国史教育のあるべき姿を考える上で、平泉澄先生の『国史学の骨髄』は必読の書と信ずる。同書のポイントを順次紹介したい。平泉先生は同書「一の精神を欠く」(初出昭和3年12月)で次のように指摘している。 「国史の教育は大に改めねばならない。単なる年表抜書を改めて、文化の開展、国民生活の発展、国民思想の進展を明かにし、時代時代の相違をはつきりと描写すると共に、それにも拘らず、国史三千年を貫いて流れる所の精神を感得せしめねばならない。若し斯くの如くにして歴史のうちに己が真の姿を見出し、歴史のうちに己が使命を悟り、歴史のうちに人生の帰趨を求め得ないならば、歴史教育は畢竟無用の長物に過ぎないであらう」(同書143頁)
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