「マハティール」カテゴリーアーカイブ

「ナジブ新首相とマハティール路線 明日のアジア望見 第77回」『月刊マレーシア』503号、2009年4月30日

 二〇〇三年一〇月にマハティール首相が引退してから、まもなく六年が経とうとしている。
 この間、マハティール元首相は、自らが後継者に指名したアブドラ首相に対する不満を強めていた。それは、アジアの復権と団結、西洋近代とは異なる独自の発展モデルの追求、自主独立外交の貫徹というテーマについてのアブドラ政権の立場が鮮明ではないと感じていたからだと筆者は見ている。
 昨年三月の下院選挙で、与党連合・国民戦線(BN)が大幅に議席を減らすと、マハティール元首相は、アブドラ首相辞任を迫るようになった。昨年五月一九日には、与党統一マレー国民組織(UMNO)を離党し、アブドラ首相が辞任しなければ復党しないと表明するに至った。当初、アブドラ首相は二〇一〇年半ばの政権委譲計画を明らかにしたが、マハティール元首相らの早期辞任論に押され、今年三月に党総裁を辞めると表明、三月の党役員選挙でナジブ・ラザク(Najib Razak)副総裁が総裁に選出された。 続きを読む 「ナジブ新首相とマハティール路線 明日のアジア望見 第77回」『月刊マレーシア』503号、2009年4月30日

EAECとアジア的価値観

金子芳樹教授の指摘

マハティール前首相が1990年に提唱した東アジア経済グループ(EAEG、後にEAEC)構想は、当面の狙いとしては、東アジア各国の関係を緊密にし、先進国との通商交渉を有利に進めることを挙げていたが、単に通商問題の次元に止まるものではなく、アジア的価値観の復興と連動しており、文明史的な側面を濃厚に持つものだったのではなかろうか。独協大学の金子芳樹教授は、マハティール前首相のアジア的価値観論について論じた上で、次のように指摘している。  続きを読む EAECとアジア的価値観

マハティール首相「THE OFFICIAL OPENING OF POLMET 2000」

2000年3月20日
於:THE SHANGRI-LA HOTEL, KUALA LUMPUR
I wish to thank the organisers for inviting me to declare open this conference. It is indeed a great honour that the first POLMET conference to be held in the new millennium is taking place in Kuala Lumpur. It is also very timely.

2. Urbanisation is taking place at a very rapid rate in Asia, as its city and town populations continue to grow. The region already has the largest population in the world, and about 700 million people now living in cities and towns. By year 2015, it is estimated that the region will have more than one billion people living in cities. There will be nine megacities with populations of more than 10 million and 17 very large cities with populations of more than five million. Economically and environmentally sustainable urban development in Asia is therefore a pressing need to ensure a safe, healthy, convenient and pleasant environment for its growing urban population.  続きを読む マハティール首相「THE OFFICIAL OPENING OF POLMET 2000」

江宜樺のアジア的価値観論

ジャン・ブロンデル、猪口孝著『アジアとヨーロッパの政治文化』は、国立台湾大学政治学系教授で、現在内政部部長を務める江宜樺(Jiang Yi-huah)氏のアジア的価値観論を紹介している。
 江宜樺氏は『Asian values and communitarian democracy』において、「アジアのリーダーの理論的な政治形態は共同体主義である。なぜなら、彼らは儒教的な伝統─彼らによると、人々の間で広く共有されている─について言及することが多いからである。そして、儒教は共同体主義である」と述べている。  続きを読む 江宜樺のアジア的価値観論

21世紀の国際情報秩序

報道の自由だけで十分か

 1997年のアジア通貨危機後、再び「21世紀の国際情報秩序」に関する議論が活発になった。それは、「報道の自由」だけで21世紀の情報秩序は十分なのか、という古くて新しい論点を提起している。
この議論は、1970年代にも大きな盛り上りを見せたが、過度の政治化に向い、やがて鎮静化してしまった。ところが、アジア通貨危機に際して、CNN、ロイターといった欧米巨大メディアの報道がアジア各国に与えた影響の大きさから、それら報道機関の在り方が再び問題となり、議論が活発になったわけである。 続きを読む 21世紀の国際情報秩序

『わーずわーす』創刊号

コンセプト:「21世紀のアジア人的ライフスタイル・マガジン」
なぜが、短命に終わった『わーずわーす』。創刊号にはマハティール・インタビューが……

アジアの巨人① マハティール・ビン・モハマド
書き手、インタビュー:坪内隆彦、写真:カミコウベ アツシ

発行:株式会社フーガ
発売:株式会社主婦の友社

2005年2月1日発行/定価:780円

イスラームの発展ヴィジョン

「時代変化に適応できるイスラーム」
2006年3月23日、イスラーム開発銀行の「1440年ヴィジョン委員会]の第3回会議が開催され、イスラーム世界の長期発展ヴィジョンが、アブドラ首相によって発表された。
この委員会は、イスラーム暦1440年(西暦2019年)までのイスラーム世界の長期発展ヴィジョンを策定することを目指して、イスラーム開発銀行の組織として2005年6月に発足し、マハティール前首相が議長を務めている。 続きを読む イスラームの発展ヴィジョン

イスラーム金貨「ディナール」

国際経済システム改革の挑戦
アメリカ主導の国際秩序に対する、もう一つのイスラームの挑戦が静かに進行している。それは決してテロといった暴力的な手段ではなく、イスラームの普遍的な理念と構想力によって国際経済システムを変革していこうという平和的な試みである。その第一弾が、貿易取引において金貨を使用しようという構想である。金貨の名称は「ディナール」。すでに、イランがマレーシアとの貿易決済でディナールを使用することを提案したとも報じられている。ディナール普及のための事務局をマレーシアに設置する準備も進行している。  続きを読む イスラーム金貨「ディナール」

コーズウェー代替橋建設中止問題

最新情報

アブドラ首相インタビュー
 2006年8月7日、アブドラ首相はベルナマ通信のAnnuar Zaini会長とのインタビューで次のように語った。 「I chose to keep quiet because I do not want to quarrel with Tun (Dr Mahathir) in the newspaper. Tun said in a statement that he was slighted because he did not get the information he asked for and if the Prime Minister does not speak, let the ministers speak. I chose to let the ministers speak. There are a lot of things he raised come under the ministers’ jurisdiction. They should be responsible to explain to the people. People want to know and many Cabinet ministers prefer that I don’t speak. Many feel that it is better that I don’t speak, many say that Paklah go on and speak. So it became chaotic. Let the ministers speak; this is not about being evasive. The questions raised were directed to the Government and the Government answers. 」 続きを読む コーズウェー代替橋建設中止問題

非同盟諸国会議

非同盟運動とは?

岡倉古志郎『非同盟研究序説 増補版』
 非同盟運動(Non-aligned Movement)とは、非同盟諸国会議に参加する国を中心とする運動のことである。
1961年9月にユーゴスラビアのベオグラードで開催された会議(⇒スカルノの写真)を起点とする非同盟諸国会議は、反覇権主義、民族自決を掲げる諸国家の会議として継続してきた。

続きを読む 非同盟諸国会議