以下に、『国体文化』(令和8年4月号)に掲載された書評の一部を紹介。
欧米中心の国際秩序が動揺している。昨今では、ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギンによるユーラシア主義や習近平による新中華思想など、西洋近代の国家のあり方を根底から疑う議論も出始めた。習近平はさておき、ドゥーギンは物質文明に染まる西欧やアメリカなどとは対照的に、ロシアの社会には神への祈りや農本的な共同体が残っており、ロシアはそうしたスラブの精神を大事にするべきだと説いた。そのうえで今後の世界について、伝統精神を大事にする共同体同士による多元的連帯を構想している。こうした議論は、アメリカ主導のグローバリズムが失敗していく中で注目されてきた。アメリカ主導のグローバリズムとは、新自由主義的な市場原理に絶対の重きを置く経済制度であり、リベラル・デモクラシーに代表される政治制度でもある。これらが各文化の独立性を奪いつづけてきたことに対する根本的な疑問なのである。
しかし、そうした議論は既に戦前日本において出されていた。大川周明のアジア主義がそれである。本書は、大川周明のアジア主義を参照しつつ西洋近代終焉後の世界秩序について考える思想書でもあるのだ。
