「西洋近代への抵抗」カテゴリーアーカイブ

キャノン機関

G2直轄の秘密工作機関
 キャノン機関とは、GHQ参謀第2部(G2)のチャールズ・ウィロビー少将が情報将校としてのジャック・Y・キャノン(Jack Y. Canon)の能力を買い、G2直属機関として組織した秘密工作機関で、本郷の旧岩崎邸に本部を構えていた。
 1951年には、作家の鹿地亘を拉致監禁した。ウィロビー少将は、米女流作家アグネス・スメドレーがゾルゲ・スパイ事件に連座しているとにらみ、鹿地からスメドレーに関する情報を得たいとも考えたという(春名幹男「対日工作の系譜・その1(4)」『熊本日日新聞』1997年11月21日付朝刊)。 続きを読む キャノン機関

占領期の言論統制関連文献

関連書籍類

著者 書籍写真 書名 出版社 出版年 備考
ジョージ・ウェラー著、アンソニー・ウェラー編、小西紀嗣訳   GHQが封印した幻の潜入ルポ ナガサキ昭和20年夏 毎日新聞社 2007年7月  
浦田義和   占領と文学 法政大学出版局 2007年2月  
山本武利編   占領期文化をひらく―雑誌の真相 早稲田大学出版部 2006年8月   続きを読む 占領期の言論統制関連文献

占領期の言論統制

戦争犯罪宣伝作戦

 アメリカによる日本の言論統制の目的は、戦前の日本の行為を全て悪、連合国の行為を全て善とする一方的な考え方を日本に浸透させることにあったのではなかろうか。
日本政府の行為も、在野の興亜論者の行為も、アメリカに不都合なものは、全て悪とされたのである。この占領期に行われた言論統制は、徹底したものであった。現在、興亜論者の正義の行動が容易に受け入れられないのも、この言論統制の後遺症なのか。 続きを読む 占領期の言論統制

三木清の思想

 ロゴスとパトスの統合、理性・言語と感情・イメージの統合を目指した思想家・三木清が見直されつつある。
アジア伝統社会の原理と西洋近代の自由主義、アジアの神秘的「知」と西洋近代の合理的「知」の対立を超えて、新しいアジア社会、新しいアジア的「知」を形成するための思想として、いまなお三木の思想から学ぶべき点が少なくないからである。中村雄二郎氏ら日本を代表する哲学者たちは、西田幾多郎とともに三木の問題意識に触発された部分が小さくない。
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『興亜運動と頭山満翁』

 『興亜運動と頭山満翁』は、興亜陣営の活動家、鈴木善一が、昭和17年に頭山の米寿を祝し、頭山から受けた教訓感銘を綴ったものである。鈴木は、明治36年に茨城県で生まれた。国士舘時代に親交を持ったのが、八幡博堂で、彼とは昭和4年5月に信州国民党を設立している。 続きを読む 『興亜運動と頭山満翁』

『東亜同文書院大旅行誌 第21巻 足跡』

 

『東亜同文書院大旅行誌 第21巻 足跡』第26期生(昭和5年)

若宮二郎、大久保英久、宮澤敝七、祖父川瀬徳男「白樺の口吻」

 想
 これは四人の男の、黒龍江の畔に、赤いロシアの山河を望みつゝ彷徨したあの想出の合作なのである。旅は人生の縮図とか。悦びも悲しみも、憂ひも不安も、総てを時の移りに委せて、村から村へ、站から駅へ、転々として漂泊ふ四名の男、猜疑の眼、露はなる排斥の中に、人種と言葉とを異にする国の奥地で、確と手と肩とを組み合せた我々が、危い足ごりで辿った足跡の回想である。 続きを読む 『東亜同文書院大旅行誌 第21巻 足跡』

村岡清蔵

青島地湧塾で日中提携を目指す

村岡清蔵は、明治42年に佐賀県で生まれた。大正13年、大連の旧制高等小学校を卒業し、翌14年に大連の日本山妙法寺において、得度仏門に入る。
彼が、前田虎雄と出会うのは、大正15年11月、栃木県那須の日本山妙法寺においてであった。以来、前田と行動をともにし、昭和8年の神兵隊事件に参加、投獄される。昭和10年秋に出獄した後、葦津耕次郎の教えを受けて、神道、国学思想に開眼、嗣子珍彦とも親交を持つようになる。
昭和15年1月、立正興亜塾を東京に開設、青年同志の養成に努めた。この年7月の七・五事件に参加し、再び投獄されている。翌昭和16年に出獄、昭和17年に中国に渡った。昭和18年青島地湧塾の塾長となり、熟生とともに日中間の真の提携を目指した。昭和19年には地湧塾の生徒たちとともに、済南に移転し、山東立志工業学校を創設し、中国人のみ500余名の育成に当たった。
昭和20年8月15日、終戦の大詔を拝聴して自決を決意し、久子夫人とともに自宅において自決した。

神兵隊事件─昭和皇道維新の断行

昭和皇道維新の断行

昭和8年7月の神兵隊事件は、斉藤実を首班とする内閣を妥当し、一挙に国家の現支配機構を破壊し、帝都を動乱化して戒厳令下に導き、大詔渙発を奏請して皇族を首班に推戴する臨時非常内閣を樹立し、これを中心に新政治機構を組織し、日本主義皇道を指導原理として帝国憲法をはじめ法律、政治、経済その他諸般の制度を根本的に改廃することを狙って行われようとしていた。その目的は、皇国本来の一君万民・祭政一致の天皇政治を擁立し、神武肇国の皇政に復古し、明治維新の追完たる昭和皇道維新を断行することであった。 続きを読む 神兵隊事件─昭和皇道維新の断行

敬天愛人運動の理想及び綱領

理 想
社會的自由と個人的自由の一致する全人類の健全なる有機的社會の創造を期す。
綱 領
一、天皇を政教の淵源とし維新の鴻謨を翼贊して其發展完成を期すること。
二、社會の單位を家族とし統治の單位を氏子中心とすること。
三、經濟と道徳の一致を求め土地或は職業を與へて一人の飢民なからしむること。 続きを読む 敬天愛人運動の理想及び綱領