「日本の自立」カテゴリーアーカイブ

内田樹氏「安倍政権は一気に崩壊する可能性があります」

 4月に予定されているオバマ大統領の来日が、国賓待遇ではなく、宮中晩餐会も行われない方向であることが、1月20日、JNNの取材で明らかになった。安倍総理の靖国参拝の影響か。

 『月刊日本』2月号(1月22日発売)のインタビュー記事で内田樹氏は次のように語っている。
〈── アメリカの制止を無視して靖国に参拝した安倍首相は、これまでの路線を変えたということですか。
内田 安倍首相の変化に注目すべきです。昨年、安倍首相はアメリカの指示で村山談話見直しを撤回しました。それは安倍氏には極めて不本意なことでした。だが、今や安倍首相は全能感の中にあるようです。現在の安倍氏と、昨年5月の安倍氏は全くの別人です。
 年末の靖国参拝は、「そちらの要請は受け入れたのだから、あとは好きなようにやらせてもらうぜ」という意志表示だと見るべきです。参拝の直前に、沖縄の仲井真弘多知事は唐突に、普天間基地移設に向けた名護市辺野古沿岸部の埋め立てにゴーサインを出しました。県内の支持を失う覚悟で知事は決断したわけですから、そうとう強圧的な手段を使って知事を動かしたのだと思います。とにかくこの「手みやげ」をアメリカに与えておいて、いわばバーターとしてアメリカのいやがる靖国参拝を強行した。 続きを読む 内田樹氏「安倍政権は一気に崩壊する可能性があります」

電力自由化がもたらす悲劇

 脱原発を掲げて都知事選に立候補した細川護熙氏と、それを支援する小泉純一郎氏が話題になっているが、細川陣営の田中秀征氏は「電力自由化・原発ゼロ」を掲げるみんなの党を支持してきた人物。
 いま、電力自由化に向けた動きが着実に進められていることに注意すべきなのだ。2014年1月15日、茂木経済産業大臣は、政府が進める電力システム改革について、「限られた供給の中で効率的な電力消費が行われる社会を作りたい」と述べ、政府として新規参入を促し、電力小売りの全面自由化を推し進める考えを示した。
 電力自由化がいかなる状況を招くかはすでに先進国で実証済みだ。英米の電力自由化の問題点を取材したシャロン・ビーダー氏は『電力自由化という壮大な詐欺─誰が規制緩和を望んだか』(草思社、2006年)で次のように指摘している。
 
 「電力自由化が実施された地域の大半では、家庭用、小企業用の電気料金が上がり、それも劇的な値上げとなることもしばしばあった。なかでも、取引市場が整備され、有力な大手電力会社が多数存在する地域で市場操作がおこなわれており、日本でも、ひとたび取引市場が始動すれば、こうした現象が起こらないと考える理由はない。…自由化され、民営化された電カシステムのなかでは、世界的に見ても、サービスと信頼性が低下してきた。というのも、規制下にあった電力会社の負っていたサービス責任が、短期的な営利目標に取って代わられたからである。…競合する民間企業が達成できると思われた効率向上は、多くの場合、短期のコスト削減によってもたらされた。それには、サービスの質やレベルを落とすことも含まれており、より安い費用で同一レベルのサービスを提供するわけではなかった。サービスの料金を値上げすることで投資収益率を上げることもあった。しばしばコスト削減は、従業員にたいする報酬と労働条件の切り下げによって達成され、何千という電気労働者が解雇された。…コスト削減のもうひとつの安易な方法は、近視眼的ではあるものの、安全、保守管理、トレーニング、開発研究などにかかる費用を切りつめることである。古くなった設備でも、定期整備したり、故障が起こるまえに交換したりしない。その結果、事故や設備に関連した停電が増加したし、配送電網の保守点検と開発の計画立案と責任は市場優位性を与えられなかった」

今こそ興亜論に目覚めよ!─『大東亜論 巨傑誕生篇』刊行の意義

 年明け早々に、小林よしのり氏の『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論 巨傑誕生篇』を入手、一気に読んだ。
 戦後の言論空間で封印された興亜論、大亜細亜主義思想を漫画にした意義は極めて大きい。特に、不平等条約に反対して命を捨てた来島恒喜烈士の壮絶な生きざまは、史実に基づきつつ、巧みなイマジネーションをも駆使して描かれていると感じた。頭山満翁についても同様だ。
 若い世代の人が本書をまず読み、この問題に関心を抱くことを期待する。

岩月浩二「グローバル企業が国家を解体する」英訳 Global Corporations Will Dismantle the State

以下に『月刊日本』2014年1月号に掲載した岩月浩二先生の「グローバル企業が国家を解体する」の英訳を掲載します。
グローバル企業のための特定秘密保護法の正体を世界に発信すべきだと思います。

Global Corporations Will Dismantle the State

Koji Iwatsuki

Lawyer

The lawyer Koji Iwatsuki describes the Trans-Pacific Partnership (TPP) as an agreement that will bring about a state of investor sovereignty and a tool for global corporations to establish world dominance. He asserts that the unnatural provisions of the Act Relating to the Protection of Specific State Secrets (State Secrets Protection Act) also should be seen as part of this strategy of the United States and global corporations. Gekkan Nippon asked Iwatsuki about the horrifying designs lurking within this legislation.

A Law for the United States and Global Corporations

GN: What is the real purpose of the State Secrets Protection Act?

Koji Iwatsuki: I believe that this legislation really is a means of establishing remote control by the United States and global corporations. Japan is being hijacked by the United States and global corporations. The law is a tool by which they will have efficient control over decision making in Japan and plunder as much profit as they can from Japan’s resources. 続きを読む 岩月浩二「グローバル企業が国家を解体する」英訳 Global Corporations Will Dismantle the State

グローバル企業の利益のために、法律もアメリカ化していくのか!

 『司法占領』で、わが国司法主権の喪失を指摘した鈴木仁志氏は、『民法改正の真実─自壊する日本の法と社会』(講談社)において、民法改正によって次のような事態に陥ると警告する。
 「日本企業は、予測可能性の欠如を補うため、改正法のモデルである英米法の判例や国際モデル法の実例を調査して援用することも検討せざるをえなくなろう(そうなれば、わが国のビジネスは、いよいよ米国等の外資系企業の側に有利な土俵の上で勝負せざるをえないこととなる)」

東洋大教授・鎌田耕一氏の暴挙─大御宝を道具化することなかれ

 天皇の大御宝である労働者をまるで使い捨ての道具のように扱うことは、わが國體に適わない。ところが、飽くなき営利追求に走る大企業は労働者を道具として扱おうとしている。その動きを象徴するのが解雇規制の緩和であり、労働者派遣の完全自由化である。
 いま、東洋大教授の鎌田耕一氏を部会長とする「労働力受給制度部会」が、労働者派遣法の大改悪を目指して動いている。労働側の反対で年内の報告書とりまとめを断念したが、鎌田氏は平成26年早々のとりまとめを目指している。
 國體護持の立場から、保守派こそが「大御宝の道具化」反対の先頭に立つべきである。

    財閥富を誇れども 社稷を念ふ心なし

国家戦略特区に関する記事②

 以下、国家戦略特区に関する「神州の泉」の記事(2013年11月19日)を転載させていただきます。

国家戦略特区は第二次安倍政権になって急に出てきたものだ。
2013年の6月に、アベノミクス「第3の矢」成長戦略の要として創設が閣議決定されている。

日本における特区は大まかに3つの形として出てきている。
最初は2002年、小泉構造改革の一環としての「構造改革特区」、次いで2010年の菅政権時に出た総合特区(「国際戦略総合特区」と「地域活性化総合特区」の2種類がある。)、そして、現在の安倍政権下で出てきた『国家戦略特区』である。
続きを読む 国家戦略特区に関する記事②

国家戦略特区に関する記事①

 以下、国家戦略特区に関する「神州の泉」の記事(2013年11月15日)を転載させていただきます。

国家戦略特区とは、アメリカ多国籍企業の暴力的収奪活動を可能にするための『アリの一穴』政策である

副題:米国多国籍企業と安倍政権はなぜ規制を親の敵にするのか!?

前大田区議会議員の奈須りえ氏が、第二次安倍政権が躍起になっている「国家戦略特区」の危険性について国民に訴えている。国家戦略特区は、今年2013年4月に「産業競争力会議」で、竹中平蔵氏が中核にいて旗を振っていたことは間違いない。
続きを読む 国家戦略特区に関する記事①

TPP交渉は空中分解

 TPP交渉の閣僚会合が2013年12月7日にシンガポールで始まったが、交渉は空中分解の様相を呈しつつある。特許期間延長や国有企業問題で、合意は不可能だからだ。
国内製薬業界の意向を受けてアメリカは新薬の特許期間延長も目指しているが、新興国はジェネリックの開発・普及が遅れるとして、特許期間延長は認めない。
「国有企業問題」で、アメリカは民間企業との対等な扱いを要求しているが、これも新興国は認めない。特に、この分野でのマレーシアの譲歩はありえない。マハティール元首相が公然と反対しているからだ。
ここで注目されるのが、交渉開始2日前の12月5日、マレーシア与党が決定した方針だ。与党UMNO総会で、総裁ナジブ・ラザク(首相)は、ブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)支援対策の重要性を強調、5つの行動計画の一つにも、ブミプトラ経済の強化が盛り込まれたのだ。TPP交渉でのマレーシアの譲歩はない。
わが国もマレーシアの交渉姿勢を見習うべきだ。