大井一哲は『建国由来と皇道政治』結論において、教育勅語、戊申詔書、大正天皇の御即位式における勅語、昭和天皇の御即位式における勅語など、明治から昭和初期の詔書・勅語を引いた上で、次のように政府の姿勢を糺した。
「是等の勅語を奉戴したるその当時の総理大臣以下国務大臣は、恐懼して相戒しめ、謹んで聖旨の全国に普及徹底するやう鞠躬尽瘁(きっきゅうじんすい)すべきであつた。しかも彼等は放縦に流れ傲慢に傾き居れる一部国民の歓心を買うことにのみ急であつて、自ら率先して模範となり、忠孝の道、信義勤倹の実、忠実奉公の誠、敬忠奉上の義を国民に訓ゆることを忘れて了つた」
大井は、結論として、全国民が一心同体となり、日本精神を発揮して、政党政治を全滅しつくすべぎだと主張するのである(159―165頁)。