水道民営化の危険性を考えるための映画

 
 『月刊日本』2014年7月号(6月21日発売)で、安倍政権が推進する水道民営化の危険性についての記事を作成するため、水道民営化に関わるDVDを2本観た。
 1本は、モード・バーロウとトニー・クラークによる告発本『「水」戦争の世紀』をベースとしたドキュメンタリー映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』。深刻化する水不足の状況からはじまり、水紛争にまで発展したボリビアの水道民営化や、水ビジネスに関わる利権を告発している。多くの証言が映画の主張に説得力を与えている。
 もう1本は、イシアル・ボジャイン監督の『ザ・ウォーター・ウォー』。新大陸を発見したコロンブスの映画を撮影するためにボリビアへ赴いた映画撮影クルーが、コチャバンバでの水紛争に遭遇するというストーリー。現在の水道民営化に対する抵抗運動が、スペインによる植民地支配に対する抵抗運動とオーバーラップして描かれる。欧米列強による支配が、形を変えつつもなお続いている現実を意識させられる。

反新自由主義の旗出 ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領①

 ベネズエラのウーゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領なき後、ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領に注目が集まっている。2014年6月14~15日には、ボリビア東部のサンタクルスで、「G77(77カ国グループ)+中国」サミットが開催され、モラレス大統領が新自由主義を痛烈に批判した。
 以下、今から8年前の2006年6月に『月刊マレーシア』に書いた原稿を転載する。

 南米の二人の指導者に注目が集まっている。ベネズエラのウーゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領とボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領の二人である。
 チャベスは、貧困層救済のための「平和革命」を掲げて一九九八年一二月の大統領選挙に勝利し、翌年二月に大統領に就いた。彼は、国営公社の民営化などの新自由主義経済路線が低所得層の生活を圧迫していると指摘し、二〇〇一年末には大規模な私有地の農民への分配、石油産業への国の統制の強化などを含む一連の新法を成立させた。二〇〇五年四月には、原油生産の操業サービス契約を結んでいる外資系企業に対し、所得税の引き上げと、ベネズエラ国営石油会社が六〇%以上の株式を保有する合弁会社に六カ月以内に移行すべきことを通告した。二〇〇五年末までに一六社が合弁方式で合意したが、難色を示していた仏トタール社とイタリア炭化水素公社が操業する油田が二〇〇六年四月にベネズエラ政府に接収され、国家管理下に置かれることになった。 Continue reading “反新自由主義の旗出 ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領①” »

朝日新聞の報道「仁風林事件 竹中平蔵氏らを事情聴取」の不可解

 2014年6月13日午後、ネット上で以下のリンクを発見した。

朝日新聞デジタル「仁風林事件 竹中平蔵氏らを事情聴取」
2014年6月12日13時42分
 人材派遣業大手パソナが運営する福利厚生施設「仁風林」で、国会議員ら多数の政府要人が性的接待を受けていた問題で、東京地検は収賄の疑いで竹中平蔵氏らを事情聴取したことがわかった。
 この問題では、人気歌手のASKA(本名 宮崎重明)容疑者やパソナ女性従業員が麻薬取締法で逮捕されており、一連の問題は政界まで巻き込む巨大疑獄事件に発展しそうだ

 最初は、筆者も本当に朝日が報じたものだと信じたが、「http://shrturl.co/OPu2n」というURLが奇妙だ。URL短縮サービスとも違う。
 調べてみると、この偽造はshrturlというサービスによって作成されたガセネタと判明。shrturlを利用すると、インターネット上のいかなるサイトでも見た目をそのままにコピーし、テキストを改変できるらしい。
 ただ、このようなガセネタが流れること自体に意味がある。まもなく竹中氏は事情聴取されるのか。

会沢正志斎『新論』の二面性


尾藤正英は『新論・迪彝篇』(会沢安著、塚本勝義訳註、岩波文庫)の解説(昭和43年)で、次のように書いている。
〈この思想体系は、本来の性格として支配のための思想であり、「上から」の政治改革の思想であった。しかしそれが過激な現状変革の運動に挺進した青年志士たちの心をとらえ、あたかも革命のイデオロギーとして現実に機能したかのようにみえるところに、大きな問題がある。現在の学界において、本書の思想の性格に関し、対立する二様の見解が成立して、平行線を描いているのも、その微妙な性格のとらえ難さによるのであろう。しかしこれを「封建的支配秩序の合理づけとしての名分論」にすぎないとし、専ら保守的性格のものとみる見解(遠山茂樹氏「尊王攘夷思想とナショナリズム」『尊攘思想と絶対主義』所収)も、逆にこれを「抵抗権」の論理をふくむ下からの革命思想と評価する見解(上山春平氏『明治維新の分析視点』)も、いずれも一面に偏した理解であるように私には思われる。前者では、この政治論にふくまれた革新性が見落される結果となり、後者では、これが支配の思想であったことに注意が向けられていないからである。むしろ本質において支配の思想であったものが、革命運動の主たるイデオロギーとして機能したところに、私たちは明治維新という特異な政治革命の性格を考察するための手がかりを見出すことができる筈であり、本書の内容は、そのような問題を追求するための一つの素材を提供しているのではないかと考えてみたい〉

「日本精神叢書」─國體思想の精華

文部省教学局編纂「日本精神叢書」の一覧

  著者 書名
1 河野省三 『歴代の詔勅』
2 植木直一郎 『古事記と建國の精神』
3 花山信勝 『聖徳太子と日本文化』
4 志田延義 『神樂・神歌』
5 藤岡繼平 『十訓抄と道徳思想』 Continue reading “「日本精神叢書」─國體思想の精華” »