折口信夫のアジア統一論

産霊とマナによる統一

安藤礼二氏は、折口信夫が北一輝・大川周明・石原莞爾ら「超国家主義者」たちがアジアの統一・協同させる政治的・経済的な革命を志向したのに呼応するかのように、信仰上の、精神的な革命を断行しようとしたと捉えた(安藤礼二『神々の闘争 折口信夫論』講談社、2004年、111頁)。そうした折口の試みは、日本の古道を普遍宗教として提示し、イスラームを含めた他の宗教との融合を模索した田中逸平の試みとも通じている。安藤氏は、次のように折口の信仰上の革命をまとめる。
「折口は『産霊』によって、一方においてこのような『最高・至高』の一神教イスラームの絶対帰依を要求する超越的な創造神『アッラーフ』と重なり合う概念を提出し、またもう一方において伝統的な『神道』の立場から、そしてシャーマニズムの根源に見出されたマナの概念に基づいて、この同じ『産霊』を万物に内在し万物を生成させる『神即自然』でもある、きわめてスピノザ的な内在的創造神としてもとらえている」(231頁)

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