「国学・神道」カテゴリーアーカイブ

天日・天照大神・天皇の三位一体に基づく現人神天皇観の誕生

前田勉氏は、『近世神道と国学』において、次のように書いている。
〈…(玉木)正英の神籬=「日守木」解釈は、…天照大神の霊魂は今もなお天皇と「同床同殿」に生きているという神器観に、…橘家神軍伝の「大星伝」とが結びつくことによって、新たに創出されたものではなかったか。それは、文字通り天日と天照大神と天皇の三位一体にもとづく現人神天皇観の誕生を意味していた。
さらに正英の神籬解釈の特筆すべき点は、「日守木」の「日」を守護する忠誠とは、現人神天皇への忠誠であったことである。正英において忠誠とは、現人神天皇への忠誠であって、それを超えた普遍的な道徳的原理に根拠づけられたものではなかった〉
そして前田氏は、是非分別せず、ひたすらに天皇に帰依する、天皇への被虐的ともいえる絶対的忠誠のモデルにされたのが楠木正成であるとする(160、161頁)。

天皇の有徳・不徳と万世一系性の矛盾を解いた玉木正英

前田勉氏は、『近世神道と国学』において、次のように書いている。
〈…(玉木)正英は、天皇の有徳・不徳と万世一系性の矛盾という闇斎学派の人々の喉元に突きつけられていたアポリアに、彼独自の三種の神器観を媒介にして、ひとつの明快な答えを提出した。正英の弟子若林強斎によれば、それは次のようなテーゼである。
橘家三種伝の内、上に道有るは、三種霊徳、玉体に有り。上に道無きは、三種霊徳、神器に有るなり。故に無道の君為りと雖も、神器を掌握すれば、則ち是れ有徳の君なり。神器と玉体は一にして別無きなり。

(『橘家三種伝口訣』)

天皇が有徳の君主であれば、「三種霊徳」は天皇の「玉体」にある。しかし、天皇が不徳である場合、「三種霊徳」は「神器」にある。だから、不徳の天皇であっても三種の神器を掌握している限り、「有徳の君」であるという。ここでは、三種の神器の「霊徳」の不可思議な権威が天皇の有徳・不徳以上に重んじられる。普遍的な道徳以上に、天皇の万世一系性が三種の神器の「霊徳」を根拠に強調されているのである。このような三種の神器観は「垂加派の独創」(加藤仁平氏)とされる」

鬼倉足日公とすめら教

青柳種信と辛島並樹

明治時代になって神祇伯は廃止され、白川家も子爵になった。やがて、第33代の白川資長の代で白川家は絶家となってしまう。しかし、伯家神道はいくつかのルートで伝承されていた。その1つが、第30代の雅寿王によって伝授された青柳種信のルートである。 続きを読む 鬼倉足日公とすめら教

伯家神道

「息吹永世の伝」

伯家部類「白川家系図」第一頁
(『神道体系 論説編11 伯家神道』)
明治維新までおよそ800年、31代に亘って、宮中祭祀を取り仕切ってきた貴族の家系、伯家(白川家)に継承されてきた神道が伯家神道である。伯家は、花山天皇(第65代、在位984~986)の皇子清仁親王の子、延信王が寛徳3(1046)年に神祇伯に任ぜられたのがはじまりとされる。
伯家神道には、「息吹永世の伝」と呼ばれる独特の呼吸法による修行(花谷幸比古、菅田正昭共著『古神道の氣』コスモ・テン・パブリケーション、1991年、123~124頁)や、「究の字」と呼ばれる神事占法がある。 続きを読む 伯家神道