興亜論者とロシアの宗教的思想

大川周明の道徳観形成にも影響を与えたロシアの思想家ウラジミール・ソロヴィヨフ(Vladimir Solovyov)は神秘主義の哲学的解明をテーマに独自の思想を展開した。彼は、1875年にはインド哲学、グノーシス哲学、、中世哲学を研究するためにロンドンに留学している。

 このソロヴィヨフにも影響を与えた同時代の思想家が、ニコライ・フョードロフ (Nikolai Fedorov)である。彼は、あらゆるものを分離分化する近代の知を批判し、精神と物質の分断に反対し、肉体の復活の可能性さえ強調した。彼は、科学技術によって地球全体を完全に統御し、不死を獲得し、祖先を肉体的に復活させることによって全人類の共同体を作るという構想を描いた。彼の思想を受け継ぎ、実際に宇宙ロケット工学の開拓者となったツィオルコフスキイは、宇宙全体にみなぎる生命をめぐる汎心論的な「宇宙哲学」の理論家でもあった(『毎日新聞』1997年3月23日付朝刊)。
スヴェトラーナ・セミョーノヴァは、フョードロフの評伝をまとめ、それは亀山郁夫、安岡治子両氏によって翻訳されている(『フョードロフ伝』水声社)。
また、セミョーノヴァがガーチェヴァとともにまとめた『ロシアの宇宙精神』には、ソロヴィヨフの「自然における美」、「愛の意味」、「キリストは蘇りぬ!」とともにフョードロフの「共同事業の哲学」が収録されている。
Please follow and like us:

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください