『沖縄タイムス』は、2013年8月19日付社説で、「[地位協定見直し]改憲よりこっちが先だ」と題して次のように主張した。
〈地位協定がらみの事案に対する解決策は二つある。一つは地位協定そのものを見直し、自治体の権限強化と不平等性の解消を図ること。もう一つは地位協定事案が多発する沖縄の基地密度を大幅に軽減し、事件事故の発生そのものを断つこと、である。
旧安保条約がそうであったように、占領時代に締結された行政協定は、著しく不平等な内容の協定だった。行政協定の不平等な中身をほぼそっくり引き継いだのが現在の地位協定である。
地位協定と関連取り決めは、国家間の軍事的必要を優先するあまり、被害を受ける住民の視点が著しく欠如している。オスプレイの配備は基地周辺の住民生活に大きな影響を与えるが、住民の声を反映させる仕組みは存在しない。
「地位協定で認められているから問題ない」という説明は、住民を納得させることができない。今、問わなければならないのは、冷戦時代に、国民の知らない間にできた地位協定で、21世紀に生起する問題を処理していいのか、という本質的問題だ。
地位協定は現実に対応できない代物になりつつある。憲法改正よりも優先すべきは地位協定の見直しである。国内法の原則適用に向けた外交交渉を始めるべきだ〉
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『愛媛新聞』、「日米地位協定の見直しは急務」と
書評─『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(『月刊日本』平成25年6月号)
安政5(1858)年6月、徳川幕府の大老・井伊直弼は朝廷の勅許なしに日米修交通商条約に調印、イギリス・オランダ・ロシア、フランスとも同様の条約を結んだ。これらの条約は、関税自主権がなく、治外法権を承認する不平等条約だった。各条約における治外法権の撤廃は、明治27(1894)年7月に結ばれた日英通商航海条約を契機にようやく実現した。だが、わが国は戦後、1894年以前に逆戻りしてしまったのではないか。その起点が、日米地位協定(前身は日米行政協定)の締結だったと見ることもできる。
本書は、この日米地位協定の問題点をQ&A方式でわかりやすく解説している。問題点は以下の5つに整理される(75頁)。
①米軍や米兵が優位にあつかわれる「法のもとの不平等」、②環境保護規定がなく、いくら有害物質をたれ流しても罰せられない協定の不備など「法の空白」、③米軍の勝手な運用を可能にする「恣意的な運用」、④協定で決められていることも守られない「免法特権」、⑤米軍には日本の法律が適用されない「治外法権」――。
地位協定の発端は、強大な権益を確保しようとするアメリカの横暴だった。日米安保におけるアメリカ側の交渉担当者ジョン・フォスター・ダレスは「われわれが望む数の兵力を、[日本国内の]望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保すること」を目標にしていた。この事実は、ダレスがわが国を属国扱いしていた証拠である。 続きを読む 書評─『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(『月刊日本』平成25年6月号)