「産業競争力会議」カテゴリーアーカイブ

国会で問題になった竹中平蔵①

平成26年5月29日の参議院厚生労働委員会で、竹中平蔵の発言が問題になった。
以下は、小池晃議員と田村憲久厚生労働大臣のやりとり。

小池晃
時間で測るのが労働者保護の大原則じゃないですか、労働法の。そこをやっぱり厚生労働省自らが例外をつくるような議論をするのはおかしいですよ。
今日お配りしている資料の最後に、雑誌で竹中平蔵氏がこんなことを言っているわけです。上の方ですが、ようやく話が進もうとしているので、制度設計は慎重に、非常に限られた範囲で行うこともあり得ると。ただ本当に柔軟な働き方をしたいと思っている人はたくさんいる、残業代ゼロになるとあおる議論もあるが、今でもアーティストは残業代ゼロなんですよと。
こういうアーティストだとか浅はかな認識で、労働者保護の大原則である労働時間規制に穴を開けていいはずがないじゃないですか。しかも、ここにはっきり本音が出ていると思うんだけれども、最初は極めて限定すると。しかし、これは一旦入れてしまったらば大きく広げようという狙いも、はっきり露骨に言っているわけですね。
私は、この間の労働法制の改悪の歴史を見れば、派遣法なんか典型ですよ。やっぱり、例外だといって始めたものがどんどんどんどん拡大していったと、一旦例外をつくってしまったら果てしなく広がってきたと、これが歴史の教訓なんですよ。労働者をやっぱり守る、そのためにもう本当に近代も含めて闘いで勝ち取ってきたのが労働時間規制じゃないですか。それを取り払うようなことを、厚労省が財界の圧力に屈してこんな提案を行ったというのは私は許せないことだというふうに思っています。
この産業競争力会議での厚労省提案、大臣の提案、撤回してください。
続きを読む 国会で問題になった竹中平蔵①

月刊日本講演会<竹中平蔵とは何者か!〝新自由主義に呑み込まれたアベノミクス〟>

以下の通り『月刊日本』講演会を開催いたします。
是非ご参加いただければ幸いです。

<竹中平蔵とは何者か!〝新自由主義に呑み込まれたアベノミクス〟>

●講 師/佐々木実(大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家)
●日 時/2014年7月4日(金)午後6時開演(5時30分開場)
●会 場/憲政記念館・第一会議室(東京都千代田区永田町1-1-1)
●会 費/1,000円(資料代等を含む)
●予約・問合せ/03-5211-0096 /gekkan.nippon@gmail.com(『月刊日本』編集部)

「構造改革」や「規制改革」という錦の御旗のもとで、いったい何が繰り広げられてきたのか? その中心にはいつも、竹中平蔵という男がいた。そしていま、彼は規制改革で利益を享受するパソナグループ会長の地位にありながら、産業競争力会議議員、国家戦略特区諮問会議議員として規制改革を推進しようとしている。
竹中平蔵の本質と正体とは、いったい何なのか。 乞う御期待!

水道民営化の危険性を考えるための映画

 
 『月刊日本』2014年7月号(6月21日発売)で、安倍政権が推進する水道民営化の危険性についての記事を作成するため、水道民営化に関わるDVDを2本観た。
 1本は、モード・バーロウとトニー・クラークによる告発本『「水」戦争の世紀』をベースとしたドキュメンタリー映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』。深刻化する水不足の状況からはじまり、水紛争にまで発展したボリビアの水道民営化や、水ビジネスに関わる利権を告発している。多くの証言が映画の主張に説得力を与えている。
 もう1本は、イシアル・ボジャイン監督の『ザ・ウォーター・ウォー』。新大陸を発見したコロンブスの映画を撮影するためにボリビアへ赴いた映画撮影クルーが、コチャバンバでの水紛争に遭遇するというストーリー。現在の水道民営化に対する抵抗運動が、スペインによる植民地支配に対する抵抗運動とオーバーラップして描かれる。欧米列強による支配が、形を変えつつもなお続いている現実を意識させられる。

竹中平蔵氏が会長を務めるパソナ株が急落─ドラッグの規制緩和は……


 いま、竹中平蔵氏は、産業競争力会議や国家戦略特区諮問会議で規制改革を推進し、國體を破壊しようとしている。2014年5月22日、週刊誌各紙がその竹中氏が会長を務めるパソナグループのことを報じた
「“シャブ愛人”栩内香澄美容疑者はパソナ人材派遣代表の接待秘書」「“舞妓愛人”も派遣……パソナ南部代表と芸能界汚染マップ」(『週刊文春』)

「覚醒剤漬けで快楽の虜! 人材派遣パソナ「南部代表」の超美人“秘書” 」「ドラッグ・カップルが出会った「パソナ迎賓館」の大宴会に「政治家&芸能人」」(『週刊新潮』)

 同日の東京株式市場で、パソナグループは一時年初来安値となる460円をつけた。

『顔のない独裁者』が描く近未来─新自由主義の結末は地獄だ(『月刊日本』平成26年5月号)

以下、『月刊日本』平成26年5月号に掲載した「『顔のない独裁者』が描く近未来─新自由主義の結末は地獄だ」を転載する。

国民の統合を破壊する道州制
 3月28日、政府は国家戦略特区諮問会議を開き、国家戦略特区の第一弾として、東京都を中心とした東京圏、大阪府を中心とした関西圏、沖縄県、新潟市、兵庫県養父市、福岡市の6区域を指定した。東京圏は国際ビジネス、イノベーションの拠点、関西圏は医療などのイノベーション、チャレンジ人材支援の拠点とするという。
 この特区も、アメリカが推進するTPPも、グローバル企業の利益拡大こそが最優先されている。しかし、グローバル企業が理想とする社会は国民にとってはまさに地獄そのものである。新自由主義による「改革」を推し進めた後に到来する社会はどのようなものなのか、それを具体的に示してくれるのが、三橋貴明氏の企画・監修で、さかき漣氏が著した『顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い』(PHP研究所)が描く社会である。同書はフィクションだが、極めて具体的かつリアルにわが国の近未来が描き出されている。
 物語は、「顔のある独裁者」が支配する大エイジア連邦の一員となった日本が、抵抗組織「ライジングサン」のリーダー駒ヶ根覚人のもとに革命に成功し、日本を奪還したところからスタートする。駒ヶ根は圧倒的な国民支持を受けて総理に就任する。まず、駒ケ根政権は太平洋連合(Pacific Union=PU)への参加を決める。PUはTPPのような協定と考えていい。そして同政権は道州制を導入。日本は北海道、奥羽州、東京州、越陸州、東海州、中央日本州、瀬戸州、伊予州、筑紫琉球州の9道州に分けられ、それぞれが独立採算制を義務づけられた。道州制導入によって、各種公共サービスの権限は、中央政府から各道州政府に移管された。
 だが、この道州制導入が悲劇をもたらすことになる。それを象徴するのが本書にある「道州制が社会に浸透し、いつの間にか日本国民は他道州の住民について、同じ日本国民であることを忘れるようになっていた」という記述だ。
続きを読む 『顔のない独裁者』が描く近未来─新自由主義の結末は地獄だ(『月刊日本』平成26年5月号)

悪魔の民営化 コンセッション方式

 平成26年4月9日に、大阪市は水道事業の民営化についての基本方針案を決定したが、『顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い』(三橋貴明氏企画・監修、さかき漣著)には、コンセッション方式(公共インフラの資産保有者は政府のままとし、運営権を民間の株式会社に委譲する方式)の危険性が見事に描き出されている。新自由主義の旗を振る竹中平蔵氏が次のように書いているのを思い出し、さらに恐ろしくなった。
 〈成長戦略のもう一つの柱は、インフラの運営権民間売却、いわゆるコンセッションだ。これについてもいま、実現の方向に向かっている。官が独占しているインフラ運営に民間が参入することで、サービスの中身が向上する。かつ少なくとも数十兆円といった大きな規模で改善に貢献することが期待される。
 コンセッション方式は、海外の主要国で一般に行われているにもかかわらず日本で極端に遅れてきた政策分野だ。例えば欧州の主要空港の多くは、いまや所有形態に関わりなく民間が運営している。オーストラリアの主要空港も、コンセッション方式で民間が運営する。米国でも、シカゴの有料道路の運営権を民間企業に売却し成功している事例が知られている。隣国韓国も、コンセッションに積極的だ。理論的に考えて、キャッシュフローを生むインフラについては、その流列の割引現在価値で、運営する権利を民間に売却することができるはずだ。道路、空港、上水道、下水道などが、コンセッションの対象となる。 続きを読む 悪魔の民営化 コンセッション方式

第3回 国家戦略特別区域諮問会議(平成26年2月21日)─社稷を思う心なし

わが国の社稷を無視して国際財閥の利益を拡大するための「カイカク」を、いまこそ粉砕する必要がある。平成26年2月21日に開かれた「第3回 国家戦略特別区域諮問会議」で竹中平蔵氏らが提出した「国家戦略特区 当面の対応について」には、外国人労働者受け入れなど、国家解体のための「カイカク」が謳われている。
〈1.区域指定に向けての考え方
3月の特区指定にあたっては、ダボスでの総理のスピーチ内容(2年間で岩盤規制すべてに突破口)の実現に向けた推進力を内外に示す観点からも、スピーディに、かつ、日本の景色を変える効果を実現することが重要。
このため、
1)「広域都市圏」は、国の側の特区関係者も全面的にコミットできるよう、区域数は絞って指定。
2)これに加えて、突出して革新的な取組(岩盤規制改革を含め)を行う小規模な地域を実験場として一括指定する、いわゆる「バーチャル型」指定(革新的改革事業拠点の指定)を行うべき。
続きを読む 第3回 国家戦略特別区域諮問会議(平成26年2月21日)─社稷を思う心なし

パソナ・グループ会長・竹中平蔵氏と雇用分野の規制緩和

 2013年10月1日に開催された産業競争力会議で、人材派遣会社パソナ・グループ会長を務める竹中平蔵氏がまとめた資料が配布された。ここには、パソナの利益拡大のために、一気に雇用分野における新自由主義路線を加速させようという意図がにじみ出ているように見える。 同日配布された日本経済再生本部がまとめた「成長戦略の当面の実行方針」には、「雇用制度改革・人材力強化」として次のように謳われている。

「民間人材ビジネス活用の加速や待機児童の解消など、人材力強化や雇用制度改革に向けた取組を早期に進めるとともに、国立大学改革プランを本年10月を目途に取りまとめ、人事給与システム改革をはじめとする大学改革の加速を図る。
続きを読む パソナ・グループ会長・竹中平蔵氏と雇用分野の規制緩和

佐々木実「竹中平蔵氏の正体」英訳

 以下は、『月刊日本』2013年7月号に掲載された佐々木実氏のインタビュー記事「竹中平蔵氏の正体」の全文英訳です。

A True Picture of Heizo Takenaka

 Minoru Sasaki, journalist

Heizo Takenaka as Seeker of Regulatory Reform in the Field of Labor

NIPPON: In your book Shijo to kenryoku [Markets and Power] (Kodansha), you focus on depicting the real Heizo Takenaka. The book is full of suggestions for people who wonder just how it was that neoliberalism came to be introduced to Japan.

SASAKI: Takenaka said at the first meeting of the Industrial Competitiveness Council (ICC) on January 23, 2013, that “there is no magic wand for growth strategy; regulatory reform that gives corporations freedom and makes them more muscular is the first element of growth strategy.” The following day, Prime Minister Shinzo Abe proclaimed the necessity of regulatory reform using a manner of speaking that followed Takenaka’s statement almost to the letter. It was a scene that was symbolic of the closeness between Prime Minister Abe and Takenaka.

Takenaka had played a major role during the years of the Koizumi administrations. He was subsequently the subject of various criticisms, and during the years of the Democratic Party of Japan administration it seemed for a moment that he might have become a has-been. However, he survived, was picked up by Prime Minister Abe, and is now the leading neoliberal ideologist.

続きを読む 佐々木実「竹中平蔵氏の正体」英訳

安倍政権で高まる「首切り自由化」論議

本来「大御宝」であるはずの労働者を、まるで自由に使い捨てできる道具にしようとする論議が活発になってきている。小泉政権時代に労働分野への新自由主義導入が加速したが、再び安倍政権はそれを再現しようとしているのか。
特に問題なのは、社員の首切り自由化論議だ。これは、一君万民を理想とする国体を踏みにじる暴挙ではないのか。以下、『愛媛新聞』社説(2013年03月19日)を紹介する。

解雇規制の緩和  「使い捨て論理」容認できない
金さえ払えば正社員を簡単に解雇できる―そんな規制緩和の議論が始まった。
安倍晋三首相が設置した産業競争力会議で、業績悪化など「合理的な理由」がなければ正社員を解雇できないと定めた労働契約法について、民間議員が「解雇しやすいルール」への変更を提言した。 続きを読む 安倍政権で高まる「首切り自由化」論議