「宗教思想・伝統思想」カテゴリーアーカイブ

スーフィーの楽器観

「魂が楽器を通じて語りかける」

The Heart of Sufism: Essential Writings of Hazrat Inayat Khan
 神秘主義思想家たちは、楽器に関して特別の観念を抱いている。スーフィーとして知られたハズラト・イナーヤト・ハーン(Hazrat Inayat Khan)もまた、『音の神秘―生命は音楽を奏でる』(平河出版社、1998年)で、独自の楽器観を示している。
彼は、1882年北インド、バローダの高名な音楽家の末裔として生まれた。祖父の創設したインドで最初の音楽学院で学び、インド全土でヴィーナー奏者、歌手として活躍した。  続きを読む スーフィーの楽器観

陽明学関連文献

書籍

著者 書籍写真 書名 出版社 出版年 備考
ハイブロー武蔵 通勤大学図解・速習 言志四録 佐藤一斎の教え 総合法令出版 2008年10月
森田康夫 大塩平八郎と陽明学 和泉書院 2008年10月
深澤賢治 陽明学のすすめ〈2〉人間学講話「安岡正篤・六中観」 明徳出版社 2008年10月   続きを読む 陽明学関連文献

イスラームの発展ヴィジョン

「時代変化に適応できるイスラーム」
2006年3月23日、イスラーム開発銀行の「1440年ヴィジョン委員会]の第3回会議が開催され、イスラーム世界の長期発展ヴィジョンが、アブドラ首相によって発表された。
この委員会は、イスラーム暦1440年(西暦2019年)までのイスラーム世界の長期発展ヴィジョンを策定することを目指して、イスラーム開発銀行の組織として2005年6月に発足し、マハティール前首相が議長を務めている。 続きを読む イスラームの発展ヴィジョン

玄洋社とムスリム

興亜論者とムスリム
世界の道義的統一を目指した日本人たちは、東アジアだけでなくイスラーム諸国に対しても特別な関心を払っていた。その中心にいたのが興亜論者であった。
彼らは、欧米に抑圧されるムスリムの惨状を我が事のように考え、欧米列強の植民地支配からの解放を目指して協力しようとしていた。  続きを読む 玄洋社とムスリム

大川周明とイスラーム

大川周明が古今東西の宗教思想から大きな影響を受けていたことについては、すでに書いた。彼が重視したものは、一言でいえば「天人合一」的、「万物一体」的な観念であったろう。
つまり、天を中心にあらゆるものが相互に切り放されず結び付いているという思想である。それは、天の意志、宇宙の意志によって、万事がとりおこなわれるべきだという思想に展開する。例えば、道徳と正義が尊重されるような社会の建設という思想に発展するのだ。  続きを読む 大川周明とイスラーム

杜維明の思想

人間も宇宙の一部

http://www.cuhk.edu.hk/ipro/pressrelease/031024-2.htm
 文明間の対話とも、普遍的な人権思想とも矛盾しないような、儒教思想の確立を目指しているのが、ハーバード大学教授の杜維明氏である。
彼は、宗教思想が担うべき役割の重大さを十分に認識している。2005年4月に「宗教―相克と平和」をテーマとして開催された「国際宗教学宗教史会議第19回世界大会」(日本学術会議など主催)の公開シンポジウム「宗教と文明間の対話」で、彼は「現代は〈第2の軸の時代〉を迎えているのかもしれない」と指摘している。 続きを読む 杜維明の思想

キラーファト運動─イスラームとヒンドゥーの連帯

イスラームとヒンドゥーの連帯

 植民地支配を永続させることを目指していたイギリスの常套手段は、徹底した分断統治であった。アジア人の結束を乱すことによって、有利な状況を作り出そうという意図だ。日中の分断、イスラームとヒンドゥーの分断など、アジア各地でそれは成功を収めた。
現在もなお、アジアが結束できない理由の一つに、アングロ・サクソンの分断統治的政策の影響があるのかもしれない。  続きを読む キラーファト運動─イスラームとヒンドゥーの連帯

イスラーム金貨「ディナール」

国際経済システム改革の挑戦
アメリカ主導の国際秩序に対する、もう一つのイスラームの挑戦が静かに進行している。それは決してテロといった暴力的な手段ではなく、イスラームの普遍的な理念と構想力によって国際経済システムを変革していこうという平和的な試みである。その第一弾が、貿易取引において金貨を使用しようという構想である。金貨の名称は「ディナール」。すでに、イランがマレーシアとの貿易決済でディナールを使用することを提案したとも報じられている。ディナール普及のための事務局をマレーシアに設置する準備も進行している。  続きを読む イスラーム金貨「ディナール」

井筒俊彦の精神的東洋

天心の着想と共時的構造化の試み
井筒俊彦
1982年、井筒俊彦は『意識と本質―精神的東洋を索めて』の後記において、次のように書いた。
「東洋哲学─その根は深く、歴史は長く、それの地域的拡がりは大きい。様々な民族の様々な思想、あるいは思想可能体、が入り組み入り乱れて、そこにある。西暦紀元前はるか遡る長い歴史。わずか数世紀の短い歴史。現代にまで生命を保って活動し続けているもの。既に死滅してしまったもの。このような状態にある多くの思想潮流を、『東洋哲学』の名に値する有機的統一体にまで纏め上げ、さらにそれを、世界の現在的状況のなかで、過去志向的でなく未来志向的に、哲学的思惟の創造的原点となり得るような形に展開させるためには、そこに何らかの、西洋哲学の場合には必要のない、人為的、理論的操作を加えることが必要になってくる。 続きを読む 井筒俊彦の精神的東洋