一、肇国の理想と家族的共同体
「人民の利益となるならば、どんなことでも聖の行うわざとして間違いない。まさに山林を開き払い、宮室を造って謹んで尊い位につき、人民を安ずべきである」(宇治谷孟訳)
『日本書紀』は、肇国の理想を示す神武創業の詔勅をこのように伝える。皇道経済論では、国民を「元元」(大御宝)として、その安寧を実現することが、肇国の理想であったことを強調する。
山鹿素行の精神を継承した経済学者の田崎仁義は、皇道の国家社会とは、皇室という大幹が君となり、親となって永遠に続き、親は「親心」を、子は「子心」を以て国民相互は兄弟の心で相睦み合い、純粋な心で結びついている国家社会だと説き、それは力で社会を統制する「覇道の国家社会」とも、共和国を指向する「民道の国家社会」とも決定的に異なるとした[i]。
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書籍
著者 | 書籍写真 | 書名 | 出版社 | 出版年 | 備考 |
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伊藤雄志 | 山路愛山とその同時代人たち―忘れられた日本・沖縄 | 丸善プラネット | 2015年10月 | ||
山路愛山 | 源頼朝―時代代表日本英雄伝 | 平凡社 | 2008年2月 | ワイド版東洋文庫 477 | |
伊藤雄志 | ナショナリズムと歴史論争―山路愛山とその時代 | 風間書房 | 2005年10月 | ||
山路愛山 | 現代金権史 | 文元社 | 2004年3月 | 教養ワイドコレクション | |
千葉俊二 坪内祐三 | 日本近代文学評論選 明治・大正篇史 | 岩波書店 | 2003.12 | (岩波文庫) | |
山路愛山 | 基督教評論 | 日本図書センター | 2003 | (近代日本キリスト教名著選集 鈴木範久監修 第3期 キリスト教受容史篇 17) | |
徳冨蘆花、木下尚江他 | 徳冨蘆花・木下尚江 | 筑摩書房 | 2002.1 | (明治の文学 第18巻) | |
藪禎子、吉田正信、出原隆俊校注 | キリスト者評論集 | 岩波書店 | 2002 | (新日本古典文学大系 佐竹昭広ほか編 明治編 26) | |
山路愛山 | 岩崎弥太郎 | 大空社 | 1998.11 | (近代日本企業家伝叢書 4) 続きを読む 山路愛山関連文献 |