坪内隆彦 のすべての投稿

小学校で教えられていた文天祥─忘却された『靖献遺言』の精神①

 『月刊日本』の連載「明日のサムライたちへ 志士の魂を揺り動かした十冊」で浅見絅斎『靖献遺言』を取り上げています。
2013年3月号には、「内外の別」論の関連で、文天祥、謝枋得、劉因のことを書きました。
戦前、文天祥は小学校の教科書にも登場していました。
例えば、文部省『尋常小學國語讀本 卷10』(日本書籍、昭和4年)の第18章に出てきます。

混合診療拡大によって、まともな医療が受けられなくなる

先端医療をテーマとしたフジテレビ連続ドラマ『ラストホープ』でも取り上げられた混合診療(保険診療と保険外診療(自費診療)の併用を認めること)。
2013年2月15日、政府の規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)が、今後取り組む59項目の検討課題を示した。ここには、労働分野の規制改革など広範な項目が並んでいるが、特に危険なのがこの「混合診療」の範囲拡大なのである。
日本医師会は、現在保険の対象となっている診療が保険外となる可能性を指摘している。
全国保険医団体連合会は「混合診療を推進する人たちの本当の狙いは、決して患者さんの選択肢を広げることではなく、本来公的医療保険で扱うべき医療の範囲を縮小し、その分を自由診療に移し変えようというもの」「保険給付の範囲がどんどん縮小され、公的保険では必要な医療まで受けられなくなる危険性があります。これでは、患者さんの選択肢を広げるどころか、逆に『今よりも選択の幅が狭まる』ことになります。 」「相次ぐ医療改悪で、ただでさえ日本の患者負担は先進国一高くなっており受診抑制が広がっています」と主張する。 続きを読む 混合診療拡大によって、まともな医療が受けられなくなる

垂加神道①「死生利害を超えて皇統守護の任に当たる」

『月刊日本』平成25年2月号に「死生利害を超えて皇統守護の任に当たる」と題して、『靖献遺言』理解に欠かせない、山崎闇斎にはじまる垂加神道について書きました。参考文献も加えて、崎門学研究会のHPに掲載していただきましたので、是非ご覧ください。

安倍新政権の本質─産業政策と新自由主義の合体


安倍首相が日本経済再生本部内に「産業競争力会議」を設置し、そのメンバーに竹中平蔵氏を迎えることが明らかになった。
小泉政権では、「官から民へ」のスローガンによって、規制改革、民営化が推進されたが、今度は「産業競争力強化」という、誰もが反対しにくいスローガンによって、規制改革が断行されようとしているのである。一部では、安倍内閣は経産官僚内閣とも揶揄されているが、経産官僚流の産業政策と新自由主義の合体こそ、この内閣の経済政策の本質なのではないか。
すでに、日本経済再生本部は「中間とりまとめ」(平成24年11月16日)において、競争力強化に向けた新ターゲティングポリシーの導入を強調していた。このこと自体に異論はない。
問題は、その方策として「市場創出・制度改革」として、第一に「即効性のある規制緩和策(研究者等の労働時間の柔軟化、介護事業の人員配置の柔軟化など)の早急な導入」を挙げている点だ。この方針に基づいて、労働分野の規制改革が断行される可能性が高い。
そして、「戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界最先端にするための「国際先端テスト」(国際比較した上で規制などの国内の制度的障害を撤廃する基準)を導入する。」と謳っている点が最も重大である。
自民党は選挙戦でも「大胆な規制緩和」と題して、「戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界的先端にするための『国際先端テスト』を導入し、国際比較した上で規制などの国内の制度的障害を撤廃します」と公約していた。
「国際先端テスト」をテコにして、新自由主義的な規制改革が推し進められる危険性が高いということである。その旗を振るのが竹中氏だということだ。
装いを変えた新自由主義に対抗するためには、「各産業分野で規制が少ないほど競争力は強化される」いうドグマを打ち破る必要がある。

中野正剛「戦時宰相論」と『靖献遺言』


中野正剛は「戦時宰相論」(『朝日新聞』昭和18年元旦)で『靖献遺言』に言及し、次のように書いています。

〈大日本国は上に世界無比なる皇室を戴いて居る。忝けないことには,非常時宰相は必ずしも蓋世の英雄たらずともその任務を果し得るのである。否日本の非常時宰相は仮令英雄の本質を有するも,英雄の盛名を恣にしてはならないのである。日本の非常時宰相は殉国の至誠を捧げ,匪躬の節を尽せば自ら強さが出て来るのである。山崎闇斎の高弟浅見絅斎は,日本主義に徹底した儒者であるが,幕府を憚り「靖献遺言」を著して支那の先烈を話り,日本武士に節義を教へた人である。玄洋社の創設者頭山満翁の如きはこれを昧読して部下の青年を薫陶した。その「靖献遺言」の劈頭には,非常時宰相の典型として諸葛孔明を掲げてゐる。固より国体は違ふが,東洋の一先烈として我等に非常時平相の必須条件を教ゆるものがある。藷葛孔明が兵を用ふること神の如く,民を視ること慈父の如く,文武の大宰相として蜀漢の興廃を担ひて起ち,死を以て節を全うせし所は,実に英雄にして忠臣の資質を兼ねる者である。彼が非常時宰相たるの心得は出師の表にも現はれて居る。彼は虚名を求めず,英雄を気取らず,専ら君主の為に人材を推拠し,寧ろ己の盛名を厭うて,本質的に国家の全責任を担つてゐる。宮中向きは誰々,政治向きは誰々,前線将軍は誰々と,言を極めてその誠忠と智能とを称揚し,唯自己に就いては「先帝臣が謹慎なるを知る」と奏し,真に臣たる者の心だてを語つてゐる。彼は謹慎である。それ故に私生活も清楚である。彼は曰く
「臣は成都に桑八百林,瘠田十五頃がある,これで子孫の衣食は余饒があり,臣は在外勤務に就いてゐて私の調度は入りませぬ。身に必要な衣食は皆な官費で頂き,別に生活の為に一尺一寸も増す必要はない。臣が死するの日,決して余財ありて陛下に負くやうなことはありませぬ」
と。彼は誠忠なるが故に謹慎であり,謹慎なるが故に廉潔である。〉

志岐武彦、山崎行太郎共著『最高裁の罠』

志岐武彦、山崎行太郎共著『最高裁の罠』


内容
「検察の罠」から「最高裁の罠」へ
「小沢事件」及び「小沢裁判」は、日本国家の暗部を次々と暴露してきた。東京地検特捜部の暗部、検察審査会の暗部、マスコミの暗部、そして米国の植民地支配の暗部……。
本書が取り上げるのは、「検察の罠」の先にある「最高裁の罠」である。 最高裁の司令塔の役割を担っているのは、「最高裁事務総局」という組織である。そして、この最高裁事務総局こそが、小沢一郎を強制起訴に追い込んだ検察審査会を管轄しているのである。
「守秘義務」や「非公開の原則」などによって秘密のヴェールに包まれたままの最高裁や検察審査会の深い「闇」。本書はその「窓のない、黒くて、ぶ厚い石の壁」に挑んだ記録である。
我々は多くの証拠や文献、そして現場での調査から、次のように結論せざるを得なかった。
●「小沢一郎検察審査会は、開かれていなかったのではないか」
●「検察審査会メンバーは、本当は存在しないのではないか」
●「小沢一郎強制起訴は、『架空議決』だったのではないか」

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日本維新の会は「小泉・竹中路線(新自由主義)の全面展開」だ!


日本維新の会「骨太 2013-2016」(平成24年11月29日)は、「経済・財政を賢く強くする」の中で、基本方針として次のような項目を並べている。

・公共工事を拡大するのでなく、日本の競争力を高める徹底した競争政策を実施する
・政府・自治体の予算事業を徹底して民間に開放・新規参入を促す
・保育の成長産業化
・医療・福祉の成長産業化
・自由貿易圏を拡大する=TPP交渉参加
★労働市場を流動化させる
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皇道政治の理想を冒涜する不況下の増税強行

 不況下の消費増税強行について、国体の観点から考えてみたいと思います。
 亀井静香氏は、「経済が土砂降り、傘も差せずに明日なき生活をしている人がいる。そこに税金を取るぞと。こんな無情な政治が日本の開闢以来あったか」と発言しています。まさに、亀井氏の言う通りです。このような経済状況で増税を強行することは、皇道政治、天皇政治の理想に対する冒瀆にほかなりません。日本人が理想としてきた皇道政治は、例えば第十六代仁徳天皇(在位:313~399年)の「民の竈」の逸話に明確に示されています。
 〈四年春二月六日、群臣に詔して、「高殿(たかどの)に登って遥かにながめると、人家の煙があたりに見られない。これは人民たちが貧しくて、炊(かし)ぐ人がないのだろう。昔、聖王の御世には、人民は君の徳をたたえる声をあげ、家々では平和を喜ぶ歌声があったという。いま自分が政について三年たったが、ほめたたえる声も起こらず、炊煙はまばらになっている。これは五穀実らず百姓が窮乏しているのである。都の内ですらこの様子だから、都の外の遠い国ではどんなであろうか」といわれた。
 三月二十一日、詔して「今後三年間すべて課税をやめ、人民の苦しみを柔げよう」といわれた。この日から御衣や履物は破れるまで使用され、御食物は腐らなければ捨てられず、心をそぎへらし志をつつまやかにして、民の負担を減らされた。宮殿の垣はこわれても作らず、屋根の茅はくずれても葺(ふ)かず、雨風が漏れて御衣を濡らしたり、星影が室内から見られる程であった。この後天候も穏やかに、五穀豊穣が続き、三年の間に人民は潤ってきて、徳をほめる声も起こり、炊煙も賑やかになってきた。 続きを読む 皇道政治の理想を冒涜する不況下の増税強行