『大亜細亜』創刊の辞

 平成28年6月30日、折本龍則氏と小野耕資氏が主宰する大アジア研究会の機関紙『大亜細亜』が創刊された。
創刊号コンテンツ
●創刊の辞
●「笠木良明と『大亜細亜』」(坪内隆彦)
●「アジア主義に生きた杉山家の伝承」(杉山満丸)
●「王道を貫いた大三輪朝兵衛」(浦辺登)
●「陸羯南のアジア認識」(小野耕資)
●「大アジア主義の総説と今日的意義」(折本龍則)
●「インド哲学とシャンカラ」(金川雄一)
●「時論『価値観外交』の世界観から『興亜の使命』へ」(小野耕資)
●「史料『興亜会設立緒言』」(折本龍則)
●「大亜細亜医学のなかの日本①」(坪内隆彦)
●「リカルテ生誕一五〇年」

 以下、創刊の辞を紹介する。

 〈欧米型の政治経済システムの弊害が世界を覆うようになって久しい。それはデモクラシーとキャピタリズムの限界として露呈してきた。しかも、問題は政治経済に止まらず、人類の生命・生態系を脅かす様々な領域にまで及んでいる。
 人間生活を支える相互扶助・共同体機能の喪失、精神疾患の拡大に象徴される精神的充足の疎外、地球環境問題の深刻化などは、そのほんの一例に過ぎない。これらの問題の背景にある根源的問題を我らは問う。それは、行き過ぎた個人主義、物質至上主義、金銭至上主義、効率万能主義、人間中心主義といった西洋近代の価値観ではなかろうか。
 これらの価値観は限界に達しつつあるにもかかわらず、今なお、大亜細亜へ浸透しようとしている。新自由主義の大亜細亜への侵食こそ、その具体的表れである。亜細亜人が、時代を超えて普遍性を持ちうる、伝統文化・思想の粋を自ら取り戻し、反転攻勢に出る秋である。今こそ我らの生命と生態系を守るとともに、文明の流れ自体を変えなければならない。

 かつて大亜細亜の英雄たちは、列強による邪悪な植民地主義に立ち向かい、西洋近代文明と正面から対峙した。頭山満を中心とする玄洋社が亡命亜細亜人に協力したことに示される通り、境遇と志を共にする亜細亜人が民族を超えて連帯した。それは大亜細亜主義、興亜論として大きな思想潮流をなしていた。しかも、皇道政治、皇道経済の提唱に見られるように、先覚者たちは國體に則った政治経済の在り方を模索し、欧米型政治経済システムの超克を目指した。
 メッカ巡礼を二度敢行した興亜論者田中逸平は、「大亜細亜」の「大」とは領土の大きさでなく、道の尊大さを以て言うとし、大亜細亜主義の主眼は、単なる亜細亜諸国の政治的外交的軍事的連帯ではなく、大道を求め、亜細亜諸民族が培った古道(伝統的思想)の覚醒にあると喝破した。大道への自覚と研鑽、伝統の回復こそが大亜細亜の志なのである。
 國體の理想に基づき国内維新を達成し、亜細亜と道義を共有していくことが、我らが目指す道なのではなかろうか。それが「八紘為宇の使命」にほかならない。
 興亜の先覚荒尾精は「天成自然の皇道を以て虎呑狼食の蛮風を攘ひ、仁義忠孝の倫理を以て射利貪欲の邪念を正し、苟くも天日の照らす所、復た寸土一民の 皇沢に浴せざる者なきに至らしむるは、豈に我皇国の天職に非ずや。豈に我君我民の 祖宗列聖に対する本務に非ずや」(『対清弁妄』と説いた。
 残念ながら、わが国は大東亜戦争に敗れ、占領期の言論統制を経て、大亜細亜の理想は封印された。崇高なる民族的使命を忘却し、政治家たちは目先の政局の動向や経済成長率、株価の動向に一喜一憂し、真摯に向き合うべき理想を忘れている。
 今こそ日本人は、「天孫降臨以来の我が国の天職」たる大亜細亜の理想を回復し、文明転換の流れを率先して牽引すべきである。大亜細亜の理想の封印を解くため、今本紙を創刊する。〉

コメントを残す