TPPは空中分解。日米並行協議が要注意

 平成26年2月25日、シンガポールで行われたTPP閣僚会合は、目標としていた大筋合意には達せず、閉幕した。次の会合のめども立っていない。アメリカ通商代表部のフロマン代表は「事務的作業を続けるが、今後の計画はない」と述べざるを得なかった。
 しかし、楽観はできない、日米並行協議で不平等条約を押し付けられる危険性があるからだ。
 菊池英博氏は『月刊日本』平成26年3月号で次のように語っている。
 「かといって日本の状況は安心できるものではないのです。TPPと並行して日米で二国間協議が進められているからです。TPPとは別に日米FTAのようなものがまとまれば、それは米韓FTAの二の舞を演じることになってしまうのです。悪夢のシナリオは、日米が関税については事実上棚上げして、不平等条約を結ばされることです。
 米韓FTAには、投資家が期待した利益を上げられなかった場合に政府を相手に訴えることができるというISD条項(投資家対国家紛争解決条項)や、一旦規制を緩和したら、その後何が起こっても法律を変えられないラチェット条項だけではなく、著しく不平等な条項が含まれているのです。スナップバック条項もその一つです。スナップバックとは「手の平を返す」という意味で、韓国は米韓FTAの条項を変更できないにもかかわらず、アメリカだけが一方的に条項や関税を変えられるという内容です。こうした不平等条約を押し付けられる危険性があるのです。
 TPP交渉の動向を注視するだけではなく、日米二国間の並行協議に目を光らせる必要があるということです。すでに、それを先取りする形で国家戦略特区での規制改革が進められようとしています。竹中氏は、しきりにスピード感が大事だと強調し、一気に規制改革を進めようとしています」
 同様に東谷暁氏も次のように警告している。
 「アメリカはTPP交渉が停滞した場合、二国間交渉で事態を打開しようとします。TPPと二国間交渉は車の両輪のようなもので、アメリカはこれらを使って自分たちに最も有利な方向へと交渉を導いていきます。
 TPP推進派の人たちの中には、TPPのそれぞれの分野は独立しており、アメリカは他の分野を絡めた交渉はしないと言っている人もいますが、アメリカの交渉官がそんな子供のようなことをするはずがありません。アメリカは他の分野も絡めながら、それでも足りなければ二国間交渉も駆使しつつ自分たちの国益を追求しています。それゆえ、我々はTPPだけでなく、二国間交渉にも注目する必要があります」

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