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ディナールに関する報道(2009年1月15日)

 

January 15, 2009
Gold Dinars As Trading Currency Among Resolutions Passed

KUALA LUMPUR, Jan 15 (Bernama) — Initiatives to expedite the use of gold dinars as an alternative main trading currency is among 29 resolutions adopted at the Third Islamic Economic Congress.
The just concluded four-day congress on Thursday was attended by some 1,000 participants and observers who also wanted the move to integrate Islamic finance system among Islamic nations at regional and global levels be speeded up. 続きを読む ディナールに関する報道(2009年1月15日)

アジア覚醒の先駆者・アブドゥフ②

アフガーニーとともに

アフガーニー

アブドゥフのアフガーニー宛て書簡
 アブドゥフは、ナイル・デルタのファッラーヒーン(農民)の家に生まれ、アズハル在学中からジャマール・アッ=ディーン・アル=アフガーニー(Jamal al-Din al-Afghani/1838~1897年)に師事している。
アフガーニーは、パン=イスラミズム(イスラームの団結)の思想家・行動家として知られる。彼は、イスラームが知的頽廃や専制支配などによって本来の活力を失っていると考えたのだ。だから彼は、各地の専制支配を排除し、ムスリムが連帯して活力を回復しようとした。
アブドゥフは、アフガーニーを偉大なる師と呼び、アフガーニーの顔写真を肌身話さず持ち歩くほど傾倒していた。1884年には、パリでアフガーニーとともに雑誌『固き絆』を創刊している。 続きを読む アジア覚醒の先駆者・アブドゥフ②

アジア覚醒の先駆者・アブドゥフ①

イスラーム改革派

 ムハンマド・アブドゥフ(Muhammad Abduh/1849-1905)は、イスラームに基盤をおいた独自の近代化路線の先駆者と位置づけられる。
西洋的近代化路線への追従を拒否し、クルアーン(コーラン)の柔軟解釈によるイスラームによる独自の近代化を主張する点で、ムスリムの覚醒にとって彼の思想ほど貴重なものはないといっても言い過ぎではないかもしれない。
その思想は、世界のムスリムに脈々と受け継がれている。それは、東南アジアにも生きているようにみえる。筆者は、「WAWASAN2020」に象徴されるマハティール首相の近代化路線を、「アブドゥフの企ての再現・発展として理解したい」と書いたことがある(『アジア復権の希望マハティール』)。
「西欧への盲従」と「中世イスラームへの盲従」をともに退け、また「支配エリートのイスラームにたいする疑念」と「一般ムスリムの近代文明にたいする疑念」の両方を解消すべく努力したと評価されている(飯塚正人「ナショナリズムと復興運動」山内昌之、大塚和夫編『イスラームを学ぶ人のために』(世界思想社、1993年)、93-94ページ)。 続きを読む アジア覚醒の先駆者・アブドゥフ①

米ドル依存から脱却する南米─地域共通決済通貨「スクレ」

 

 米ドル支配からの脱却の動きが南米で広がりつつある。2010年7月6日、ベネズエラとエクアドルが、米州ボリバル同盟(ALBA)の地域共通決済通貨「スクレ(sucre)」による初の決済を開始した。ベネズエラはエクアドルから購入したコメ1万5000トンをスクレ(=1.25ドル)で決済した。 続きを読む 米ドル依存から脱却する南米─地域共通決済通貨「スクレ」

スナイダー/カッツ「新アジア主義」

「オバマ政権は冷戦時代の思考から脱却しろ」と

DANIEL SNEIDER

RICHARD KATZ
 2009年10月、クリスチャン・サイエンス・モニター東京特派員を務めたダニエル・スナイダー氏とジャーナリストのリチャード・カッツ氏が、「新アジア主義」と題して鳩山外交に対するオバマ政権の対応について提言した。
ここでスナイダー氏らは、「このようなドラマティックな外交政策の変化、つまり新アジア主義を携えて、民主党は日本を導こうとしている。同党は、東アジアにおいてリーダーの役割を果たす用意があり、その意思があり、その能力がある。日本がより広範な地域的枠組みを通じて強力な中国との歴史的な対立関係をうまく処理していくことは、日米両国の利益である。ワシントンにとっては、今までより従順でない民主党日本というパートナーに慣れるには時間が要るだろうし、民主党が統治の現実を学ぶのにも時間が要るだろう。しかし、ワシントンも民主党も、冷戦時代の思考にしがみつくのでなく、これを今日的な新しい現実に合わせて日米同盟を再構築する好機とすべきである」(高野孟訳/http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/10/post_394.htmlより)と主張した。 続きを読む スナイダー/カッツ「新アジア主義」

「新しいアジア委員会報告書」─個人と社会の理想的な関係を追求

個人と社会の理想的な関係を追求
 1992年12月19日、マハティール首相(当時)のブレーンとして活躍していたノルディン・ソピーを座長として、「新しいアジア委員会」(Commission for A New Asia)が発足した。ソピーとともに、インドネシア、タイ、フィリピン、シンガポール、ベトナム、日本、中国、香港、インド、バングラデシュ、ロシア、オーストラリアの学者、専門家16名がメンバーに名を連ねていた。日本からは、元外相の大来佐武郎、国際開発センター会長の河合三良、笹川平和財団プログラム・ディレクター(当時)の高橋一生氏の3名が参加していた。
 4度の会議を経て同委員会が1994年1月にまとめたのが、『新しいアジア委員会報告書─新しいアジアに向けて』である。報告書は広範な問題を扱っているが、個人と社会の関係について、次のように述べている点が注目される。 続きを読む 「新しいアジア委員会報告書」─個人と社会の理想的な関係を追求

南部白人層とKKK

かつては民主党の支持基盤

いまなお、アメリカ南部の保守派白人層には、古き良き時代を回帰したいという願望がある。「古き良き時代」とは、リンカーン以前の白人優位のアメリカである。そこには、黒人に対する根強い差別感情が隠されている。
奴隷制に反対する共和党のリンカーンが大統領に当選したのは、1860年のこと。これに対して、奴隷制存続を主張する南部7州は合衆国から脱退しアメリカ連邦(通称「南部連合」)を結成した。1861年に南北戦争が勃発、1965年、南部連合は敗れ合衆国は統一された。戦争中の1863年にリンカーンは奴隷解放宣言を出し、1865年の憲法修正により奴隷制廃止を達成した。 続きを読む 南部白人層とKKK