「西洋近代の限界」カテゴリーアーカイブ

スーフィーの楽器観

「魂が楽器を通じて語りかける」

The Heart of Sufism: Essential Writings of Hazrat Inayat Khan
 神秘主義思想家たちは、楽器に関して特別の観念を抱いている。スーフィーとして知られたハズラト・イナーヤト・ハーン(Hazrat Inayat Khan)もまた、『音の神秘―生命は音楽を奏でる』(平河出版社、1998年)で、独自の楽器観を示している。
彼は、1882年北インド、バローダの高名な音楽家の末裔として生まれた。祖父の創設したインドで最初の音楽学院で学び、インド全土でヴィーナー奏者、歌手として活躍した。  続きを読む スーフィーの楽器観

合気道開祖・植芝盛平の道話/道歌

道話

「武における業はすべて宇宙の真理に合わせねばならぬ。宇宙と結ばれぬは孤独なる武にすぎず、愛を生む<武産>の武とは異質のものである。合気は愛を生む<武産>の武であり、大和大愛の愛気にほかならぬ。その<武産>の武のそもそもは<雄叫び>であり、五体の<響き>の槍の穂を阿吽(あうん)の力をもって宇宙に発兆したものである。
五体の<響き>は心身の統一をまず発兆の土台とし、発兆したるのちには宇宙の<響き>と同調し、相互に照応・交流しあうところから合気の《気》が生じる。すなはち、五体の<響き>が宇宙の<響き>とこだまする<山彦>の道こそ合気道の妙諦にほかならぬ。 続きを読む 合気道開祖・植芝盛平の道話/道歌

言霊と古今伝授

古今和歌集解釈の秘説

 古今伝授とは、古今和歌集の中の語句の解釈に関する秘説を伝授することである。室町時代の歌人・東常縁(トウノツネヨリ)は、藤原定家より受けた御子左(ミコヒダリ)の享受とともに、正徹、尭孝といった中世を代表する歌人に学び、切紙に記した免許目録を弟子に伝授する方法によって、連歌師の宗祇に伝授したという。この切紙を中核とする伝授により、古今伝授が確立された。 続きを読む 言霊と古今伝授

井上正鐵と禊教

伯家「永世の伝」を継承

 井上正鐵は寛政2(1790)年8月4日に安藤真鐵の次男として生まれた。寛政12(1800)年に母方の縁で今治の藩士、富田惣治の養子となり、その本姓である井上を名乗るようになった(黒住忠明、坂田安儀校注『神道大系 論説編28 諸家神道(下)』神道大系編纂会、1982年、禊教9~11頁)。 続きを読む 井上正鐵と禊教

大石凝真素美と古神道

水茎文字と天津金木


天保3(1832)年11月、近江国甲賀郡油日村(現滋賀県甲賀郡)に生まれた 大石凝真素美 ( おおいしごりますみ ) (明治6年までは望月大輔)は、真言密教、天台密学を学んだ後、京都で尊王攘夷の志士と交流していた。36歳の時に、美濃国不破郡宮代村の修験者・山本秀道に弟子入りしている。大石凝は、山本とともに俵佐村の勝宮(勝神社)で、鎮魂帰神法を実践していたとされる。

鬼倉足日公とすめら教

青柳種信と辛島並樹

明治時代になって神祇伯は廃止され、白川家も子爵になった。やがて、第33代の白川資長の代で白川家は絶家となってしまう。しかし、伯家神道はいくつかのルートで伝承されていた。その1つが、第30代の雅寿王によって伝授された青柳種信のルートである。 続きを読む 鬼倉足日公とすめら教

本田親徳の古神道

神道霊学中興の祖

本田親徳
 文政5(1822)年1月に薩摩藩で生まれた本田親徳(ほんだちかあつ)は、幼い頃から漢学と剣道を修業した。天保10(1839)年、17歳のときに京都に出て、その後江戸に移った。会沢正志斎に入門し、和漢の学を学んでいる。平田篤胤の家にも出入りしていたとされている。
京都に滞在していた天保14(1843)年、21歳のとき、狐憑きの少女に会い、憑霊状態で和歌を詠むのに衝撃を受け、霊学研究に入ったという。この「和歌を詠む」という点が、極めて重要なのではなかろうか。彼は、歌の機能に対する特別な思いを抱くようになったに違いないからである。
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伯家神道

「息吹永世の伝」

 

伯家部類「白川家系図」第一頁
(『神道体系 論説編11 伯家神道』)
 明治維新までおよそ800年、31代に亘って、宮中祭祀を取り仕切ってきた貴族の家系、伯家(白川家)に継承されてきた神道が伯家神道である。伯家は、花山天皇(第65代、在位984~986)の皇子清仁親王の子、延信王が寛徳3(1046)年に神祇伯に任ぜられたのがはじまりとされる。
伯家神道には、「息吹永世の伝」と呼ばれる独特の呼吸法による修行(花谷幸比古、菅田正昭共著『古神道の氣』コスモ・テン・パブリケーション、1991年、123~124頁)や、「究の字」と呼ばれる神事占法がある。 続きを読む 伯家神道

古神道関連文献

関連書籍類

 

著者 書籍写真 書名 出版社 出版年 備考
水波一郎 神伝禊法─新時代の霊的トレーニング デザインエッグ社 2013年12月 『神伝禊法入門』を全面的に書き直したものが本書である。『神伝禊法入門』から30年近くの時が流れた。その間、禊は進歩した。火の禊は光の禊に変わり、修行法としてより高度になった。前書で書かなかった禊の神秘をも紹介している。スピリチュアルが溢れ、心の成長を唱える人も多いが、幽的身体そのものを進化させる秘儀がない。神伝禊法は、最も価値のある霊的トレーニングである。
ウィリアム・トゥフェザー、中矢伸一、ベンジャミン・フルフォード 古神道とネイティブアメリカン スピリチュアルウォリアーたちの未来デザイン会議 ヒカルランド 2012年8月 ネイティブアメリカンのアパッチ族から兄弟たる神道の国日本に熱きメッセージが届く!
「あなた達日本人は今、霊的戦争の真っ最中にあるにもかかわらず、その自覚が全くないのです。この戦争はリアルなものです。戦わずして、敵の軍門に下ることはあってはならないことです。なぜならあなた方日本人こそ、世界に冠たるスピリチュアルウォリアーズそのものだからです」
中矢伸一 日月神示と古神道が隠し持つ救国のマニュアル ミロクの経済学 ヒカルランド 2012年3月 日本は欧米略奪型の“集金マシン”経済を一掃し、今こそ、古来連綿と保ち続けた“弥栄永遠”“天産自給”の経済モデルを実現しなければならない―世界は日本の「その選択」を待っている。名著『神道経済救国論』待望の完全リニューアル版。
山田雅晴 2013年太陽系大変革と古神道の秘儀 たま出版 2012年1月 古神道の最大秘儀「天の岩戸開き」は、太陽系の霊的大変革だった。―2013年から本格化するグレートチェンジ「天・地・人の岩戸開き」により、地球と人類の急激な霊的進化が始まる。『決定版・神社開運法』『太陽の神人・黒住宗忠』などで人気の古神道家が、ついに預言・警世の書を刊行。古神道修行などで発現した霊能力により、アカシックレコードへのアクセスに成功。大変革を乗り切るための「霊的秘策」を公開する。
山蔭基央 神道の神秘―古神道の思想と行法 春秋社 2010年11月 神道は日本人の精神の奥底にある生命であり、日本文化の基盤である。深遠なる霊学から「鎮魂」の行法まで、古神道を伝承し、発展させてきた経験から、新時代へ向けて神道の真髄、特にその神秘的な側面を易しく語る。
大宮司朗 古神道の身体秘伝―「古事記」の密義 新装版 ビイングネットプレス 2008年8月
古神道の秘伝行法 ビーエービージャパン 2006年2月 続きを読む 古神道関連文献

三木清の思想

 ロゴスとパトスの統合、理性・言語と感情・イメージの統合を目指した思想家・三木清が見直されつつある。
アジア伝統社会の原理と西洋近代の自由主義、アジアの神秘的「知」と西洋近代の合理的「知」の対立を超えて、新しいアジア社会、新しいアジア的「知」を形成するための思想として、いまなお三木の思想から学ぶべき点が少なくないからである。中村雄二郎氏ら日本を代表する哲学者たちは、西田幾多郎とともに三木の問題意識に触発された部分が小さくない。
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