杉浦重剛と頭山満を師として
大日社設立は昭和5年と考えられ、雑誌『大日』は翌6年から昭和20年まで14年間に亘り発行された。 同誌発刊の辞には次のようにある。「明治21年乾坤社を興して、雜誌『日本人』を創めたるは吾人の師長天台道士杉浦重剛先生なり。其の翌年新聞『日本』を興して國體主義を高調したるは羯南陸實先生なり。爾來40年濟々たる多士は苦節に死し、吾人の先輩は曉天の星の如くなれり。吾人の魯鈍なる、再躓三躓今や讒かに彈丸黒子の地を守るに過ぎず。茲に頭山立雲先生を社師として、廣く天下同志の贊襄を仰ぎ、新たに『大日社』を興し、雜誌『大日』を創刊して名節を砥礪し大義に終始し、毅然筆致に任じて操觚の天職を全うせんとするは先輩師長の先蹤を追うものなり」このように、大日社は杉浦重剛を師と仰ぐ政教社グループが頭山満を担いで興した団体であり、『大日』巻頭言には毎回『倫理進講要録』の一節が引かれた。例会世話人は末永節と宅野田夫が務めていた。 |
『大日』を貫く思想は、普遍的な皇道主義等を基礎にし、西洋近代に対する根源的批判を伴う興亜論の展開であった。「皇道大理想實現」、「敬天愛人運動の理想及び綱領」といった論稿にも、その立場は明確に示されている。当初『大日』には増島六一郎、宅野田夫、中野刀水、田中逸平らが頻繁に寄稿していた。
大日社刊行書籍
著者 | 書名 | 発行年 |
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大町桂月、猪狩史山著 | 杉浦重剛先生 | 昭和5年?(政教社、大正13年) |
猪狩史山、中野亨著 | 天台道士語録 | 昭和5年?(政教社、大正14年) |
杉浦重剛著、猪狩史山註解 | 倫理書 | 昭和5年?(政教社、昭和2年) |
杉浦重剛選 | 櫻百人一首 | 昭和5年? |
アイザイヤ・ボウマン著、露崎厚訳 | 南米大陸 | 昭和5年 |
新谷英治 | 生活線上之国策 | 昭和7年 |
原重治 | 新王道主義 | 昭和8年 |
立花宗幸 | 日本政党罪悪史 | 昭和8年 |
近藤芳一 | 暦の天文記事の見方 | 昭和9年 |
鍋島創一 | 極東存栄策論 | 昭和10年 |
石原醜男 | 神風連血涙史 | 昭和10年 |
岸原鴻太郎 | 老子経新釈 | 昭和11年 |
丸山幹治 | 副島種臣伯 | 昭和11年 |
山田武吉 | 草莽文叢 | 昭和11年 |
若林半 | 回教世界と日本 | 昭和12年 |
中野亨 | 杉浦重剛先生と詩吟 | 昭和13年 |
陸羯南他 | 羯南文録 | 昭和13年 |
工藤武重 | 近衛篤麿公 | 昭和13年 |
近藤芳一 | 日本古暦の教訓 | 昭和13年 |
鈴木剛、細川将 | 日本回教徒のメッカ巡礼記 | 昭和13年 |
若林半 | 回教世界と日本 改訂増補 | 昭和13年 |
三田村鳶魚 | 江戸百話 | 昭和14年 |
村田懋麿 | 僕の支那観 | 昭和16年 |