竹中平蔵氏の発言(「派遣法について私は何も言ってないんですよ」)に対する検証が開始されている。
2014年5月10日に放送された「激論コロシアム」(テレビ愛知)。経済評論家の三橋貴明氏との討論で。
[tube]https://www.youtube.com/watch?v=P1xPCYpxKxI[/tube]
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150778
竹中平蔵氏の発言(「派遣法について私は何も言ってないんですよ」)に対する検証が開始されている。
2014年5月10日に放送された「激論コロシアム」(テレビ愛知)。経済評論家の三橋貴明氏との討論で。
[tube]https://www.youtube.com/watch?v=P1xPCYpxKxI[/tube]
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150778
いま、パソナなどの人材派遣会社は、さらなる市場拡大をもたらす労働者派遣法の改正を待ち望んでいる。
業界の利益拡大のために労働者を犠牲にするような法改正が罷り通っているのは何故なのか。「シャブ&ASKA」事件によって、それがいくらかわかってきた。
労働者派遣事業を所管する厚生労働大臣の田村憲久氏は、大臣就任後もパソナの接待施設「仁風林」に出入りしているという。改正案に反対することを期待されている民主党も、前原誠司元代表がズブズブの関係。前原氏から頼まれて南部靖之代表は十数人の「民主党落選議員」を社員として雇い、大金を渡しているとも報じられた。これではまともな法改正ができるはずがない。
以下、『月刊日本』平成26年6月号に掲載された、法政大学大原社会問題研究所名誉研究員の五十嵐仁氏のインタビュー記事「労働者を食い物にする経営者・政治家・御用学者」を転載する。
五十嵐 仁「労働者を食い物にする経営者・政治家・御用学者」
労働側を排除して労働政策を決めるしくみ
── 安倍政権では、再び労働分野の規制緩和が加速しています。
五十嵐 規制緩和は多様な働き方ができるようにすることであり、労働者にとってもメリットがあると説明されています。しかし、仮にそうであるなら、なぜ労働者の側から規制を緩和してほしいという要望が出てこないのでしょうか。 続きを読む 「シャブ&ASKA」事件と労働者派遣法改正─パソナの利益のために働く政治家たち
いま、竹中平蔵氏は、産業競争力会議や国家戦略特区諮問会議で規制改革を推進し、國體を破壊しようとしている。2014年5月22日、週刊誌各紙がその竹中氏が会長を務めるパソナグループのことを報じた
「“シャブ愛人”栩内香澄美容疑者はパソナ人材派遣代表の接待秘書」「“舞妓愛人”も派遣……パソナ南部代表と芸能界汚染マップ」(『週刊文春』)
「覚醒剤漬けで快楽の虜! 人材派遣パソナ「南部代表」の超美人“秘書” 」「ドラッグ・カップルが出会った「パソナ迎賓館」の大宴会に「政治家&芸能人」」(『週刊新潮』)
同日の東京株式市場で、パソナグループは一時年初来安値となる460円をつけた。
わが国の社稷を無視して国際財閥の利益を拡大するための「カイカク」を、いまこそ粉砕する必要がある。平成26年2月21日に開かれた「第3回 国家戦略特別区域諮問会議」で竹中平蔵氏らが提出した「国家戦略特区 当面の対応について」には、外国人労働者受け入れなど、国家解体のための「カイカク」が謳われている。
〈1.区域指定に向けての考え方
3月の特区指定にあたっては、ダボスでの総理のスピーチ内容(2年間で岩盤規制すべてに突破口)の実現に向けた推進力を内外に示す観点からも、スピーディに、かつ、日本の景色を変える効果を実現することが重要。
このため、
1)「広域都市圏」は、国の側の特区関係者も全面的にコミットできるよう、区域数は絞って指定。
2)これに加えて、突出して革新的な取組(岩盤規制改革を含め)を行う小規模な地域を実験場として一括指定する、いわゆる「バーチャル型」指定(革新的改革事業拠点の指定)を行うべき。
続きを読む 第3回 国家戦略特別区域諮問会議(平成26年2月21日)─社稷を思う心なし
『日刊ゲンダイ』(2014年1月21日付)「構造改革派が支配 竹中平蔵が牛耳る『国家戦略特区』の実態」に、佐々木実氏のコメントが載っている。以下、『月刊日本』2月号に掲載された佐々木氏インタビュー記事の一部を転載する。
〈いよいよ今年から国家戦略特区が動き出します。『市場と権力』(講談社)で竹中平蔵氏の実像に迫ったは、特区法の成立と特区諮問会議の設置によって構造改革派が政策決定を牛耳る仕組みができあがってしまったと警鐘を鳴らしています。特区の危険性について、佐々木氏に聞きました。
竹中平蔵氏の復活が意味するもの
── 国家戦略特区諮問会議の民間議員に竹中平蔵氏が就任しました。
佐々木 特区を実質的に主導してきたのが竹中氏であることは明白です。特区構想は、2013年5月10日に開催された「第1回国家戦略特区ワーキンググループ」から本格的に動き始めましたが、その1カ月ほど前の4月17日の産業競争力会議で、竹中氏が「立地競争力の強化に向けて」と題するペーパーを用意しました。そこには、「経済成長に直結する『アベノミクス戦略特区』(仮称)の推進」が打ち出されていたのです。
新藤義孝・地域活性化担当大臣が5月10日の会合のために用意した「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」というペーパーは、まさに竹中氏の主張に基づくものだったのです。新藤氏は、これまでとは次元の違う特区を創設し、総理主導の下、強力な実行体制を構築すると明記し、総理を長とし、民間有識者が参画する諮問会議の設置などを提案したのです。しかも、新藤氏が用意した資料には、参考として竹中氏の「アベノミクス戦略特区」構想がわざわざ添付されていたのです。 続きを読む 佐々木実氏「国家戦略特区は『1%が99%を支配するための政治装置』だ」
2013年10月1日に開催された産業競争力会議で、人材派遣会社パソナ・グループ会長を務める竹中平蔵氏がまとめた資料が配布された。ここには、パソナの利益拡大のために、一気に雇用分野における新自由主義路線を加速させようという意図がにじみ出ているように見える。 同日配布された日本経済再生本部がまとめた「成長戦略の当面の実行方針」には、「雇用制度改革・人材力強化」として次のように謳われている。
「民間人材ビジネス活用の加速や待機児童の解消など、人材力強化や雇用制度改革に向けた取組を早期に進めるとともに、国立大学改革プランを本年10月を目途に取りまとめ、人事給与システム改革をはじめとする大学改革の加速を図る。
続きを読む パソナ・グループ会長・竹中平蔵氏と雇用分野の規制緩和
以下は、『月刊日本』2013年7月号に掲載された佐々木実氏のインタビュー記事「竹中平蔵氏の正体」の全文英訳です。
A True Picture of Heizo Takenaka
Minoru Sasaki, journalist
Heizo Takenaka as Seeker of Regulatory Reform in the Field of Labor
NIPPON: In your book Shijo to kenryoku [Markets and Power] (Kodansha), you focus on depicting the real Heizo Takenaka. The book is full of suggestions for people who wonder just how it was that neoliberalism came to be introduced to Japan.
SASAKI: Takenaka said at the first meeting of the Industrial Competitiveness Council (ICC) on January 23, 2013, that “there is no magic wand for growth strategy; regulatory reform that gives corporations freedom and makes them more muscular is the first element of growth strategy.” The following day, Prime Minister Shinzo Abe proclaimed the necessity of regulatory reform using a manner of speaking that followed Takenaka’s statement almost to the letter. It was a scene that was symbolic of the closeness between Prime Minister Abe and Takenaka.
Takenaka had played a major role during the years of the Koizumi administrations. He was subsequently the subject of various criticisms, and during the years of the Democratic Party of Japan administration it seemed for a moment that he might have become a has-been. However, he survived, was picked up by Prime Minister Abe, and is now the leading neoliberal ideologist.
安倍首相が日本経済再生本部内に「産業競争力会議」を設置し、そのメンバーに竹中平蔵氏を迎えることが明らかになった。
小泉政権では、「官から民へ」のスローガンによって、規制改革、民営化が推進されたが、今度は「産業競争力強化」という、誰もが反対しにくいスローガンによって、規制改革が断行されようとしているのである。一部では、安倍内閣は経産官僚内閣とも揶揄されているが、経産官僚流の産業政策と新自由主義の合体こそ、この内閣の経済政策の本質なのではないか。
すでに、日本経済再生本部は「中間とりまとめ」(平成24年11月16日)において、競争力強化に向けた新ターゲティングポリシーの導入を強調していた。このこと自体に異論はない。
問題は、その方策として「市場創出・制度改革」として、第一に「即効性のある規制緩和策(研究者等の労働時間の柔軟化、介護事業の人員配置の柔軟化など)の早急な導入」を挙げている点だ。この方針に基づいて、労働分野の規制改革が断行される可能性が高い。
そして、「戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界最先端にするための「国際先端テスト」(国際比較した上で規制などの国内の制度的障害を撤廃する基準)を導入する。」と謳っている点が最も重大である。
自民党は選挙戦でも「大胆な規制緩和」と題して、「戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界的先端にするための『国際先端テスト』を導入し、国際比較した上で規制などの国内の制度的障害を撤廃します」と公約していた。
「国際先端テスト」をテコにして、新自由主義的な規制改革が推し進められる危険性が高いということである。その旗を振るのが竹中氏だということだ。
装いを変えた新自由主義に対抗するためには、「各産業分野で規制が少ないほど競争力は強化される」いうドグマを打ち破る必要がある。
日本維新の会「骨太 2013-2016」(平成24年11月29日)は、「経済・財政を賢く強くする」の中で、基本方針として次のような項目を並べている。
・公共工事を拡大するのでなく、日本の競争力を高める徹底した競争政策を実施する
・政府・自治体の予算事業を徹底して民間に開放・新規参入を促す
・保育の成長産業化
・医療・福祉の成長産業化
・自由貿易圏を拡大する=TPP交渉参加
★労働市場を流動化させる
続きを読む 日本維新の会は「小泉・竹中路線(新自由主義)の全面展開」だ!
小泉・竹中の新自由主義路線は、「平成の政商」と呼ばれる宮内義彦氏が旗を振り、労働分野にも強引に持ち込まれていった。この流れに終止符を打ったのが、2009年の政権交代であった。同年9月9日、民主党、社会党、国民新党の連立与党は、次のように合意した。
「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる。
だが、ここに来て政商たちは新自由主義路線の本格的復活を目論んでいるように見える。2012年1月、橋下徹氏は宮内義彦氏やソフトバンクの孫正義社長らと会談したという。また、人材派遣パソナの南部靖之社長は橋下氏が大阪府知事選に出馬した際に応援したという(『週刊ポスト』2012年9月7日号)。
橋下氏の「維新八策」には、「雇用政策」として次のように書かれている。
【理念、基本方針】
・民民、官民人材流動化の強化
・徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)
・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない
・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)
・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)
・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現)
・グローバル人材の育成
・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用
橋下氏の登場は小泉路線の再来と期待されているのか。
労働分野における新自由主義路線(効率・競争万能)をめぐる路線対立を、政党間の対立として捉えるべきではない。規制改革会議などを通じて政商たちは常に国の政策を動かそうとしてきたのだ。労働者派遣法を骨抜きにした民主党の変節もまた、そうした視点からとらえると判りやすい。
2006年9月26日の小泉内閣総辞職以来、一部政商による労働法制改悪の流れは転換しつつあった。同年12月13日には、自民党「雇用・生活調査会」の初会合が開かれた。これに関して、後藤田正純衆議院議員は、『週刊エコノミスト』(2007年1月2・9日迎春合併号)で「これまで、労働法制は規制緩和の一点張りだったが、これからは党が責任を持って、規律ある労働市場の創設を働きかけていく」と述べていた。
法政大学教授の五十嵐仁氏は『労働再規制』(ちくま新書)において、自民党「雇用・生活調査会」発足に象徴される動きを、「政の逆襲」の始まりと表現し、さらに「官の逆襲」として厚生労働省の動きについて分析している。 続きを読む 「大御宝」の生活を破壊する労働分野の新自由主義①─「政商とその御用学者」 vs 厚生労働省