「新自由主義」カテゴリーアーカイブ

国会で問題になった竹中平蔵③

平成26年6月18日の衆議院農林水産委員会で、竹中平蔵が問題になった。
民主党の篠原孝衆議院議員は、後藤田正純内閣府副大臣に対する質問で次のように語った。
「一つの例としてですけれども、岡さん、住友商事の相談役、この方は、いいことだと思いますけれども、住友商事が農業にも参入されて、秋田の米に目をつけられている。それから、小里さんの地元の畜産のところもやって、野菜をつくったり、農業に参入されている。これを緩くしろ、農業生産法人、企業のビジネス参入を緩くしろということをいろいろ言っているわけですね。
私は、やはりこういう意見は余りに露骨なので、抑えたりすべきだと思います。こういう人は外して議論すべきだと思います。例えば、農協のことをするのに農協の組合長とか経験者がいたっていいと思いますけれども、そういう人を全然入れていないわけです。それからしたら、片方の農業生産法人の規制緩和に深くかかわる人が入っているというのは、やはりよくないような気がするんですけれども、後藤田副大臣、これはよく考えていただかなくちゃいけないことだと思います。
今後、これは絶対考えてください。そうじゃないと、自分のところに関係する、例えば、薬のインターネット販売で、楽天の三木谷さんとかでも問題になりました。最近では、知りませんよ、週刊誌や新聞であれ、竹中平蔵さんとパソナで労働法制規制の緩和、利益相反じゃないかと言われているんです。こっちこそきちんと律していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか」

安部総理、海外に向けて市場開放を確約

安倍総理大臣は、「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」と題した論文を英紙『フィナンシャル・タイムズ』(2014年6月29日電子版)に寄稿した。
安部総理はここで、グローバル企業の要望に沿うかのように、エネルギー、農業、医療分野を外資に開放し、働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用を可能にすると確約した。

以下は、原文。

June 29, 2014 12:07 pm
My ‘third arrow’ will fell Japan’s economic demons
Shinzo Abe
There will be no fiscal consolidation without economic recovery, writes Shinzo Abe

Since I introduced a package of measures to revive Japan’s economy, there are three questions I am regularly asked about our country’s prospects. First, people want to know whether I am genuinely committed to the “third arrow” of Abenomics. Make no mistake: I am. Our structural reforms have shifted up a gear this month. We reduced Japan’s corporate taxes by 2.4 per cent this year, and will cut the rate further next fiscal year. We aim to reduce the level of the effective tax rate to the 20s over several years. This will help growth and draw international investors. Strengthening corporate governance is also critical to enhance shareholder value. 続きを読む 安部総理、海外に向けて市場開放を確約

NPO法人 万年野党の正体─新自由主義者の圧力団体

 NPO法人 万年野党とはいったい何なのか。竹中平蔵、宮内義彦、髙橋洋一、八田達夫、八代尚宏といった名だたる新自由主義者が名を連ねている。モルガン・スタンレーMUFG証券㈱・チーフエコノミストのロバート・フェルドマンも入っている。
 活動内容として、「政策の監視と対案の提示」が挙げられているが、新自由主義に反する政策を監視し、さらなる新自由主義的対案を提示するということなのか。また、国会議員の評価をするというが、これまた新自由主義に忠実かどうかを尺度にして評価するということなのか。なぜわが国の国会議員が外国人に監視されなければいけないのか。
 まさに、万年野党の正体は竹中平蔵を中心とする新自由主義者の圧力団体である、といっていいだろう。
 5月26日に設立記念イベントを行ったというが、その場所がなんとスターライズタワー。ここはパソナが所有する施設だ。

国会で問題になった竹中平蔵②

平成26年3月27日の参議院内閣委員会で、国家戦略特区諮問会議に竹中平蔵が参加していることが問題になった。以下は、山下芳生議員と甘利明済財政担当相のやりとり。

山下芳生
ちょっと曖昧なんですけど、甘利大臣自身が諮問会議の議員だということで質問しているわけですね。
それから、関連して、明日にも開催される国家戦略特区諮問会議で、特区の地域指定、それから今の雇用指針が議論されようとしております。私は、諮問会議のメンバーに竹中平蔵氏など使用者側のメンバーが複数入っていることについてこれまでも指摘して、菅官房長官は本会議の答弁で、議員が直接の利害関係を有すると考えられる議題が上がる場合には、当該議員が審議に参加しないようにできる仕組みとしたいと、会議の運営については、中立性、公平性を担保するため、万全の対策を講じると御答弁されております。だとすれば、事業主のメンバーが雇用指針を決める会議にのうのうと参加させるべきではないと思うんですが、甘利大臣、いかがですか。

続きを読む 国会で問題になった竹中平蔵②

国会で問題になった竹中平蔵①

平成26年5月29日の参議院厚生労働委員会で、竹中平蔵の発言が問題になった。
以下は、小池晃議員と田村憲久厚生労働大臣のやりとり。

小池晃
時間で測るのが労働者保護の大原則じゃないですか、労働法の。そこをやっぱり厚生労働省自らが例外をつくるような議論をするのはおかしいですよ。
今日お配りしている資料の最後に、雑誌で竹中平蔵氏がこんなことを言っているわけです。上の方ですが、ようやく話が進もうとしているので、制度設計は慎重に、非常に限られた範囲で行うこともあり得ると。ただ本当に柔軟な働き方をしたいと思っている人はたくさんいる、残業代ゼロになるとあおる議論もあるが、今でもアーティストは残業代ゼロなんですよと。
こういうアーティストだとか浅はかな認識で、労働者保護の大原則である労働時間規制に穴を開けていいはずがないじゃないですか。しかも、ここにはっきり本音が出ていると思うんだけれども、最初は極めて限定すると。しかし、これは一旦入れてしまったらば大きく広げようという狙いも、はっきり露骨に言っているわけですね。
私は、この間の労働法制の改悪の歴史を見れば、派遣法なんか典型ですよ。やっぱり、例外だといって始めたものがどんどんどんどん拡大していったと、一旦例外をつくってしまったら果てしなく広がってきたと、これが歴史の教訓なんですよ。労働者をやっぱり守る、そのためにもう本当に近代も含めて闘いで勝ち取ってきたのが労働時間規制じゃないですか。それを取り払うようなことを、厚労省が財界の圧力に屈してこんな提案を行ったというのは私は許せないことだというふうに思っています。
この産業競争力会議での厚労省提案、大臣の提案、撤回してください。
続きを読む 国会で問題になった竹中平蔵①

国会で取り上げられたパソナ問題①

 2014年5月28日に衆議院厚生労働委員会でパソナ問題が取り上げられた。
 民主党の大西健介議員が田村憲久厚生労働大臣に質問した。

○大西(健)委員
 〈……今、歌手のASKA容疑者が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたということが、社会に衝撃を与えていますけれども、一緒に逮捕された栩内容疑者、大手人材派遣会社パソナの関連企業に勤めていて、そして、このASKA容疑者と、二人が知り合ったのも、港区の元麻布にあるパソナの接待施設、仁風林だというふうに言われております。
 この施設には、現職閣僚を含めて複数の政界関係者が出入りをしていた、そのことはいろいろなメディアで報じられております。お手元に一つだけ夕刊紙の記事をお配りしておりますけれども、その中で、その一人は田村大臣であるということが言われておるんですけれども、大臣は、大臣に就任して以降、この施設に行ったことがあるかどうか、この事実を確認させていただきたいと思います。〉

○田村国務大臣
 〈これはニンプウリンと読むんですか、僕はジンプウリンだと思ったんですけれども。
 正直申し上げまして、まあ、私はどっちかわからないですよ、こういう建物があること自体、認識がなかったわけでありますが、二月の二十八日、もう一年以上前になりますけれども、昨年でありますが、南部さん、パソナの社長さんであると思いますが、私、そんなに深いおつき合いはないんですが、顔なじみではあるわけでございまして、ゲストスピーカーで話してほしいというようなことでございまして、お伺いをさせていただきました。
 三十分ぐらいお話と質疑応答をさせていただいたわけでありまして、その後、相応な食事が出て、まあ、私はほとんど食べられませんでしたけれども、いろいろな方々といろいろお話をさせていただいて、その後、帰ったということであります。
 ちなみに、私は、パソナからは、政治献金及びパーティー券は一切買っていただいておりません。
 そのときの出席者は、大手マスメディアの方々も御出席されておられました。大使館の方々もおられました。それから、大学関係者もおられました。民主党の前議員の方もおられました。そういうようなオープンな会で講演をさせていただいたということであります。〉

月刊日本講演会<竹中平蔵とは何者か!〝新自由主義に呑み込まれたアベノミクス〟>

以下の通り『月刊日本』講演会を開催いたします。
是非ご参加いただければ幸いです。

<竹中平蔵とは何者か!〝新自由主義に呑み込まれたアベノミクス〟>

●講 師/佐々木実(大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家)
●日 時/2014年7月4日(金)午後6時開演(5時30分開場)
●会 場/憲政記念館・第一会議室(東京都千代田区永田町1-1-1)
●会 費/1,000円(資料代等を含む)
●予約・問合せ/03-5211-0096 /gekkan.nippon@gmail.com(『月刊日本』編集部)

「構造改革」や「規制改革」という錦の御旗のもとで、いったい何が繰り広げられてきたのか? その中心にはいつも、竹中平蔵という男がいた。そしていま、彼は規制改革で利益を享受するパソナグループ会長の地位にありながら、産業競争力会議議員、国家戦略特区諮問会議議員として規制改革を推進しようとしている。
竹中平蔵の本質と正体とは、いったい何なのか。 乞う御期待!

水道民営化の危険性を考えるための映画

 
 『月刊日本』2014年7月号(6月21日発売)で、安倍政権が推進する水道民営化の危険性についての記事を作成するため、水道民営化に関わるDVDを2本観た。
 1本は、モード・バーロウとトニー・クラークによる告発本『「水」戦争の世紀』をベースとしたドキュメンタリー映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』。深刻化する水不足の状況からはじまり、水紛争にまで発展したボリビアの水道民営化や、水ビジネスに関わる利権を告発している。多くの証言が映画の主張に説得力を与えている。
 もう1本は、イシアル・ボジャイン監督の『ザ・ウォーター・ウォー』。新大陸を発見したコロンブスの映画を撮影するためにボリビアへ赴いた映画撮影クルーが、コチャバンバでの水紛争に遭遇するというストーリー。現在の水道民営化に対する抵抗運動が、スペインによる植民地支配に対する抵抗運動とオーバーラップして描かれる。欧米列強による支配が、形を変えつつもなお続いている現実を意識させられる。

反新自由主義の旗出 ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領①

 ベネズエラのウーゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領なき後、ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領に注目が集まっている。2014年6月14~15日には、ボリビア東部のサンタクルスで、「G77(77カ国グループ)+中国」サミットが開催され、モラレス大統領が新自由主義を痛烈に批判した。
 以下、今から8年前の2006年6月に『月刊マレーシア』に書いた原稿を転載する。

 南米の二人の指導者に注目が集まっている。ベネズエラのウーゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領とボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領の二人である。
 チャベスは、貧困層救済のための「平和革命」を掲げて一九九八年一二月の大統領選挙に勝利し、翌年二月に大統領に就いた。彼は、国営公社の民営化などの新自由主義経済路線が低所得層の生活を圧迫していると指摘し、二〇〇一年末には大規模な私有地の農民への分配、石油産業への国の統制の強化などを含む一連の新法を成立させた。二〇〇五年四月には、原油生産の操業サービス契約を結んでいる外資系企業に対し、所得税の引き上げと、ベネズエラ国営石油会社が六〇%以上の株式を保有する合弁会社に六カ月以内に移行すべきことを通告した。二〇〇五年末までに一六社が合弁方式で合意したが、難色を示していた仏トタール社とイタリア炭化水素公社が操業する油田が二〇〇六年四月にベネズエラ政府に接収され、国家管理下に置かれることになった。 続きを読む 反新自由主義の旗出 ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領①

「シャブ&ASKA」事件と労働者派遣法改正─パソナの利益のために働く政治家たち

 いま、パソナなどの人材派遣会社は、さらなる市場拡大をもたらす労働者派遣法の改正を待ち望んでいる。
 業界の利益拡大のために労働者を犠牲にするような法改正が罷り通っているのは何故なのか。「シャブ&ASKA」事件によって、それがいくらかわかってきた。
 労働者派遣事業を所管する厚生労働大臣の田村憲久氏は、大臣就任後もパソナの接待施設「仁風林」に出入りしているという。改正案に反対することを期待されている民主党も、前原誠司元代表がズブズブの関係。前原氏から頼まれて南部靖之代表は十数人の「民主党落選議員」を社員として雇い、大金を渡しているとも報じられた。これではまともな法改正ができるはずがない。
 以下、『月刊日本』平成26年6月号に掲載された、法政大学大原社会問題研究所名誉研究員の五十嵐仁氏のインタビュー記事「労働者を食い物にする経営者・政治家・御用学者」を転載する。

五十嵐 仁「労働者を食い物にする経営者・政治家・御用学者」

労働側を排除して労働政策を決めるしくみ
── 安倍政権では、再び労働分野の規制緩和が加速しています。
五十嵐 規制緩和は多様な働き方ができるようにすることであり、労働者にとってもメリットがあると説明されています。しかし、仮にそうであるなら、なぜ労働者の側から規制を緩和してほしいという要望が出てこないのでしょうか。 続きを読む 「シャブ&ASKA」事件と労働者派遣法改正─パソナの利益のために働く政治家たち