「植芝盛平」カテゴリーアーカイブ

東洋の思想哲学の根底─有機的構成関係

植芝盛平
 (一財)和歌山社会経済研究所研究部長の高田朋男氏は、以下のように述べている。
 〈東洋の思想哲学の根底には、有機的構成関係が存在しているように思う。有機的構成関係とは、「全体」が「部分」を規定する構成関係の事をいう。従って東洋の思想哲学は、有機的構成関係で世界の様態を捉えるため、部分真理ではなく、まず全体真理を追い求める。このことは、西洋哲学の欠陥を補う役割を担える可能性を秘めていると言える。そして陽明学者の安岡正篤氏は言う、西洋の哲学者はその思想と行動を分けて思惟しており、その結果、行動と思想の一致が求められていないところがある。それに対し東洋の思想家は、自身の行動から生み出された思想ゆえ、行動と思想が一致していると指摘している。思うに、いわば実証(含む「状況証拠」)を必要としているか、していないかの違いである。実証の伴った思想の方が、思惟だけの哲学より遥かに信頼性が高いと言わなければならない。合気道の開祖、植芝盛平翁の哲理は、実証が伴っている。実証に次ぐ実証の中から築き上げたものである〉(「植芝盛平翁の深遠な哲理について~「知」の巨人と「武」の巨人~」『21世紀Wakayama』75、2013年12月)

合気道開祖・植芝盛平の道話/道歌

道話

「武における業はすべて宇宙の真理に合わせねばならぬ。宇宙と結ばれぬは孤独なる武にすぎず、愛を生む<武産>の武とは異質のものである。合気は愛を生む<武産>の武であり、大和大愛の愛気にほかならぬ。その<武産>の武のそもそもは<雄叫び>であり、五体の<響き>の槍の穂を阿吽(あうん)の力をもって宇宙に発兆したものである。
五体の<響き>は心身の統一をまず発兆の土台とし、発兆したるのちには宇宙の<響き>と同調し、相互に照応・交流しあうところから合気の《気》が生じる。すなはち、五体の<響き>が宇宙の<響き>とこだまする<山彦>の道こそ合気道の妙諦にほかならぬ。 続きを読む 合気道開祖・植芝盛平の道話/道歌

大日本武道宣揚会趣意書

神より来る武
 古神道を基礎とした信仰団体・大本教(現大本)を率いた出口王仁三郎は、「神より来る武」を説いた。彼が総裁を務めた大日本武道宣揚会は、そうした真正の大日本武道を宣揚するために昭和7年に誕生した。同会の会長に就いたのが合気道開祖・植芝盛平であり、彼は大本信徒として大正13年に敢行された王仁三郎の入蒙にも同行している。
 以下は同会の趣意書である。
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