東南アジア料理論⑲

ココナツミルク

ココナツミルクのデザート(19日目)
東南アジアのデザートには、ココナツミルクが欠かせない。
よく知られているのが、ナタデココである。ナタデココとは、スペイン語で「ココヤシの浮遊物」の意味で、ココナツミルクを発酵させたデザートである。タイなどを含め東南アジア各地には類似のデザートがあるが、やはり本場はフィリピンである。
ナタデココが日本でブームになったのは、その独特の歯ごたえに加え、ヘルシーさにある。日本の健康志向とうまく合致したのである。まず、低カロリーである。そして、食物繊維も豊富。ナタデココの繊維成分であるセルロースに血中のコレステロールの低下作用があるとの研究もある。 
ナタデココ普及には、日本の食品メーカーが果した役割も小さくない。特に貢献したのが、煮豆やつくだ煮、昆布など総菜を手掛けるフジッコである。1989年春、同社の商品開発担当の女性社員が、神戸・元町の中華街にある食材店でナタデココを見つけたのがきっかけである。同社は、フィリピンからナタデココを取り寄せ、商品化へ試験を重ねたという。そして1993年頃には、ナタデココはかつてのティラミスのように大ブームとなり、フィリピンでの生産が増え続ける需要に追い付かなくないほどだった。
ナタデココにつつぎ、アロエベラにココナツミルクを入れたデザート「アロエココ」の人気が高まった時期もある。美容・健康によいと注目されているアロエの中でも、特に食用に適しているのが肉厚のアロエベラ。透明でプチプチした繊細な食感だ。もともとアロエは古くから医者いらずと呼ばれ、万病を治すと言われてきた。
ココナツミルクはタピオカとの相性がいい。半透明で、独特の歯ごたえがあるタピオカは、キャッサバや、マレーシアやインドネシアの海岸湿地に生えるサゴヤシの木のしんからデンプンを集めて作る。
ミャンマーには、ゼリー、もちコメ、タピオカなどに氷入りのココナツミルクをかける「シュイイェンエイ」という伝統的なお菓子がある。ラオスには、もちのかわりにカボチャを使った「ナム・ワーン・マック・ウツ」というお汁粉がある。また、フィリピンには「ギナタアン」というお汁粉がある。ベトナムには「チェー・チュオイ」というバナナのぜんざいがある。これらにすべて欠かせないのがココナツミルクなのである。
近年では、アジアの国々のデザートや軽食を手軽に楽しめる新手のカフェが若い女性に受けている。そこでのメニューにもココナツミルクを使ったデザートが少なくない。

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