日中の不幸なすれ違い─小泉菊枝『東亜聯盟と昭和の民』

小泉菊枝『東亜聯盟と昭和の民』東亜聯盟協会、昭和15年
 小泉菊枝は『東亜聯盟と昭和の民』(東亜聯盟協会、昭和15年)で、以下のように書いている。
〈漸く封建社会の諸制度を清算し、資本主義経済への発展により活発な国富増進へ歩み出した世界の後進国日本は、商品を売りさばく海外市場として残されてゐる所を支那大陸に求めるより仕方がありませんでした。日本は列強に追随しながら友邦支那の中に利権を確立して行きました。かうして一人殖民地と化し去らうとする東亜に於ける唯一の独立国家日本はぐんぐん国力を充実させ、列強の間に伍して進みました。かゝる日本の発展を、列強はたゞ侵略的・野心的進出としてだけ解釈し、東亜のユートピアとして「愛すべき日本」と呼んでゐた人々も「恐るべき日本」からやがて「恐るべき日本」と称してひたすらその成長を抑圧しようとするやうになりました。列強は競つて亜細亜の宝庫を分割しようとし、又この間に割り込む日本を牽制しようとしました。門戸開放・機会均等が屡々支那に要求されましたが、これは取りも直さす、搾取と侵略の自由平等を大亜細亜殖民地の上に確立しようといふ意志表示だつたのです。列強の利権が増大すればする程、利権擁護に名を借りた東亜諸問題への彼等の発言権は強硬になるばかりでした。日本は必死となつてこの間に立ちました。若し日本が支那大陸に利権を確守出来す、発言権を持たなかつたならば、亜細亜大陸は列強の欲するまゝに動かされるより他はなかつたのです。 続きを読む 日中の不幸なすれ違い─小泉菊枝『東亜聯盟と昭和の民』

水野満年『大正維新に当りて』(国華教育社、大正15年)目次

大石凝真素美の弟子水野満年は、大正15年に『大正維新に当りて』(国華教育社)を刊行した。以下、目次を掲げる。
水野満年『大正維新に当りて』(国華教育社、大正15年)

緒言
一 先づ他山の石で玉を磨け
二 大日本帝国の使命
三 和光同塵の皇謨
四 国是と歴代の皇謨
五 国体の根本義
六 根本覚醒の要
 其二
 其三
七 皇国興隆の大道
八 神聖なる祖宗御遺訓
九 神聖遺訓の内容
十 神聖遺訓古事記に対する学者の誤解
十一 日本の大正維新は即世界の大正維新なり
十二 敬神崇祖と国民皆兵の本義
十三 神聖遺訓による内治外交の範畴
十四 大正維新の経綸
十五 土地人民奉還の上表文
附「遂次発表の書目」

東洋の思想哲学の根底─有機的構成関係

植芝盛平
 (一財)和歌山社会経済研究所研究部長の高田朋男氏は、以下のように述べている。
 〈東洋の思想哲学の根底には、有機的構成関係が存在しているように思う。有機的構成関係とは、「全体」が「部分」を規定する構成関係の事をいう。従って東洋の思想哲学は、有機的構成関係で世界の様態を捉えるため、部分真理ではなく、まず全体真理を追い求める。このことは、西洋哲学の欠陥を補う役割を担える可能性を秘めていると言える。そして陽明学者の安岡正篤氏は言う、西洋の哲学者はその思想と行動を分けて思惟しており、その結果、行動と思想の一致が求められていないところがある。それに対し東洋の思想家は、自身の行動から生み出された思想ゆえ、行動と思想が一致していると指摘している。思うに、いわば実証(含む「状況証拠」)を必要としているか、していないかの違いである。実証の伴った思想の方が、思惟だけの哲学より遥かに信頼性が高いと言わなければならない。合気道の開祖、植芝盛平翁の哲理は、実証が伴っている。実証に次ぐ実証の中から築き上げたものである〉(「植芝盛平翁の深遠な哲理について~「知」の巨人と「武」の巨人~」『21世紀Wakayama』75、2013年12月)

「高山彦九郎ヲ追賞ス」(明治2年12月20日)

「高山彦九郎ヲ追賞ス」(明治2年12月20日)

明治2年12月20日、太政官より「高山彦九郎ヲ追賞ス」との沙汰があった。
 「草莽一介ノ身ヲ以テ勤王ノ大義ヲ唱ヘ、天下ヲ跋渉シ、有志ノ徒ヲ鼓舞ス、世ノ罔極ニ遭ヒ、終ニ自刃シテ死ス。其風ヲ聞テ興起スルモノ、少ナカラズ。其ノ気節、深ク御追賞在ラセラル。之ニ依リ、里門ニ旌表シ、子孫ヘ三人扶持、下シ賜リ候フ事」

「皇教(すめらきょう)」の「教義・儀式・行事」

皇教規則1
昭和21年4月8日に文部大臣に提出された教派設立届に基づき、すめら教の教義などを紹介する。
まず、「教義・儀式・行事」は以下のように定められている。
〈第三条 宇宙創造、万有展化、生成発展ノ根源にして其ノ本体タル絶対的絶対神格者『天之御中主神』が宇宙創化ノ為メノ自己内展ニヨリテ神生リマセル皇神集ヲ信仰ノ対象として『すめらぎノ御霊』トシテ奉斎シ其ノ御議ヲ以チテ神界ニ事始事依サシ給ヘル宇宙創化ノ神業『天津宮事』ヲ観ジテ天地ノ大道ナリト諦観シ其ノ原理原則コソ実ニ神々ニヨリテ示サレタル吾人々類ノの則ルベキ人生ノ至道ナリトシ其ノ『天津御手振』を吾人々類ノ原則生活トシ乏シキ神習ヒ本教管長ノ著作物ヲ以て教義トス
第四条 教憲ト原諦
(一)顕界(現実界)ニアリテハ我ガ『神ながら』ノ明徴広闡ニ精進シツヽ各人至心修養其ノ本然本有ノ真姿態ニ帰正シ原則生活ノ実践ニヨル表現トシテノ吾人ノ文化生活体系ヲ展開シ幽界(霊界)ニアリテハ宇宙創化ノ皇神等ニまつろひツヽ其ノ真実想ヲ諦観シ其ノ神業ニ息吹キ其ノ御手振ニ雄叫ビ霊界体一如、顕幽一体以テ地上ニ於ケル万民協和ノ真ノ文化境タル全世界ノ全平和ヲ理想トスル神ノ御国ヲ展開セシメムトス〉