日中対立打開の道─葦津耕次郎『日支事変の解決法』②

 葦津耕次郎は昭和13年に刊行した『日支事変の解決法』において、次のように書いている。
(①より続く)
〈一、我国ノ教育勅語ハ、宇宙万有一貫ノ、根本原理ノ発露ニシテ、人類最高ノ道徳規範デアル、故ニ、古今ニ通シテ謬ラズ、中外ニ施シテ悖ラザルモノデアル。而シテ、教育勅語ヲー貫スルモノハ、慈悲デアリ、親愛デアリ、親切デアル、然ラバ則チ、慈悲、親愛、親切ハ、宇宙万有一貫ノ精神ニシテ、人類天賦ノ性命デアル、孔子、釈迦.基督ヲ始メ、古今東西ノ聖賢、哲人ハ、何レモ皆、慈悲、親愛、親切ノ国家ヲ顕現スベク、努力奮闘シタモノデアル、然ルニ遂ニ、其ノ理想タル、天国、浄土ヲ、此ノ国土ニ顕現シ得ナカツタノデアル、コハ.宇宙一貫ノ根本原理ノ顕現神タル、天皇ノ大稜威ニヨルノ外、顕シ得ベキモノデハナイカラデアル、換言スレバ、教育勅語ノ、実現実行セラルヽ国ニアラズンバ、世界ヲ指導シテ、世界平和ヲ実現スルコトガ出来ナイノデアル、支那ヲ直義国家(堯舜国家)タラシムルモ、我日本天皇ノ大稜威ニヨラズンバ実現シ得ベキモノデハナイ、現ニ、堯舜政治ハ、支那民族ガ、幾千年間、自国ノ性命トシテ、熱望スル処ノモノナルモ、今ニ、実現シ得ナイノデアル、今回ノ.日支事変ハ、我日本ヲシテ、天賦本来ノ自性ニ立チ還ラシメ、以テ、天皇国家ヲ顕現セシメ、支那ヲシテ、堯舜国家ヲ建設セシメテ漸次、世界平和ヲ実現セシメントノ神慮デアル事ヲ、覚悟セネバナラヌ。
一、日本ヲシテ、道義国家タラシムルニハ、左ノ条項ヲ実行スルニヨリ、神国日本、即チ、天皇国家ヲ顕現シ得ベキモノデアル。
一、政府、官吏(縦ノ国家機関)及議会、議員(横ノ国家機関)ヲ始メ、教育家、宗教家等、苟モ、国家ヲ経綸シ、国民ヲ指導啓発スル者ノ任免、詮衡ハ、先ヅ、道義(教育勅語)ノ実践躬行者タルヲ、必須要件トスベキコト。
二、議員選挙権資格ハ、現在ノ功利的、対立的、相剋的、個人主義的普通選挙法ヲ廃止シテ、綜合的、調和的、統一的、家長選挙法ニ、改ムベキコト。
三、教育ハ、小学ヨリ、大学ニ至ル迄、如何ナル学府タルヲ問ハズ、教育勅語ノ実践躬行ヲ励行セシムベキコト。〉
(続く)


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