「特定産業振興臨時措置法案」カテゴリーアーカイブ

特定産業振興臨時措置法案の概要

(A)特定産業の指定 合金鉄・特殊鋼・自動車・自動車タイヤ・石油化学その他これに準ずる産業で政令で定められた業種であつて、当該業界の申し出により、産業合理化審議会の意見を聞いて政令で指定される。
(B)振興基準 特定産業が指定されたときは、主務大臣・当該産業界代表・金融界代表・大蔵大臣が当該特定産業の振興をはかるための基準(規格の整備、生産専門化、設備投資の適正化、合併等に関する事項)について討議し、前二者の合意で決定する。
(C)特定産業を営む者の努力等 特定産業を営む者は振興基準に従つて生産または経営規模の適正化を通じて産業活動を効率化するように努力を要請され、銀行も資金供給に当り留意し、政府関係金融機関は、資金供給に努める。
(D)資金の確保 政府は、特定産業を営む者に対する必要な財政資金の確保に努める。
(E)合併等の場合の課税の特例 主務大臣が振興基準で定められた方針に従つて産業活動を効率化することに寄与すると認定した法人の合併・設立等について、登録税または法人税の軽減を行なう。
(F)合理化のための共同行為 振興基準で定められた方針に従つて産業活動を効率化するため必要があるときは、特定産業を営む者は、主務大臣を経由し公正取引委員会の認可を受けて、①品種または生産方式の制限、②品種別または生産用式別の生産数量の制限、③生産の設備の制限または処理、④部品の購入方法、⑤生産・保管または運送の施設の利用、⑥事業の廃止に伴う調整金の授受の共同行為を実施できる。
(G)合併に関する判断の基準の公表 主務大臣は、公正取引委員会に対し、特定産業を営む者のする合併が、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるか、どうかの判断の基準となるべき事項の公表を求めることができる。
(H)有効期間 五年の限時法である。
(『通商産業省年報 昭和37年度』)