2005年10月に開催された第18回東京国際映画祭は、アジア映画の躍進のみならず、アジア合作の時代を印象づけた。ハリウッド映画を押しのけて、日中合作「単騎、千里を走る。」がオープニングを飾り、クロージングには「力道山」が選ばれたからである。
文化大革命後、中国で初めて上映された日本映画が高倉健主演「君よ憤怒の河を渉れ」(1976年、監督・佐藤純彌)であった。中国全土で大ヒットし、多くの中国人に感銘を与えた。若き日の張芸謀(チヤンイーモウ)監督もその一人であった。一方、高倉はチャン監督の「初恋のきた道」(1999年)を称賛、これに感激したチャン監督が2000年に高倉主演の映画制作を決意し、「単騎、千里を走る。」に結実した。
「単騎」とは「三国志」の英雄関羽のことで、「単騎、千里を走る。」は映画の中で登場する雲南省に伝わる仮面劇のタイトルでもある。
一方、ソン・ヘソン監督の「力道山」は、韓国の実力派俳優ソル・ギョングとともに中谷美紀や藤竜也ら日本人俳優が多数出演する日韓合作映画だ。
さらに、中国の陳凱歌(チェンカイコー)監督の「PROMISE」には、真田広之と「韓流四天王」のチャン・ドンゴン、中国のセシリア・チャンらスター俳優が共演する。
「同じ月を見ている」に出演した香港のエディソン・チャンは「アジアの国々が一体になれば、アメリカより強いものが作れる。遅かれ早かれ、中国や韓国、日本などの俳優がそろった映画が製作されるようになっていくと思う」と期待する(『日本経済新聞』2005年11月5日付朝刊)。
いずれアジア合作映画は、アジア的価値観を世界に発信する有力な手段ともなるだろう。
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