出版社 出版年 備考
橋本増吉 邪馬臺国論考 3 平凡社 1997 (東洋文庫 620)
橋本増吉 邪馬臺国論考 2 平凡社 1997 (東洋文庫 616)
橋本増吉 邪馬臺国論考 1 平凡社 1997 (東洋文庫 613)
池内宏、矢野仁一、橋本増吉、浜田耕作 東洋歴史大辞典 縮刷復刻版 臨川書店 1986
橋本増吉 支那古代暦法史研究 東洋書林 1982   続きを読む 橋本増吉関連文献

近衛篤麿関連文献

書籍

著者 書籍写真 書名 出版社 出版年 備考
李廷江編著 近衛篤麿と清末要人 : 近衛篤麿宛来簡集成 原書房 2004年4月 明治百年史叢書 456
山本茂樹 近衞篤麿 : その明治国家観とアジア観 ミネルヴァ書房 2001年4月 MINERVA日本史ライブラリー 10
工藤武重 近衛篤麿公 大空社 1997年5月
近衛篤麿著、近衛篤麿日記刊行会編 近衛篤麿日記 別巻 鹿島研究所出版会 1969年
近衛篤麿著、近衛篤麿日記刊行会編 近衛篤麿日記 第5巻 明治35-36年及び書類・書簡総目録 鹿島研究所出版会 1969年   続きを読む 近衛篤麿関連文献

皇道翼賛青年連盟

近衛新体制下の維新陣営の団結

穂積五一

三上卓先生は、近衛新体制運動が動き出す中で、昭和15年7月初旬、七生社の穂積五一らと日本主義陣営の横断的組織の結成に動き、同年8月16日 学士会館にて「翼賛体制建設青年連盟」(後に皇道翼賛青年連盟と決定)を結成することを決めた。 『葦牙─青春の軌跡』(昭和60年)によると、「翼賛体制建設青年連盟」は以下のような体制でスタートした。 続きを読む 皇道翼賛青年連盟

EAECを支持した古川栄一

 

元外務官僚の古川栄一は、『貿易と関税』、『世界週報』、『諸君!』等を舞台に、1990年にマハティール首相が提唱した東アジア経済会議(EAEC)構想を支持する言論活動を展開し、志半ばで斃れた。古川は、1953年外務省入省、在タイ大使館参事官を経て、国連アジア太平洋開発センター副所長を務め、1991年に日本国際戦略センターを設立した。
1997年12月に「ASEAN+日中韓」(ASEAN+3)首脳会議がクアラルンプールで開催された際の日本政府の混乱について、古川は次のように書いている。 続きを読む EAECを支持した古川栄一

興亜論者とロシアの宗教的思想

大川周明の道徳観形成にも影響を与えたロシアの思想家ウラジミール・ソロヴィヨフ(Vladimir Solovyov)は神秘主義の哲学的解明をテーマに独自の思想を展開した。彼は、1875年にはインド哲学、グノーシス哲学、、中世哲学を研究するためにロンドンに留学している。 続きを読む 興亜論者とロシアの宗教的思想

大アジア協会

アメリカの排日移民法に対する反発が一気に高まる中で、大正13(1924)年7月10日、アジア民族策協議会の会合が政友ビルジング・ホールで開催され、この場で大アジア協会が発足した。当日の参加者には、大石正巳、岡崎国臣、小川平吉、上杉慎吉、秦豊助、岩崎勲、井上敬之助、田中善立らが参加していた。

当日決まった大アジア規約は以下の通り。

第1条 本会は大アジア協会と称す
第2条 本会は大アジアの発達を図り以て世界の平和と全人類の福祉に貢献することを目的とす
第3条 本会は総本部を東京におき本部または支部をアジア各地におく
第4条 本会は発起人及び賛成人を以て組織す
第5条 本会は世話役並びに相談役を以て会務を進行す
第6条 本会は必要に応じ顧問、嘱託、講師をおくことを得
第7条 本会の経費は会費及び寄付金を以てこれに充て、会計年度を4月1日より翌年3月31日までと定む
会計に関する事務は世話役これを取扱ふ
第8条 本会は春秋2期に定期大会を開き必要に応じ臨時大会を開く

(『報知新聞』1924年7月11日付)。

サドルを読む─イスラーム経済論

 

イスラーム経済論

ムハンマド・バーキルッ=サドル
(http://www.ummah.org.uk/Rahmat/person.htmより)
ムハンマド・バーキルッ=サドル
 ムハンマド・バーキルッ=サドル(Muhammad Baqir as-Sadr)は1935年、イラクのバグダッドで生まれた。早くも10歳のときに、イスラームの歴史のレクチャーしはじめ、11歳で論理学の勉強を開始したと語りつがれている。このように驚くべき早熟で、20代半ばにして、すでに学者としての地位を確立した。
Iqtisad-naのほか、イスラーム哲学、イスラーム法学をはじめ、論理学、政治学、社会学と極めて幅広い学術的成果を残した。
サドルは、イランのホメイニとならぶシーア派の指導者としても活躍し、革命後のイラン経済に、サドルの経済論は取り入れられた。だが1980年、敵対するバース党のフセイン政権によって処刑され、45年の短い生涯を閉じた。
 イスラーム金融システムは、イスラーム経済の一側面に過ぎない。それは、イスラーム経済全体の中で位置づけられる必要があるのだ。
ところで、国際金融システムの限界に直面し、資本主義システムの問題点が改めて指摘されるようになっている。すでに、物質至上主義による精神的退廃・人間性の喪失、各国内部における経済格差、国家間の経済格差(南北問題)、自然環境破壊といった問題が指摘されて久しい。マルクス主義は、資本主義の問題を鋭く指摘したが、実際のマルクス主義経済体制は別の弊害を生み出した。こうした中で、イスラーム経済論の果たす役割は小さくないと指摘されている。
ところが、イスラーム経済論は日本には未だあまり紹介されておらず、日本語で読める体系的イスラーム論は限られている。
黒田寿郎教授によるムハンマド・バーキルッ=サドルの著作の邦訳が、体系的なイスラーム経済論の日本語テキストの唯一のものとも言われている。
ここでは、サドルの『イクティサードナー』(Iqtisad-na)の邦訳『イスラーム経済論』(未知谷)をもとに、イスラーム経済論のポイントについて紹介しておきたい。 続きを読む サドルを読む─イスラーム経済論

「音のパワー」─田中逸平の仏教感

音のパワー

 映画「あつもの」で平成一二(二〇〇〇)年の毎日映画コンクール助演男優賞を受賞するなど、俳優としても国際的活躍を続けているヨシ笈田は、演出家としても名高い。平成一〇(一九九八)年には、初のオペラ演出にも挑戦している。彼は、南フランスのエクス・アン・プロヴァンス音楽祭でベンジャミン・ブリテンのオペラ「カーリュー・リバー」を演出、聴衆に「魂の底まで貫き通す感動」を与えたという。
音楽ジャーナリストの下田季美子氏のレポートによると、笈田はまず、無名の若い歌手たちを起用、無国籍的な舞台を設定し、文化的背景の異なる歌手たちに「音のパワー」について多く語った。笈田は言霊に興味を持ち、真言密教の声明、念仏、神道の祝詞などで体験されるような音による精神世界への到達をもくろんだのである。下田氏は、笈田の試みを「日本的な精神性をヨーロッパの文化的土壌の中で普遍化した」ものだともいう(1)。この事実は、音のパワーが、民族、宗教を超えて普遍的な感動を与えることを示しているのではなかろうか。 続きを読む 「音のパワー」─田中逸平の仏教感

イスラーム経済論関連書籍

関連書籍類

著者 書籍写真 書名 出版社 出版年 備考
吉田悦章 イスラム金融入門 東洋経済新報社 2007年
糠谷英輝 拡大するイスラーム金融 蒼天社出版 2007年
中沢新一 緑の資本論 緑の資本論 集英社 2002年
黒田美代子 商人たちの共和国―世界最古のスーク、アレッポ 藤原書店 1995年
ムハンマド・バーキルッ=サドル著、黒田寿郎、岩井聡訳 無利子銀行論 未知谷 1994年   続きを読む イスラーム経済論関連書籍