グローバル企業支配に抗するG15とは何か?
ISDS(Investor-State Dispute Settlement、投資家対国家の紛争解決)に象徴すれるように、国家に対するグローバル企業の優越という流れが強まりつつある。
こうした中で、先進国支配に抗し、南北格差の是正に取り組んできたのが、G15(途上国15カ国グループ)である。

G15とは、G8の途上国版ともいいうる会議で、非同盟諸国会議に属する主要途上国による定期会議のことである。1990年6月にマハティール首相(当時)の提唱で第1回会議が開催された。途上国の発展のための経済グループとしては、G77があるが、その結集による力は軽視できないものの、参加国が多過ぎ、小回りがきかないという欠点も指摘されてきた。その点、G15では、突っ込んだ議論が可能で、緊急の問題について討議できるなどの機動性がある。

一言でいうなら、途上国が健全な経済発展を続けるために相互協力を促進し、同時に先進国に対して統一的な立場をとることによって国際社会での途上国の発言力を強化することが目的とされている。
参加国は、マレーシア、アルゼンチン、アルジェリア、ブラジル、チリ、エジプト、インド、インドネシア、ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、セネガル、ベネズエラ、ジンバブエ、ケニア、スリランカ、イランの17カ国。
途上国間貿易(南南貿易)拡大のための具体的措置、貿易データベースの構築など、南南協力を推進してきたほか、その時々の課題に対して先進国に対抗する途上国の統一的立場を練ってきた。

1989年に発足が決まり、1990年6月に第1回のG15会議がクアラルンプールで開催された。その後、カラカス(2回・1991年)、ダカール(3回・1992年)、ニューデリー(4回・1994年)、ブエノスアイレス(5回・1995年)、ハラレ(6回・1996年)、クアラルンプール(7回・1997年)、カイロ(8回・1998年)、モンテゴベイ(9回・1999年)、カイロ(10回・2000年)、ジャカルタ(11回・2001年)、カラカス(12回・2004)、ハバナ(13回・2006年)、テヘラン(14回・2010年)と回った。
坪内隆彦