イスラームの発展ヴィジョン

「時代変化に適応できるイスラーム」
2006年3月23日、イスラーム開発銀行の「1440年ヴィジョン委員会]の第3回会議が開催され、イスラーム世界の長期発展ヴィジョンが、アブドラ首相によって発表された。
この委員会は、イスラーム暦1440年(西暦2019年)までのイスラーム世界の長期発展ヴィジョンを策定することを目指して、イスラーム開発銀行の組織として2005年6月に発足し、マハティール前首相が議長を務めている。
マハティール前首相がイスラーム世界の発展戦略を主導していることは、マレーシアが一貫して目指してきた「時代変化に適応できるイスラーム」がイスラーム世界全体で支持されていることを示している。
マレーシアをイスラーム諸国として初めて先進国入りさせるというヴィジョンを掲げてきたマハティール前首相のイスラーム観は、「時代変化に適応できるイスラーム」、精神的発展だけでなく物質的発展の両立しうるイスラームという考え方に支えられていた。この考え方は、アブドラ首相のIslam Hadhari(進歩的イスラーム)として継承されている。
2003年10月16、17日にマレーシアで開催されたイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会議で採択されたプトラジャヤ宣言にも、マハティール流のイスラーム発展のヴィジョンが反映された。
知識とモラルに焦点を当てたプトラジャヤ宣言は、科学技術の分野におけるイスラームの発展を強く志向している。こうした志向は、かつてあらゆる分野で文明の発展に貢献したイスラームへの回帰にも見える。宣言は、この点に関してムスリムは天文学、医学、物理学、化学、エンジニアリングなど広範な分野で貢献したことを明記している。
2005年12月7、8日の両日、サウジアラビアのマッカ(メッカ)で開催されたOIC特別サミットでも、「時代変化に適応できるイスラーム」の考え方が支持され、マッカ宣言にも反映された。
ディナールによる貿易決済
2003年のプトラジャヤ宣言は、イスラーム諸国間の貿易の拡大の必要性が謳われただけでなく、ドル依存と投機経済からの脱却のために金貨ディナールを貿易決済に使用しようというマハティール首相(当時)の提案がある程度受け入れられたことを示している。宣言には、金に基づいた貿易決済が、貿易拡大やイスラーム諸国の統合の触媒になると信ずると謳われたからである。
イスラームの理念に沿ったイスラーム諸国の連帯の強化による発展というヴィジョンは、ムスリムの自信の回復をもたらすとともに、国際社会におけるムスリムの果たすべき役割に対するさらなる自覚を促すことになるだろう。


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