谷口雅春は『私の日本憲法論』において次のように書いている。
〈日本の天皇政治を民主政治と対立し互いに相反するものだと考えるのは間違いであるのである。天皇政治の中に於てのみ、本当の「派閥のない民主政治」が育ち得て、私利私欲の追求で互いに憎しみ合うような民主主義が姿を消す可能性があるのである。天皇のみが私利のない私欲のない、世界万民の幸福を希い給う偏りのない「神聖権威」であるからである。この偏りのない「神聖権威」を上に奉戴して民主主義の政治が行われるときに、私利私欲による派閥闘争の汚れたる精神が浄められることになり、本当にルールを守った民主政治が行われることになるのである。神聖権威を上に奉戴しないで、利己主義精神の顕現である個人が、利益追求の組合組織を国家と考えて、そこで、利益の相似た者同志が徒党を結んで政党を結成して、国会及び院外に於いて闘争するようなのは、「下の下」の民主主義政治なのである。現今の日本の民主政治は、この「下の下」の民主政治に過ぎないのである〉
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