「TPPは死んだ!」と言う理由は何か。
8月中の大筋合意がギリギリのタイミングだったからだ。
アメリカでは、大統領がTPP協定に調印するには議会に通告してから90日経る必要がある。仮に9月上旬に大筋合意して、すぐに議会に通告できたとしても、調印は12月上旬以降となる。
来年は大統領選挙で、2月1日には予備選が始まる。こうした状況下で、米議会が協定の法案を審議し、批准にこぎつけることは到底不可能だ。
TPPに反対する労働組合を支持基盤とする民主党議員は、容易にTPP法案へ賛成票を投じることができない。しかも、ISD条項に象徴されるように、TPPがグローバル企業の利益拡大の道具に過ぎないという認識が、アメリカ国内では急速に浸透しつつある。
次期大統領選挙に出馬するヒラリー・クリントンが「雇用を削減したり悪影響を及ぼすような通商交渉から米国は即刻脱退すべき」と主張せざるを得ないのも、アメリカ国内でTPP反対の世論が高まっているからだ。この世論は、時間が経つにつれてさらに高まって行く。横浜国立大学名誉教授の萩原伸次郎氏が指摘しているように、すでにニューヨーク市など13ほどの自治体が「連邦政府が仮にTPPを妥結したとしても、わが自治体はTPPから除外される」といった「TPP排除宣言」を出している。
TPPを完全に葬るには、TPPの本質が何かを暴露し、各国で反対運動を持続させることが必要だ。そのためにも、TPPの本質を十分に報道しない日本の大新聞やテレビを批判していかなければならない。
Please follow and like us: