佐藤清勝『世界に比類なき天皇政治』(昭和十八年六月)読書ノート⑥

佐藤清勝は、『世界に比類なき天皇政治』第二編「日本の天皇政治」第一章「天皇政治の原理」において、次のように書いている。
「…日本国家と欧米国家とは、その外形を同ふするもその本質を異にして居る。我等の国家は父子兄弟子孫の派生的国家であるに対し、彼等の国家は旅人の団体の如き、寄合的国家である。我等の国家は一家族の拡大したる国家であるに対し、彼等の国家は各種異民族の四方より集り来たる国家である。我等の国家は完全一体であるに対し、彼等の国家は混合雑駁体である。斯の如く国家をなす成員の性質を異にし、国家の本質を異にするが故に、我等の国家観念と彼等の国家観念とは異ならざるを得ぬ。我等の国家観念は相親相愛であり、和合輯睦であるに対し、彼等の国家観念は抑圧強制であり、権力統制である。我等の国家観念は人情的であり、道徳的であるに対し、彼等の国家観念は理智的であり、強力的である。斯の如く、国家観念を異にするが故に、我等の政治思想と彼等の政治思想とは異ならざるを得ぬ。我等の政治思想は愛人撫民であるに対し、彼等の政治思想は命令服従である。我等の政治思想は道徳的であるに対し、彼等の政治思想は権力的である」(九十七頁)

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