混合診療拡大によって、まともな医療が受けられなくなる

先端医療をテーマとしたフジテレビ連続ドラマ『ラストホープ』でも取り上げられた混合診療(保険診療と保険外診療(自費診療)の併用を認めること)。
2013年2月15日、政府の規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)が、今後取り組む59項目の検討課題を示した。ここには、労働分野の規制改革など広範な項目が並んでいるが、特に危険なのがこの「混合診療」の範囲拡大なのである。
日本医師会は、現在保険の対象となっている診療が保険外となる可能性を指摘している。
全国保険医団体連合会は「混合診療を推進する人たちの本当の狙いは、決して患者さんの選択肢を広げることではなく、本来公的医療保険で扱うべき医療の範囲を縮小し、その分を自由診療に移し変えようというもの」「保険給付の範囲がどんどん縮小され、公的保険では必要な医療まで受けられなくなる危険性があります。これでは、患者さんの選択肢を広げるどころか、逆に『今よりも選択の幅が狭まる』ことになります。 」「相次ぐ医療改悪で、ただでさえ日本の患者負担は先進国一高くなっており受診抑制が広がっています」と主張する。
さらに、全国保険医団体連合会は次のように指摘する。
〈政府の医療「改革」がめざす方向は、公的医療を縮小し、保険のきかない医療を拡大しようとするものです。
現在は、公的医療保険約30兆円のほかに、保険のきかない自費医療に約4兆円が使われているとされています。その4兆円の内訳は、薬局で買う薬代をはじめ、差額ベット代や入れ歯の一部、眼鏡・コンタクトレンズ代、鍼灸治療などです。
先進医療や薬剤など「いわゆる『混合診療』」をいっそう拡大するとともに、医療機関の経営を営利企業に開放し、医療分野をもうけねらいの巨大な市場とすることをめざしています。一方、公的医療保険に不安を感じる中高所得者層を対象に、新しい民間医療保険商品や、医療用の貯蓄商品を開発し、大規模に普及することも考えています。
医療・社会保障の「構造改革」とは、わが国の社会保障制度の中軸である社会保険制度を、限りなく私的保険に近づけようとするものです。「小さくて効率的な政府と民需主導の経済成長」を基本方針に、医療・社会保障における国民の「自己責任」を原則化し、社会保障に対する国の責任を放棄するものです。国の経済と財政に負担をかけない仕組みをめざし、社会保障制度を再編・縮小して、新たな市場をつくりだし、日本やアメリカなどの営利企業の参入をめざすものです〉
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/gkhtml/gktop/gk4s/gk4s1p/gk4s1p.html
要するに、富裕層しかまともな医療が受けられなくなるということだ。まさにこれは、マイケル・ムーアが映画『シッコ』で描いた悲惨なアメリカの医療の姿にほかならない。

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