『月刊日本』連載「志士の魂を揺り動かした十冊」、『洗心洞箚記』へ

 平成24年に『月刊日本』の連載「明日のサムライたちへ 志士の魂を揺り動かした十冊」を開始してからまもなく3年。八冊(山鹿素行『中朝事実』、浅見絅斎『靖献遺言』、山県大弐『柳子新論』、本居宣長『直毘霊』、蒲生君平『山陵志』、平田篤胤『霊能真柱』、会沢正志斎『新論』、頼山陽『日本外史』)を終え、5月号から大塩中斎『洗心洞箚記』に移ります。
 初回は、『洗心洞箚記』や大塩檄文に示された「万物一体の仁」にふれながら、天保8(1837)年の大塩挙兵に至る過程を描きました。
 昭和維新運動に挺身した中村武彦氏は大塩檄文を高く評価していました。

 〈悪政に対する憤激とともに、おのずから恋闕の思いがにじみ出て、江戸大阪を大事にして、京都を無視する幕府の政策を憤り、「天照皇大神の世」を理想とし、「神武帝御政道」を目標として、復古維新を念願する大塩中斎の精神が読みとれるのである。
 しかも、彼の憂うるところ、彼の呼びかける相手は、武士階級知識階級ではなく、農民であり、町人であり、一般庶民大衆である。庶民大衆を思う心が天皇を慕う心に直結しているのである〉
 さらに檄文には、「天子は足利家以来、全く御隠居同様で賞罰の権すら失はれてをられるから下々の人民がその怨みを何方へ告げようとしても、訴へ出る方法がない」と書かれています。中村氏は、この大塩の嘆きが、必然的に皇政復古の願いにつながらざるを得ないと説いています。


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