「資本主義」カテゴリーアーカイブ

ローマ法王にも否定された新自由主義者たちの屁理屈「トリクルダウン理論」

 大企業の横暴を擁護するときの新自由主義者たちの屁理屈が「トリクルダウン(trickle-down)理論」。富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)するのだと言う。しかし実際にはそんなことは起こらない。
 ローマ法王フランシスコが2013年11月に発表した初の「使徒的勧告」も、「トリクルダウン理論は立証されておらず、経済的に大きな力を持つ者の善に対するあまりに単純な期待だ」と述べている。

グローバル企業の利益のために、法律もアメリカ化していくのか!

 『司法占領』で、わが国司法主権の喪失を指摘した鈴木仁志氏は、『民法改正の真実─自壊する日本の法と社会』(講談社)において、民法改正によって次のような事態に陥ると警告する。
 「日本企業は、予測可能性の欠如を補うため、改正法のモデルである英米法の判例や国際モデル法の実例を調査して援用することも検討せざるをえなくなろう(そうなれば、わが国のビジネスは、いよいよ米国等の外資系企業の側に有利な土俵の上で勝負せざるをえないこととなる)」

東洋大教授・鎌田耕一氏の暴挙─大御宝を道具化することなかれ

 天皇の大御宝である労働者をまるで使い捨ての道具のように扱うことは、わが國體に適わない。ところが、飽くなき営利追求に走る大企業は労働者を道具として扱おうとしている。その動きを象徴するのが解雇規制の緩和であり、労働者派遣の完全自由化である。
 いま、東洋大教授の鎌田耕一氏を部会長とする「労働力受給制度部会」が、労働者派遣法の大改悪を目指して動いている。労働側の反対で年内の報告書とりまとめを断念したが、鎌田氏は平成26年早々のとりまとめを目指している。
 國體護持の立場から、保守派こそが「大御宝の道具化」反対の先頭に立つべきである。

    財閥富を誇れども 社稷を念ふ心なし

「大御宝」である労働者を道具のように扱おうとする暴挙

 2013年11月28日、東洋大学の鎌田耕一氏が部会長を務める「労働力需給制度部会」で、派遣労働者の派遣期間の制限を撤廃する案が示された。
 これは、国体の理想を踏みにじり、資本の論理を貫徹しようとする大企業の要請にしたがって、「大御宝」である労働者を道具のように扱おうとする暴挙である。小泉・竹中路線による労働分野の新自由主義的政策の再来だ。
 『朝日新聞』は〈1985年にできた派遣法は、派遣労働者に仕事を任せるのを「例外」として制限してきた。これを緩和することで、すべての仕事を長く派遣に任せられ、労働政策の転換点となる〉と指摘している。

パソナ・グループ会長・竹中平蔵氏と雇用分野の規制緩和

 2013年10月1日に開催された産業競争力会議で、人材派遣会社パソナ・グループ会長を務める竹中平蔵氏がまとめた資料が配布された。ここには、パソナの利益拡大のために、一気に雇用分野における新自由主義路線を加速させようという意図がにじみ出ているように見える。 同日配布された日本経済再生本部がまとめた「成長戦略の当面の実行方針」には、「雇用制度改革・人材力強化」として次のように謳われている。

「民間人材ビジネス活用の加速や待機児童の解消など、人材力強化や雇用制度改革に向けた取組を早期に進めるとともに、国立大学改革プランを本年10月を目途に取りまとめ、人事給与システム改革をはじめとする大学改革の加速を図る。
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「南北問題」封印の力学

以下の表は、国立国会図書館所蔵の書籍のうち、書名に「南北問題」を含む書籍である。
年代別に点数を見ると、1960年代9点、1970年代35点、1980年代29点、1990年代13点、2000年代8点となっている。1970年代、1980年代が圧倒的に多い。
南北問題が解決を見たわけではないのに、2000年代移行南北問題に関する書籍の刊行が激減しているのである。そこに、南北問題を封印しようとする見えない力学を感じる。

タイトル 著者 出版社 出版年
低開発国貿易と援助問題 いわゆる南北問題の解明 外務省経済局 外務省経済協力局 国際連合局 編著 日本国際問題研究所 1964
南北問題入門 低開発国と日本 日本経済新聞社 1964
国連貿易開発会議の研究 南北問題の新展開 外務省 編 世界経済研究協会 1965 続きを読む 「南北問題」封印の力学

「国境なき子どもたち」の活動

2013年9月12日放送の日本テレビ「NEWS ZERO」で、「NPO法人 国境なき子どもたち」の2013年友情のレポーター取材が紹介された。
HPによると、「国境なき子どもたち」(KnK)は「世界の恵まれない青少年を支援すること」、そして「日本の一般市民、とりわけ若い世代の人々に対し教育啓発すること」を使命とし、1997年に日本で設立された。
「NEWS ZERO」ではカンボジアで交流が紹介されていたが、同国になぜ支援が必要かについて、HPは次のように書いている。 続きを読む 「国境なき子どもたち」の活動

労働力需給制度部会を監視せよ!

2013年8月30日、労働政策審議会の労働力需給制度部会が労働者派遣制度の見直しの議論を始めた。20日に厚生労働省の有識者研究会「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」がまとめた、とんでもない報告書に基づいて、議論が進められている。
オブザーバー参加した派遣業界代表や経団連の代表は、企業利益の追求のために、規制緩和を主張している。
小泉・竹中時代の新自由主義への逆行による社稷破壊を許してはならず、委員の発言を監視する必要がある。 続きを読む 労働力需給制度部会を監視せよ!

「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」の暴挙


小泉・竹中の新自由主義路線は、労働分野にも強引に持ち込まれ、格差の拡大に拍車をかけ、わが国の社稷を破壊していった。この流れに終止符を打ったのが、2009年の政権交代であった。同年9月9日、民主党、社会党、国民新党の連立与党は、次のように合意した。「日雇い派遣」「スポット派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる。これらは、小泉時代の新自由主義を正し、大御宝である労働者を守るための当然の規制である。
三党合意に基づいて、2010年4月には労働者派遣法改正案が提出されたが、成立しないまま時間だけが過ぎていった。この間、改正案成立を強く主張していた社民党が連立政権を離脱した。
そして、2011年11月に異常事態が起こったのだ。驚くことに、民主党は、自民党、公明党との間で「製造業派遣の原則禁止」を削除した改正案に合意し、法案を骨抜きにしてしまった。民主党に対する人材ビジネス業界からの働きかけがあったのか。
そして、2013年8月20日に、厚生労働省の有識者研究会「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が、とんでもない報告書をまとめた。座長を務めているのは、鎌田耕一東洋大学法学部教授。
そこには、「企業が一つの業務に派遣労働者を使用できる期間を最長3年に制限する現行ルールを撤廃し、労働組合の同意を条件に人を入れ替えれば派遣を使い続けられるようにすべきだ」と謳われている。
安倍政権は、社稷を破壊する小泉時代の新自由主義路線に戻ろうというのか。

「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」報告書(2013年8月20日)

佐々木実「竹中平蔵氏の正体」英訳

 以下は、『月刊日本』2013年7月号に掲載された佐々木実氏のインタビュー記事「竹中平蔵氏の正体」の全文英訳です。

A True Picture of Heizo Takenaka

 Minoru Sasaki, journalist

Heizo Takenaka as Seeker of Regulatory Reform in the Field of Labor

NIPPON: In your book Shijo to kenryoku [Markets and Power] (Kodansha), you focus on depicting the real Heizo Takenaka. The book is full of suggestions for people who wonder just how it was that neoliberalism came to be introduced to Japan.

SASAKI: Takenaka said at the first meeting of the Industrial Competitiveness Council (ICC) on January 23, 2013, that “there is no magic wand for growth strategy; regulatory reform that gives corporations freedom and makes them more muscular is the first element of growth strategy.” The following day, Prime Minister Shinzo Abe proclaimed the necessity of regulatory reform using a manner of speaking that followed Takenaka’s statement almost to the letter. It was a scene that was symbolic of the closeness between Prime Minister Abe and Takenaka.

Takenaka had played a major role during the years of the Koizumi administrations. He was subsequently the subject of various criticisms, and during the years of the Democratic Party of Japan administration it seemed for a moment that he might have become a has-been. However, he survived, was picked up by Prime Minister Abe, and is now the leading neoliberal ideologist.

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