【書評】『アジア英雄伝』坪内隆彦著『産経新聞』2008年12月7日付朝刊,10頁

 西欧列強に蹂躙されたアジアの国々で植民地支配からの解放に苦闘した「志士」たちを日本との関係に着目して描いた列伝。取り上げられるのは,朝鮮開化派の指導者,金玉均▽フィリピン独立運動の先駆者,アンドレス・ボニファシオ▽西洋近代を徹底批判したパキスタンの詩人,ムハマンド・イクバール▽インドの国父と慕われるチャンドラ・ボース▽ビルマ(ミャンマー)独立の父・アウン・サンなど25人。
 著者は戦前に刊行された膨大な資料に当たり,「志士」たちを歴史的な文脈の中で生き生きと描く。同時に彼らと日本の「興亜陣営」の緊密な連携に迫る。そこから,かつてアジアには西欧に対抗すべく「汎アジア・ネットワーク」が構築されつつあったことが浮き彫りにされる。(展転社・2625円)

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