2013年11月28日、東洋大学の鎌田耕一氏が部会長を務める「労働力需給制度部会」で、派遣労働者の派遣期間の制限を撤廃する案が示された。
これは、国体の理想を踏みにじり、資本の論理を貫徹しようとする大企業の要請にしたがって、「大御宝」である労働者を道具のように扱おうとする暴挙である。小泉・竹中路線による労働分野の新自由主義的政策の再来だ。
『朝日新聞』は〈1985年にできた派遣法は、派遣労働者に仕事を任せるのを「例外」として制限してきた。これを緩和することで、すべての仕事を長く派遣に任せられ、労働政策の転換点となる〉と指摘している。
「日本の自立」カテゴリーアーカイブ
日米財界人会議共同声明、TPP「全品目の関税撤廃を」
2013年11月15日、日米財界人会議は共同声明を発表し、TPPですべての品目の関税撤廃を目指すよう求めた。
日米財界人会議を開催しているのは、日米経済協議会(Japan-U.S. Business Council)で、現在(2013年4月)以下のようなメンバーが名を連ねている。
会長 | 米倉弘昌 | 住友化学(株) | 会長 |
日本経済団体連合会 | 会長 | ||
副会長 | 石原邦夫 | 東京海上日動火災保険(株) | 会長 |
佐々木幹夫 | 三菱商事(株) | 相談役 | |
運営委員 | 長谷川閑史 | 経済同友会 | 代表幹事 |
武田薬品工業(株) | 社長 | ||
柄澤康喜 | 三井住友海上火災保険(株) | 社長 | |
川村 隆 | (株)日立製作所 | 会長 | |
小林栄三 | 伊藤忠商事(株) | 会長 | |
宮原耕治 | 日本郵船(株) | 会長 | |
森 詳介 | 関西経済連合会 | 会長 | |
関西電力(株) | 会長 | ||
中尾浩治 | テルモ(株) | 会長 | |
野路國夫 | (株)小松製作所 | 会長 | |
岡村 正 | 日本商工会議所 | 会頭 | |
(株)東芝 | 相談役 | ||
奥 正之 | (株)三井住友フィナンシャルグループ | 会長 | |
小野寺正 | KDDI(株) | 会長 | |
佐藤正敏 | (株)損害保険ジャパン | 会長 | |
佐藤義雄 | 住友生命保険(相) | 社長 | |
下村節宏 | 三菱電機(株) | 会長 | |
豊田章男 | トヨタ自動車(株) | 社長 | |
槍田松瑩 | 日本貿易会 | 会長 | |
三井物産㈱ | 会長 | ||
矢野 薫 | 日本電気(株) | 会長 | |
顧問 | |||
勝俣宣夫 | 日本貿易会 | 前会長 | |
丸紅(株) | 取締役相談役 | ||
小林陽太郎 | 日米経済協議会 | 元会長 | |
槙原 稔 | 日米経済協議会 | 元会長 | |
三菱商事(株) | 特別顧問 | ||
御手洗冨士夫 | 日本経済団体連合会 | 前会長 | |
キヤノン㈱ | 会長兼社長 | ||
西室泰三 | 日米経済協議会 | 元会長 | |
(株)東芝 | 相談役 | ||
桜井正光 | 経済同友会 | 前代表幹事 | |
㈱リコー | 特別顧問 | ||
下妻 博 | 関西経済連合会 | 前会長 | |
新日鐵住金㈱ | 相談役 | ||
氏家純一 | 日米経済協議会 | 前会長 | |
野村ホールディングス(株) | 常任顧問 | ||
監事 | 前田晃伸 | ㈱みずほフィナンシャルグループ | 名誉顧問 |
斎藤勝利 | 第一生命保険(株) | 会長 |
TPP、年内妥結は無理か?
TPP─「大筋合意」という宣伝
TPPについて、新聞が「大筋合意」という言葉を用いて報じることが増えてきている。この言葉は、着々と合意に進んでいることを宣伝するための表現なのだろうか。
「大筋」を辞書で引くと「物事の内容のだいたいのところ、また、基本的なところ。あらまし。大略」とある。つまり、大筋合意とは、細部は別として、基本的な所ではすべて合意するということだろう。
しかし、TPP交渉は、現状では、国有企業への優遇措置をどうするか、著作権の保護期間をどうするか──などで、基本的な合意に達していません。
驚くべきことに、『産経新聞』の本田誠記者が「大筋合意は最終的に一部分野のみとなる見込みだ」(2013年10月3日付)と書いている。一部分野のみの合意が、なぜ「大筋合意」なのだろうか。
マスコミが「大筋合意」という言葉に、いかにこだわっているかを示している。
パソナ・グループ会長・竹中平蔵氏と雇用分野の規制緩和
2013年10月1日に開催された産業競争力会議で、人材派遣会社パソナ・グループ会長を務める竹中平蔵氏がまとめた資料が配布された。ここには、パソナの利益拡大のために、一気に雇用分野における新自由主義路線を加速させようという意図がにじみ出ているように見える。 同日配布された日本経済再生本部がまとめた「成長戦略の当面の実行方針」には、「雇用制度改革・人材力強化」として次のように謳われている。
「民間人材ビジネス活用の加速や待機児童の解消など、人材力強化や雇用制度改革に向けた取組を早期に進めるとともに、国立大学改革プランを本年10月を目途に取りまとめ、人事給与システム改革をはじめとする大学改革の加速を図る。
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TPP交渉は決裂? アメリカのごり押しは受け入れられなかった
TPP交渉は決裂しそうだ。『日本経済新聞』(2013年8月31日付)は、〈知財権をめぐっては、医薬品データや著作権の保護期間について米国と新興国の対立が激しい。米国主導でつくった協定の原案に新興国から異論が噴出し、両者に歩み寄る様子は見えない。
環境については、米国がさまざまな環境保護の国際条約に沿った厳しい基準の導入を要求し、新興国が反発しているようだ。競争政策では、市場で優位に立つ国有企業の定義や規制の方法について、意見がまとまらないという〉と報じた。
また、同日付『産経新聞』も次のように書いた。
〈今会合で対立が鮮明になったのが、「競争」分野で扱われる国有企業の扱いだ。米国は民間企業との公平な競争条件の確保を提案。国有企業への補助金全廃なども含まれるとみられ、マレーシアは会合で「懸念を表明した」(ジャヤシリ首席交渉官)。国有企業の多いベトナムも反対している。…米国が投資家保護策として導入を目指す「国家と投資家の紛争解決(ISDS)条項」に対しても、マレーシア、ベトナムの両国は反発する。
また、関税減免の対象になる製品の基準を決める「原産地規則」では、繊維製品をめぐり米国とベトナムの対立が根深い。米国は原材料の綿花から糸や布、衣料品までTPP域内でつくられた製品のみで関税撤廃すべきだと主張する〉
APECは先進国と途上国の対立で機能停止に陥ったが、TPPもまた合意できないまま、機能停止になる運命のようだ。
労働力需給制度部会を監視せよ!
2013年8月30日、労働政策審議会の労働力需給制度部会が労働者派遣制度の見直しの議論を始めた。20日に厚生労働省の有識者研究会「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」がまとめた、とんでもない報告書に基づいて、議論が進められている。
オブザーバー参加した派遣業界代表や経団連の代表は、企業利益の追求のために、規制緩和を主張している。
小泉・竹中時代の新自由主義への逆行による社稷破壊を許してはならず、委員の発言を監視する必要がある。 続きを読む 労働力需給制度部会を監視せよ!
マレーシア、TPP離脱の可能性も
マハティール元首相がTPPに対する警戒論を繰り返す中で、マレーシア政府がTPPから離脱する可能性も出てきた。2013年8月28日付の『The Malaysian Reserve』は、「Malaysia may review TPP move」と題して次のように報じた。
Malaysia will review its commitment to the controversial Trans Pacific Partnership (TPP) agreement if studies it has commissioned find that the regional free trade agreement (FTA) is detrimental to sections of the Malaysian economy.
Minister of International Trade and Industry Datuk Seri Mustapa Mohamed said following stiff opposition by Malaysian groups, the government has commissioned two studies to weigh the pros and cons of Malaysia joining the TPP.
He said the government will make a decision based on the findings of the two studies.
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TPP年内妥結の虚構
「[地位協定見直し]改憲よりこっちが先だ」(『沖縄タイムス』2013年8月19日付社説)
『沖縄タイムス』は、2013年8月19日付社説で、「[地位協定見直し]改憲よりこっちが先だ」と題して次のように主張した。
〈地位協定がらみの事案に対する解決策は二つある。一つは地位協定そのものを見直し、自治体の権限強化と不平等性の解消を図ること。もう一つは地位協定事案が多発する沖縄の基地密度を大幅に軽減し、事件事故の発生そのものを断つこと、である。
旧安保条約がそうであったように、占領時代に締結された行政協定は、著しく不平等な内容の協定だった。行政協定の不平等な中身をほぼそっくり引き継いだのが現在の地位協定である。
地位協定と関連取り決めは、国家間の軍事的必要を優先するあまり、被害を受ける住民の視点が著しく欠如している。オスプレイの配備は基地周辺の住民生活に大きな影響を与えるが、住民の声を反映させる仕組みは存在しない。
「地位協定で認められているから問題ない」という説明は、住民を納得させることができない。今、問わなければならないのは、冷戦時代に、国民の知らない間にできた地位協定で、21世紀に生起する問題を処理していいのか、という本質的問題だ。
地位協定は現実に対応できない代物になりつつある。憲法改正よりも優先すべきは地位協定の見直しである。国内法の原則適用に向けた外交交渉を始めるべきだ〉