安倍政権の姿勢は、わが国が属国であることを認めることになる

 元CIA職員エドワード・スノーデン氏による暴露をきっかけに公になった米国家安全保障局(NSA)の諜報活動が、同盟国にも及んでいたことが、極めて深刻な問題として受け止められつつある。
 「同盟」とは名ばかりで、わが国はアメリカの監視対象であることが暴露されたわけである。にもかかわらず、日本政府はアメリカの姿勢を問いただそうともしない。わが国がアメリカの属国であることを、自ら認めているようなものである。

 こうした中で、『琉球新報』社説(7月3日)が、「米の大使館盗聴 傲慢さ批判し究明求めよ」と題して、明確な主張を展開した。以下、その一部を転載させていただく。
 〈「同盟」や「友好国」の呼称が空虚に響く所業である。米国は事実関係を全て明らかにし、盗聴活動を即刻やめるべきだ。
 メールや携帯電話の通話などの個人情報収集への批判が高まると、米国は「対テロ対策」と言い張り、沈静化に躍起となっていた。
 自国の欲望をむき出しにし、大使館などを標的にした組織的で大掛かりな盗聴が明らかになるに至っては、「対テロ」の“大義”は完全に失われたと言えよう。
 米国の国益だけを最優先し、外交交渉を有利に運ぶため、手段を選ばない唯我独尊、傲慢(ごうまん)さが際立つ。欧州各国は猛反発し、真相究明を求める声が上がっている。
 フランスのオランド大統領は「同盟国に対するこのような行為は容認できない」と非難し、ドイツ政府報道官は「全く容認できない」と反発した。独連邦検察庁は訴追も視野に事実関係の調査を始めている。
 盗聴は国家間の信頼関係を根底から損なう。主権国家として厳しい対応を取るのは当然だろう。
 オバマ大統領は「どの国の諜報機関も、機密情報を集めようと活動している」と半ば開き直ったが、他国の公館を対象にした盗聴を正当化することはできまい。
 一方、対米一辺倒の外交から抜け出せない日本は、菅義偉官房長官が「外交ルートを通じて確認を求めている」としているが、欧州の首脳に比べて対応が弱すぎないか。
 沖縄の基地問題をめぐる日本政府の情報が筒抜けになり、米軍再編などの交渉が米側有利に進んだ可能性もある。事態は重大だ。安倍晋三首相が先頭に立ち、毅然(きぜん)たる態度で米側に真相を全て明らかにするよう求めねばならない。〉

坪内隆彦