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『日本のお米が消える』(『月刊日本』平成30年2月号増刊)

平成30年1月29日、『日本のお米が消える』(『月刊日本』平成30年2月号増刊)を発売しました。
モンサントなどのグローバル種子企業は、遺伝子組み換えイネやゲノム編集イネによる市場支配を目論んできました。安倍政権は、このモンサントの野望に手を貸すかのように、日本のおコメを守ってきた種子法を廃止してしまいました。このままでは日本のおコメは消えていきます。

  目 次

はじめに 日本のおコメが消える

第一章 日本のおコメが食べられなくなる
 山田正彦 イネの価格は10倍に跳ね上がります
 八木岡努 おコメの種類が確実に減ります
 中村陽子 害虫や気候の変動に対応できなくなります
 古瀬 悟 タネを作る県がどんどん減っていきます
 山田俊男 民間企業の参入が狙いです
 西川芳昭 種子は公共のものです
  タネを作るにはこんなに時間と手間がかかる! 生産現場ルポ
  種子法を廃止する理由はどこにもありません
  種子法廃止に歯止めがかけられていない
  種子法の父・坂田英一の理想を取り戻そう
  坂田英一が語った種子法への思い
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書評 フィリップ・リンベリー他著『ファーマゲドン』

 破傷風菌やジフテリア菌といった細菌に感染した際には、抗生物質が投与される。しかし、抗生物質は人間の健康保持に必要な常在菌までも殺してしまい、人体に重大な影響を及ぼす可能性があると指摘されている。
 それ以上に恐ろしいのは、抗生物質が効かないスーパー耐性菌の出現だ。2050年には年間1000万人がスーパー耐性菌で死亡すると予測されている。民主党の原口一博元総務相が昨年入院中に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に院内感染したが、これもまたスーパー耐性菌の一種である。
 本書はまた、細菌が抗生物質に対する耐性を獲得することによって、一般的な感染症もまた、再び致命的な病気になると警告している。腸チフス、結核、肺炎、髄膜炎、破傷風、ジフテリア、梅毒、淋病などに対して有効な治療法がなくなるということを意味する。
 元凶は、畜産における抗生物質の乱用だ。そして、この乱用の原因が、本書が指摘する「効率と生産性を徹底的に追求する工業型農業」である。例えば、豚を効率的に飼育するためには、狭い場所にぎゅうぎゅう詰めにして飼育した方がいい。土地も、必要な労働力も小さくて済む。しかし、豚をこんな劣悪な環境に押し込め、ろくに運動もさせていないので病気にかかりやすくなる。そこで、病気予防のために大量の抗生剤が使われることになるのだ。抗生剤は豚の成長を早める働きもあるため、なおさらその使用に拍車がかかる。
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