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『維新と興亜に駆けた日本人』の書評(2012年1月15日)─『青年運動』
本書「維新と興亜に駆けた日本人」は、肇国の理想の実現、すなわち「維新の貫徹」を、近代においてさまざまな形で追求した二十人の日本人たちの評伝集である。興亜主義を維新の一環として捉え、特に興亜の志士たちを大きく取り上げている点に本書の稀有な特色がある。
登場人物たちは、西郷隆盛を皮切りに、思想家・ジャーナリストから民族運動家まで、その生涯から思想的背景に至るまで、幅広い視野で論じられている。視点は一貫していて、彼らの評伝を通じて、維新とは何か、維新の実践とは何かについての考察が重ねられていく。本書の最大の読みどころのひとつは、こうした、明治維新にとどまらずに通史的な視点で維新というものを捉える、我々の生きる「現代」にも応用可能な射程の広い維新観である。翻って現代、時代の危機が深まるにつれて、維新という言葉がずいぶんと安く流通するようになったが、本来維新とはいかなるものを意味するのかを再考する上で、本書は最良の導き手であるといってよい。
本書はまた、「日本国体思想史」としても読める。明治維新の原動力となった国体の思想は本書の登場人物たちの思想的背景となっているため、その概要が本書の序論でわかりやすく解説されている。さらに、その近代に於ける先駆者たちの思想・実践が十分に著されているので、近代までの日本国体思想史を概観できることになる。今泉定助のような一般にあまり知られていない思想家が紹介されているのもポイントだ。これだけでも、かかる思潮に関心を持つ読者にとって大いに参考になるであろう。
さて、著者の坪内氏は本書の登場人物たちを「先駆者」として捉える。つまり、単なる「過去の偉人」としてではなく、「我々現代人の先達」として、である。坪内氏は慨嘆する。「私利私欲を優先させ、長いものに巻かれ、行動する勇気を持たない。国家の理想を描かず、愛国心を持たず、ただ強い国に阿る。そのような政治家や言論人は、決して本物の日本人ではない」。さらに、「本来の日本人の生き様が再認識され、そのような日本人によって、再びわが国が指導される日が来ることを願ってやまない」と結ぶ。
我が身を省みていかがであろうか。多くは語るまい。
しかし、いかなる立場にある人であっても、我々一人ひとりが明日の日本を作る担い手である以上、我々一人ひとりが本書から学ぶべき点は多い。一人の日本人として、鑑としての先達の営みを是非とも知っておきたいところだ。評者:呉竹会青年部 冨田 開平氏(『青年運動』平成24年1月)
『維新と興亜に駆けた日本人』の書評(2011年12月20日)─評者・金子宗徳氏/『新日本学』
贈位報告祭における乃木希典将軍(明治40年12月29日)
『中朝事実』の評価①
昭和八年に文部省社会教育局が「日本思想叢書第八編」として刊行した『中朝事実』の解題には、次のように書かれている。 「…儒学の主張する名分や祭祀の義は我が国に於て完全に実現されてゐる。国典と儒学とを並び究むれば此の事が分明して、我が国を以て世界無比の国体となし、天皇の尊厳なるを覚るのである。先生(素行=引用者)は徳川初期に生れ、国学尚ほ未だ勃興せす、水戸学尚ほ未だ興起せざる以前、我が国体の美を称揚し、我が国を中華中国といつた識見の高邁には驚くではないか。是れ先生が大に我が国民道徳に貢献した所以である」(同書二十二頁) 続きを読む 『中朝事実』の評価①
『維新と興亜に駆けた日本人』の書評(2012年1月8日)─『産経新聞』
『維新と興亜に駆けた日本人』の書評(2011年12月25日)─評者・松橋直方氏/『不二』
本書は『月刊日本』誌上の連載がもととなつた、明治を中心に活躍した志士たちの列伝である。簡にして要を得た人物紹介として極めて貴重なものであり、多様なソースからの情報が集約されてゐて教へられるところが非常に多い。個人的には副島種臣の本田親徳との交渉や、渥美勝に執筆の場を提供した松村介石の事績の紹介などに、意表を突かれて感服した。志士たちの系譜学として、これは間違ひなく必読の一書である。
他方において、本書は系譜学を検証する基準とすべき原理の問題について、様々に考へさせる本でもある。開巻劈頭で坪内氏はつぎのやうに述べてをられる。 続きを読む 『維新と興亜に駆けた日本人』の書評(2011年12月25日)─評者・松橋直方氏/『不二』
佐藤清勝『世界に比類なき天皇政治』コンテンツ
佐藤清勝『世界に比類なき天皇政治』コンテンツ
緖論 1
第一篇 西洋政治の論評 8
第一章 西洋政治学に対する批判 8
第一節 総説 8
第二節 国家観に対する批判 10
第三節 法律説に対する批判 12
第四節 君主政治説に対する批判 17
第五節 民主政治説に対する批判 22
第六節 共産政治説に対する批判 25
第七節 批判の綜合 30
第二章 西洋政治学の欠点 31
第一節 総説 31
第二節 政治反抗の思想 33
第三節 権力統制の思想 36
第四節 為政者人格無視の思想 40
第五節 法律統治の思想 43
第六節 道德感情無視の思想 46
第七節 理智偏重の害 49
第三章 西洋政治の実際 50
第一節 総説 50
第二節 西洋政治史の梗概 52
第三節 英国憲法の成立過程 61
第四節 議会政治の実際 71
第五節 議会政治の本質 75 続きを読む 佐藤清勝『世界に比類なき天皇政治』コンテンツ
佐藤清勝『世界に比類なき天皇政治』
立憲勤王党20111220①
政党政治の廃絶を唱えた立憲勤王党。
『立憲勤王党之趣意』立憲勤王党本部、昭和5年。