TPP交渉は決裂しそうだ。『日本経済新聞』(2013年8月31日付)は、〈知財権をめぐっては、医薬品データや著作権の保護期間について米国と新興国の対立が激しい。米国主導でつくった協定の原案に新興国から異論が噴出し、両者に歩み寄る様子は見えない。
環境については、米国がさまざまな環境保護の国際条約に沿った厳しい基準の導入を要求し、新興国が反発しているようだ。競争政策では、市場で優位に立つ国有企業の定義や規制の方法について、意見がまとまらないという〉と報じた。
また、同日付『産経新聞』も次のように書いた。
〈今会合で対立が鮮明になったのが、「競争」分野で扱われる国有企業の扱いだ。米国は民間企業との公平な競争条件の確保を提案。国有企業への補助金全廃なども含まれるとみられ、マレーシアは会合で「懸念を表明した」(ジャヤシリ首席交渉官)。国有企業の多いベトナムも反対している。…米国が投資家保護策として導入を目指す「国家と投資家の紛争解決(ISDS)条項」に対しても、マレーシア、ベトナムの両国は反発する。
また、関税減免の対象になる製品の基準を決める「原産地規則」では、繊維製品をめぐり米国とベトナムの対立が根深い。米国は原材料の綿花から糸や布、衣料品までTPP域内でつくられた製品のみで関税撤廃すべきだと主張する〉
APECは先進国と途上国の対立で機能停止に陥ったが、TPPもまた合意できないまま、機能停止になる運命のようだ。