「著作/文献」カテゴリーアーカイブ

明和事件の真相─「大弐が幕府に恐れられた理由」『月刊日本』2013年9月号

 『月刊日本』の連載「明日のサムライたちへ 志士の魂を揺り動かした十冊」で山県大弐『柳子新論』を取り上げています。
2013年9月号には、「大弐が幕府に恐れられた理由」と題して、大弐が死罪となった明和事件の真相について迫りました。

『皇極経世書』で宇宙論的歴史観を展開した邵雍

 若林強斎先生の『雑話筆記』には、「易ノ先天の図も邵康節・朱子ノ手ヘワタツテコソ明ニラツ……」とある。
「邵康節」とは、北宋時代の儒学者、邵雍のこと。彼は李挺之から『易経』の河図洛書と先天象数の学を伝授された。先天象数とは、易卦の生変に関する学説に基づく次序や方位によって八卦、六十四卦を配した図。
邵雍は『皇極経世書』で壮大な宇宙論的歴史観を展開した。
なお、『皇極経世書』については川嶋孝周氏による『易學案内―皇極経世書の世界』がある。

連載・山県大弐『柳子新論』①「『柳子新論』を伝えた勤皇僧・黙霖」

 『月刊日本』の連載「明日のサムライたちへ 志士の魂を揺り動かした十冊」、平成25年7月号で『靖献遺言』は完了し、8月号より山県大弐の『柳子新論』に移りました。初回は「『柳子新論』を伝えた勤皇僧・黙霖」です。
吉田松陰が討幕論に到達する過程で、『柳子新論』は重要な役割を果たしました。そして、『柳子新論』の思想を松陰に伝えたのが宇都宮黙霖です。

『強斎先生雑話筆記』研究会①

 折本龍則君とともに継続してきた『靖献遺言』研究会の新たな展開として、若林強斎の発言を高弟山口春水がまとめた『強斎先生雑話筆記』の研究会を、開始します。
テキストは、『神道大系 垂加神道 下』(近藤啓吾先生校注)に収められたものを使用します。

山県大弐を称揚した久坂玄瑞

 久坂玄瑞は『俟采擇録』において、山県大弐についてこう述べている
「明和四年丁亥八月某日、山縣大貳節に死す。山縣嘗て柳子新論十三篇を著す。帷に永澤町に下し、徒を集めて兵を講じ、天朝を尊みて覇者を抑ふ。其志寔にあわれむべし。竟に幕府之を判じ、不敬の至り斬に處す。ああ高山仲縄・蒲生君平よりさきに既にこの人あり。今を距ること殆んど一百年、而して湮滅して顕れざる者、學者多くは罪を懼れ、死を愛顧し、敢て争はざるのみ、敢て言はざるのみ。」