21世紀の国際情報秩序

報道の自由だけで十分か

 1997年のアジア通貨危機後、再び「21世紀の国際情報秩序」に関する議論が活発になった。それは、「報道の自由」だけで21世紀の情報秩序は十分なのか、という古くて新しい論点を提起している。
この議論は、1970年代にも大きな盛り上りを見せたが、過度の政治化に向い、やがて鎮静化してしまった。ところが、アジア通貨危機に際して、CNN、ロイターといった欧米巨大メディアの報道がアジア各国に与えた影響の大きさから、それら報道機関の在り方が再び問題となり、議論が活発になったわけである。 続きを読む 21世紀の国際情報秩序

TPP協定交渉の分野別状況

政府がまとめた「TPP協定交渉の分野別状況(平成23年10月)」)。

TPP協定交渉では24の作業部会が設けられているが、この報告書では21分野に整理し、各分野ごとに、交渉で扱われている内容、交渉の現状、既存の協定の内容、TPP協定交渉参加を検討する際に我が国として考慮すべき点を整理している。
「考慮すべき点」の中の「我が国にとり慎重な検討を要する可能性がある点」を読めば、協定の危険性が一目瞭然である。

東南アジア料理論⑲

ココナツミルク

ココナツミルクのデザート(19日目)
東南アジアのデザートには、ココナツミルクが欠かせない。
よく知られているのが、ナタデココである。ナタデココとは、スペイン語で「ココヤシの浮遊物」の意味で、ココナツミルクを発酵させたデザートである。タイなどを含め東南アジア各地には類似のデザートがあるが、やはり本場はフィリピンである。
ナタデココが日本でブームになったのは、その独特の歯ごたえに加え、ヘルシーさにある。日本の健康志向とうまく合致したのである。まず、低カロリーである。そして、食物繊維も豊富。ナタデココの繊維成分であるセルロースに血中のコレステロールの低下作用があるとの研究もある。  続きを読む 東南アジア料理論⑲

東南アジア料理論 ⑱

ココナツミルク

飯・麺とココナツミルク(18日目)
マレーシア滞在中、何度か朝起きてすぐ、ブキビンタン界隈の屋台をぶらついた。
朝食を物色していると「ナシレマ」(Nasi Lemak)が目にとまった。これが有名なココナツミルクで炊いたご飯である。
マレーシアでは、干し小魚(イカンビリズ)、ピーナッツ、サンバルで味つけしたイカや野菜などの簡単なおかずといっしょに食べるのが通常のパターン。シンガポールには、マレーシアに近いナシレマと中華風のナシレマとがある。中華風のナシレマにはランチョンミート(油で揚げたハム)がついてくることが多い。  続きを読む 東南アジア料理論 ⑱

東南アジア料理論⑰

ココナツミルク

東南アジアを覆うココナツミルク煮(17日目)
東南アジアはすっぽり魚醤圏に入るが、同時にココナツ圏にも入る。もちろん、ココナツ圏には東南アジアだけでなく南太平洋の島々が含まれる。
「椰子の木の並ぶ白い砂浜」。依然として熱帯地域の国々にはそんなイメージがある。日本ではココナツは結構いい値段だが、当然ながら東南アジアでは極めて安価。道をあるけば人々が気楽にココナツジュースを飲んでいる。
ところで、タイ料理の旨さの秘訣は、「辛、酸、甘、塩」の四種の味が巧みに調和されていることにあるとされる。  続きを読む 東南アジア料理論⑰

東南アジア料理論⑯

酸味野菜

フィリピンの酸味スープ(16日目)

ベトナムのカン・チュアに相当するフィリピンのスープが、シニガン(sinigang)である。
具によって日本の味噌汁感覚にもご馳走にもなるスープで、もう一つの代表的なスープ、ニラガンとともに高い人気を誇っている。シニガンは、カン・チュアと同じように魚醤(パティス)で味を整えるところが特徴である。もう一つの特徴は、米のとぎ汁を入れること。こうすると、味にまろやかさがでるのである。
青トウガラシ、魚醤を使う典型的な東南アジア・スープだが、それほど辛くはない。フィリピンの料理は、次章で述べる通り、一部地方を除いてそれほど辛くないのである。これは、インド文化の影響の及び方とも無関係ではない。  続きを読む 東南アジア料理論⑯

東南アジア料理論⑮

酸味野菜

タマリンド(15日目)

カレーは、スパイスだけでなく独特の酸味に支えられている。これはタマリンド(Tamarind)の酸味によるものである。

 タマリンドというのは、熱帯原産のマメ科の常緑高木で、さやは十センチメートルから十五センチメートルに成長して、焦げ茶色に熟してくる。豆を包んでいる赤茶色のペースト状の果肉の部分に酸味があるのだ。その酸味は、レモンよりもむしろ梅干しに近い。酒石酸およびクエン酸で、消化を助け、身体の熱をとる作用もあるという。  続きを読む 東南アジア料理論⑮