一水会の木村三浩代表は『月刊日本』9月号に掲載されたインタビュー記事で、わが国防衛産業振興の観点からのオスプレイ導入反対論を展開した上で、次のように語っています。
〈知識人すらも日米安保体制という既定路線に囚われてしまっているということだ。しかし、日米安保体制を強化することで日本の国防を強化するという主張は、到底受け入れられるものではない。なぜならば、これはアメリカの属国という立場に基づく主張だからだ。この主張は、中国の属国にならないために、ますますアメリカの属国になるべきだというようなものではないか。
このような主張の背後には、日米安保体制を維持することによって成り立つ利権構造が存在していると言わざるを得ない。政治家、外務・防衛官僚、防衛産業、学者、マスコミが「日米安保利権」を貪っており、森本敏防衛大臣はその中心的な人物だ。もし、利権の維持のために日米安保の固定化を主張するような輩がいるとすれば、それは愛国者の皮を被った売国奴に他ならない。
我々は、独立自尊の日本を志向する立場から、日米関係を論じなければならない。確かに日米の友好関係はあって然るべきだろう。しかし対米関係において、日本が属国として主従関係を結ぶということと、日本が独立国として対等な関係を築くということは、全く別の話だ。日米安保体制から脱却することと、「日米関係」を継続することは、区別して考えなければならない。〉
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伊藤貫著『自滅するアメリカ帝国』の書評
恐らくそうなのだろうと考えていたことを、ズバリと言ってくれた。そんな爽快感を与えてくれる一冊である。著者の伊藤貫氏はアメリカ在住の戦略家で、アメリカ国務省や国防総省の官僚から入手した情報に基づいて重大な事実を暴露していく。
一九八九年の冷戦終結に合わせて、ジェームズ・ファローズは「日本封じ込め」と題した論文を発表していた。当時、日本異質論者などと呼ばれた彼らの主張は日本でも注目されたが、アメリカ政府の考え方とは一線を画する異端者の論説として扱われていたように思う。
ところが、伊藤氏は一九九〇年にブッシュ(父)政権のホワイトハウス国家安全保障会議が「冷戦後の日本を、国際政治におけるアメリカの潜在的な敵性国と定義し、今後、日本に対して封じ込めを実施する」という政策を決定していた事実を明らかにした。この事実を伊藤氏は、国務省と国防総省のアジア政策担当官、連邦議会の外交政策スタッフから聞いていたという。また、ペンタゴン付属の教育機関であるナショナル・ウォー・カレッジ(国立戦争大学)のポール・ゴドウィン副学長も、伊藤氏に「アメリカ政府は、日本を封じ込める政策を採用している」と明かしたという(57、58頁)。 続きを読む 伊藤貫著『自滅するアメリカ帝国』の書評
「対米自立のために自主防衛体制を確立せよ 明日のアジア望見 第78回」『月刊マレーシア』504号、2009年7月10日
北朝鮮がミサイルを発射した翌日の五月二十七日、アメリカの政治評論家チャールズ・クラウトハマー氏は、フォックス・ニュースに出演し、北朝鮮の核開発阻止のための交渉というゲームはすでに終わったと指摘した上で、いま北朝鮮に対して取るべき行動は、日本が核武装国家として宣言するよう勧めることだと語った。彼は二〇〇三年一月にも、『ワシントン・ポスト』紙で、中国に北朝鮮の核開発を阻止させるためには、「ジャパン・カード」(日本の核武装)を切るしかないと主張、二〇〇六年十月にも、ブッシュ政権が日本の核武装を支持するよう訴えていた。ブッシュ大統領のスピーチ・ライターを務めたデビッド・フラム氏もまた、二〇〇六年十月にブッシュ政権に対して、日本に核拡散防止条約(NPT)の破棄と核抑止力の構築を奨励すべきだと書いた。 続きを読む 「対米自立のために自主防衛体制を確立せよ 明日のアジア望見 第78回」『月刊マレーシア』504号、2009年7月10日