「忠恕」とは何か。
「忠」とは自分の気持ちや心を尽くす「まごころ」。
「恕」とは自分の心を他者に推して「思いやる」こと。
孔子の弟子の曾子の言葉に、
「夫子(孔子)の道は『忠恕』のみ」とある(『論語』里仁篇)。
中国三国時代の魏の学者、王弼は、
「忠は、情の尽なり。恕は情に反りて以って物を同じうするものなり」と注釈している。
「忠」は自分の気持ち(情)を尽くすことであり、「恕」は自分の気持ちを振り返り、物(他者)の気持ちを自分の気持ちと同一視することだと説明している。
そして、朱子の『論語集注』には
「己を尽くすをこれ忠と謂い、己を推すをこれ恕と謂う」とある。