書評 フィリップ・リンベリー他著『ファーマゲドン』

 破傷風菌やジフテリア菌といった細菌に感染した際には、抗生物質が投与される。しかし、抗生物質は人間の健康保持に必要な常在菌までも殺してしまい、人体に重大な影響を及ぼす可能性があると指摘されている。
 それ以上に恐ろしいのは、抗生物質が効かないスーパー耐性菌の出現だ。2050年には年間1000万人がスーパー耐性菌で死亡すると予測されている。民主党の原口一博元総務相が昨年入院中に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に院内感染したが、これもまたスーパー耐性菌の一種である。
 本書はまた、細菌が抗生物質に対する耐性を獲得することによって、一般的な感染症もまた、再び致命的な病気になると警告している。腸チフス、結核、肺炎、髄膜炎、破傷風、ジフテリア、梅毒、淋病などに対して有効な治療法がなくなるということを意味する。
 元凶は、畜産における抗生物質の乱用だ。そして、この乱用の原因が、本書が指摘する「効率と生産性を徹底的に追求する工業型農業」である。例えば、豚を効率的に飼育するためには、狭い場所にぎゅうぎゅう詰めにして飼育した方がいい。土地も、必要な労働力も小さくて済む。しかし、豚をこんな劣悪な環境に押し込め、ろくに運動もさせていないので病気にかかりやすくなる。そこで、病気予防のために大量の抗生剤が使われることになるのだ。抗生剤は豚の成長を早める働きもあるため、なおさらその使用に拍車がかかる。
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東アジア共同体とジョセフ・ナイの恫喝

 東アジア共同体はアメリカによる圧力でつぶされたのか。『「対米従属」という宿痾』(飛鳥新社)において、鳩山由紀夫氏は「…日本も東アジア全体の共同体を構想することが大事だというメッセージを出させていただきました。このことによって、米国の一部の政府関係の方々が、鳩山はアジアから米国を外すつもりなのではないかと、ある意味では勘ぐった発想で、警戒感を強めたのではないかと思います」と語っている。
これに応じて、孫崎享氏はジョセフ・ナイが『日米同盟 vs 中国・北朝鮮』(文春新書)の中で、「もしも米国抜きで、日・中が東アジアを動かしますよ、ということになれば大変なことになりますよ」と書いていることについて、次のように語った。
「ジョセフ・ナイは基本的には学者ですから、普通はそんなヤクザまがいのセリフを言うわけがないのですが、そこまで言ったということは、米国内で、鳩山の東アジア共同体構想は米国外しを意図しており許せない、という批判がすでに出ていたのだろうなあと思います」

内田良平翁「金利中心主義の経営方針を改めよ」(大日本生産党産業調査部編『日本新経済策 前巻』)

 金融資本主義が行き詰る中で、産業中心の企業経営への転換が求められている。
 昭和維新運動が昂揚した昭和7年、内田良平翁が総裁を務める大日本生産党は次のように主張していた。

 「……要するに、日本主義的経済社命建設に対する経済経綸の大綱は、左の各項にて尽さるゝ訳である。
 一、金融機関の国家管理断行
 二、産業統制及監督機関の設定
 三、各産業個々の経営機構の合理化と之を基準とする各産業経営組織の統制断行
 四、産業補助企業の国家管理の断行
 …金融機関を国家にて管理すると共に、金融制度の徹底的改正を断行し以て、金融機関の統制を紊す根本原因たる金利中心主義に依る経営方針を改善して、産業中心に依る企業経営主義の下に、産業振興助成の責務を全ふせしむる事である。
 之に依って金利中心に依る弊を除去すると共に、企業投資に対する真剣なる需要が起り産業の振興を促進するに至るは必然である。
 茲に於て上述の如く、経済機構の改善をなすに伴ふて起るは海外の資本主義国の経済機構対策問題であるが、之は今日より良化さるゝ事は現在の如く、無統制なる経済機構の下に於ける種々の弊害を根本的に改修したる機構の下に於て、必然的の事であつて多言を要せざる事である.殊に金融機関の国家統制下に於ては、如何なる経済政策も有効に作用するに至る、故に産業中心の経営方針の下に合理的手段を講ずる事が出来る訳である.
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対米追従是正のための改革「東アジア共同体構想と年次改革要望書の見直し」


小泉俊明衆議院議員は、『ビジネスジャーナル』(平成24年10月26日)に掲載されたインタビュー記事「民主党は、年次改革要望書廃止に反発したアメリカに潰された!? 」の中で、次のように語っている。

〈――今回の新書は『民主党大崩壊!』という過激なタイトルで、民主党が崩壊した内幕を語っていますが、その崩壊は鳩山由紀夫政権の改革がきっかけだったとは驚きです。

小泉俊明氏(以下、小泉) マスコミ報道では、鳩山政権は沖縄・普天間基地移設問題の迷走の末に総辞職したようになっていますが、実際には、鳩山政権のいくつかの意欲的な改革によって米国側が反発し、総辞職するように仕向けたのです。マスコミ的には評価されていませんが、米国との関係の上では、既存の政治を見直した大きな改革が2点あります。東アジア共同体構想と年次改革要望書の見直しです。 Continue reading “対米追従是正のための改革「東アジア共同体構想と年次改革要望書の見直し」” »

『月刊日本』連載「志士の魂を揺り動かした十冊」、『洗心洞箚記』へ

 平成24年に『月刊日本』の連載「明日のサムライたちへ 志士の魂を揺り動かした十冊」を開始してからまもなく3年。八冊(山鹿素行『中朝事実』、浅見絅斎『靖献遺言』、山県大弐『柳子新論』、本居宣長『直毘霊』、蒲生君平『山陵志』、平田篤胤『霊能真柱』、会沢正志斎『新論』、頼山陽『日本外史』)を終え、5月号から大塩中斎『洗心洞箚記』に移ります。
 初回は、『洗心洞箚記』や大塩檄文に示された「万物一体の仁」にふれながら、天保8(1837)年の大塩挙兵に至る過程を描きました。
 昭和維新運動に挺身した中村武彦氏は大塩檄文を高く評価していました。
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