投票を9日後に控えた平成26年12月5日、新自由主義者の巣窟「万年野党」(理事長:宮内義彦)が興味深い記事を掲載した。「総選挙版 全衆議院議員の三ツ星評価が完成」と題した記事で、以下のように書かれていた。
「与党議員の中には……改革を進めていかなければいけないと考えている議員たちがいる。こうした事を感じている有権者は、おそらく与党に投票する事になるのだろう。しかし一方で、こうした改革を進めていこうという議員たちの足を引っ張ろうというのは、必ずしも野党だけではない。むしろ、与党の中に、改革に反対する勢力があり、野党以上に足を引っ張るというケースがある。一方で、国会の報道などを見て、与党が進める改革にさえ、なんでも反対するのが野党という印象を持っている人もいるだろう。しかし、野党の中には、与党の改革よりもさらに進んだ改革や、さらに効果的な改革を代案として提案する議員たちもいる。もちろん、野党にはそんな議員ばかりだというわけではない。……政党を選ぶ選挙ではなく、この国の将来のためにも、与党の中でも改革派の議員、野党の中でも改革派の議員をと選んでいくべきではないだろうか」
「改革」というと聞こえはいいが、新自由主義者の望む改革とは、グローバル企業に奉仕し、日本国民の生活、安全を脅かし、日本の伝統文化や国体を破壊することではないか。
いまこそ「規制改革」の正体を暴く必要がある。「規制」とは、国民生活、伝統文化、国体を守るための共同体のルールであり、「改革」とは「破壊」なのだと理解すべきである。
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NPO法人 万年野党の正体─新自由主義者の圧力団体
NPO法人 万年野党とはいったい何なのか。竹中平蔵、宮内義彦、髙橋洋一、八田達夫、八代尚宏といった名だたる新自由主義者が名を連ねている。モルガン・スタンレーMUFG証券㈱・チーフエコノミストのロバート・フェルドマンも入っている。
活動内容として、「政策の監視と対案の提示」が挙げられているが、新自由主義に反する政策を監視し、さらなる新自由主義的対案を提示するということなのか。また、国会議員の評価をするというが、これまた新自由主義に忠実かどうかを尺度にして評価するということなのか。なぜわが国の国会議員が外国人に監視されなければいけないのか。
まさに、万年野党の正体は竹中平蔵を中心とする新自由主義者の圧力団体である、といっていいだろう。
5月26日に設立記念イベントを行ったというが、その場所がなんとスターライズタワー。ここはパソナが所有する施設だ。
佐々木実氏「国家戦略特区は『1%が99%を支配するための政治装置』だ」
『日刊ゲンダイ』(2014年1月21日付)「構造改革派が支配 竹中平蔵が牛耳る『国家戦略特区』の実態」に、佐々木実氏のコメントが載っている。以下、『月刊日本』2月号に掲載された佐々木氏インタビュー記事の一部を転載する。
〈いよいよ今年から国家戦略特区が動き出します。『市場と権力』(講談社)で竹中平蔵氏の実像に迫ったは、特区法の成立と特区諮問会議の設置によって構造改革派が政策決定を牛耳る仕組みができあがってしまったと警鐘を鳴らしています。特区の危険性について、佐々木氏に聞きました。
竹中平蔵氏の復活が意味するもの
── 国家戦略特区諮問会議の民間議員に竹中平蔵氏が就任しました。
佐々木 特区を実質的に主導してきたのが竹中氏であることは明白です。特区構想は、2013年5月10日に開催された「第1回国家戦略特区ワーキンググループ」から本格的に動き始めましたが、その1カ月ほど前の4月17日の産業競争力会議で、竹中氏が「立地競争力の強化に向けて」と題するペーパーを用意しました。そこには、「経済成長に直結する『アベノミクス戦略特区』(仮称)の推進」が打ち出されていたのです。
新藤義孝・地域活性化担当大臣が5月10日の会合のために用意した「世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくる」というペーパーは、まさに竹中氏の主張に基づくものだったのです。新藤氏は、これまでとは次元の違う特区を創設し、総理主導の下、強力な実行体制を構築すると明記し、総理を長とし、民間有識者が参画する諮問会議の設置などを提案したのです。しかも、新藤氏が用意した資料には、参考として竹中氏の「アベノミクス戦略特区」構想がわざわざ添付されていたのです。 続きを読む 佐々木実氏「国家戦略特区は『1%が99%を支配するための政治装置』だ」
「大御宝」の生活を破壊する労働分野の新自由主義①─「政商とその御用学者」 vs 厚生労働省
小泉・竹中の新自由主義路線は、「平成の政商」と呼ばれる宮内義彦氏が旗を振り、労働分野にも強引に持ち込まれていった。この流れに終止符を打ったのが、2009年の政権交代であった。同年9月9日、民主党、社会党、国民新党の連立与党は、次のように合意した。
「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる。
だが、ここに来て政商たちは新自由主義路線の本格的復活を目論んでいるように見える。2012年1月、橋下徹氏は宮内義彦氏やソフトバンクの孫正義社長らと会談したという。また、人材派遣パソナの南部靖之社長は橋下氏が大阪府知事選に出馬した際に応援したという(『週刊ポスト』2012年9月7日号)。
橋下氏の「維新八策」には、「雇用政策」として次のように書かれている。
【理念、基本方針】
・民民、官民人材流動化の強化
・徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)
・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない
・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)
・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)
・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現)
・グローバル人材の育成
・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用
橋下氏の登場は小泉路線の再来と期待されているのか。
労働分野における新自由主義路線(効率・競争万能)をめぐる路線対立を、政党間の対立として捉えるべきではない。規制改革会議などを通じて政商たちは常に国の政策を動かそうとしてきたのだ。労働者派遣法を骨抜きにした民主党の変節もまた、そうした視点からとらえると判りやすい。
2006年9月26日の小泉内閣総辞職以来、一部政商による労働法制改悪の流れは転換しつつあった。同年12月13日には、自民党「雇用・生活調査会」の初会合が開かれた。これに関して、後藤田正純衆議院議員は、『週刊エコノミスト』(2007年1月2・9日迎春合併号)で「これまで、労働法制は規制緩和の一点張りだったが、これからは党が責任を持って、規律ある労働市場の創設を働きかけていく」と述べていた。
法政大学教授の五十嵐仁氏は『労働再規制』(ちくま新書)において、自民党「雇用・生活調査会」発足に象徴される動きを、「政の逆襲」の始まりと表現し、さらに「官の逆襲」として厚生労働省の動きについて分析している。 続きを読む 「大御宝」の生活を破壊する労働分野の新自由主義①─「政商とその御用学者」 vs 厚生労働省
民主党の裏切り─労働者派遣法改正案を骨抜きに
宮内義彦氏と人材業界トップが推進した労働分野の規制改革
労働分野の規制改革は、新自由主義政策を推進する小泉政権下で一気に加速されたが、その際そのアクセルを踏んだのが、オリックス代表取締役会長兼グループCEOの宮内義彦氏を議長とする総合規制改革会議である。
問題は、労働分野の規制改革が、関係業界の利益を拡大するために進められてきたことである。驚くことに、総合規制改革会議の委員には派遣会社など人材関連企業のトップが三人入っていた。株式会社ザ・アール代表取締役社長の奥谷禮子氏、株式会社リクルート代表取締役社長の河野栄子氏、株式会社イー・ウーマン代表取締役社長の佐々木かをり氏である。
総合規制改革会議の人材(労働)ワーキンググループ主査を務めたのは、慶應義塾大学商学部教授の清家篤氏である。
総合規制改革会議は、平成13年7月24日に発表した「重点6分野に関する中間とりまとめ」の中で、次のように主張していた。 続きを読む 民主党の裏切り─労働者派遣法改正案を骨抜きに