TPP、年内妥結は無理か?

 『日本農業新聞』(2013年10月26日)の報道によると、マレーシアのジャヤシリ首席交渉官は、同国訪問中のJAグループ代表団との会談(10月24日)で、TPP年内妥結について「まだ多くの課題があり、各国の国内手続きも残っている。年内に交渉を終了させるのは非現実的で、こだわるべきではない」と述べた。
ジャヤシリ氏は、知的財産分野での対立について「現時点でテーブルに出ている内容は受け入れることができない」と強調。「どの国も懸念していることがある。それにきちんと対処できる方法を交渉して見つけ出す。この交渉を成功で終わらせるためには柔軟性が重要だ」とも述べたという。

稲村公望先生「日本、情報戦に敗北す」全文英訳

以下は、『月刊日本』平成25年10月号に掲載した稲村公望先生の「日本、情報戦に敗北す」の全文英訳です。

Japan Losing the Information War
Kobo Inamura
Visiting Professor
Chuo University

Japan Falls from Position as Representative of Asia

Interviewer: Professor Inamura, you went back to the Fletcher School of Law and Diplomacy in the United States, where you studied in the mid-1970s, and were shocked to see how much Japan’s presence has declined.

Kobo Inamura: Until the mid-1980s interest in Japan was extremely high in the United States, and Japanese studies were lively. The Edwin O. Reischauer Institute of Japanese Studies was established at Harvard University in 1973, Harvard Professor Ezra Vogel wrote Japan as Number One in praise of Japanese-style management in 1979, and the Reischauer Center for East Asian Studies was opened at Johns Hopkins University in 1984. Continue reading “稲村公望先生「日本、情報戦に敗北す」全文英訳” »

賀茂真淵『祝詞考』①

 『祝詞考』は賀茂真淵が最晩年の明和5(1768)年に書いた『延喜式』祝詞の注釈書。門人の荒木田久老によって、真淵没後30余年を経て刊行された。
上巻冒頭に「事と言は、古へ相通はし書事、万葉に多し、字に泥む事なかれ」と書かれている。これは本居宣長の『古事記伝』にある「抑意と事と言とは、みな相称へる物」と響き合う。中巻の大祓詞の部分は「大祓詞考」とも呼ばれる。

契沖『和字正濫妙』①

 契沖が書いた語学の専書には、以下の7点がある。
一、正字類音集覧  延宝4(1676)年成
二、正語仮字篇   貞享2(1685)年成
三、詞草正採鈔   貞享4(1687)年成(偽撰本の疑あり)
四、和字正韻    元禄4(1691)年設
五、和字正濫鈔   元禄6(1693)年成
六、和字正濫通妨抄 元禄10(1697)年成
七、和字正濫要略  元禄11(1698)年成

『契沖全集 第10巻』(岩波書店、1973年)に収められた、国語学者の築島裕による「解説 契沖述作の語学書について」によると、以上の7点は、内容によって類別すると、次の4類となる。
第一類 正字類音集覧……唐音(契沖当時のシナ現代語音と考えられる)によって漢字を類聚したもの
第二類 正語仮字篇・和字正韻……万葉仮名の字母を、いろは順に分類したもの
第三類 詞草正採鈔……枕詞を意義により分類したもの
第四類 和字正濫妙・和字正濫通妨抄・和字正濫要略……仮名遣いについて述べたもの
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TPP─「大筋合意」という宣伝

 TPPについて、新聞が「大筋合意」という言葉を用いて報じることが増えてきている。この言葉は、着々と合意に進んでいることを宣伝するための表現なのだろうか。
 「大筋」を辞書で引くと「物事の内容のだいたいのところ、また、基本的なところ。あらまし。大略」とある。つまり、大筋合意とは、細部は別として、基本的な所ではすべて合意するということだろう。
 しかし、TPP交渉は、現状では、国有企業への優遇措置をどうするか、著作権の保護期間をどうするか──などで、基本的な合意に達していません。
 驚くべきことに、『産経新聞』の本田誠記者が「大筋合意は最終的に一部分野のみとなる見込みだ」(2013年10月3日付)と書いている。一部分野のみの合意が、なぜ「大筋合意」なのだろうか。
 マスコミが「大筋合意」という言葉に、いかにこだわっているかを示している。

パソナ・グループ会長・竹中平蔵氏と雇用分野の規制緩和

 2013年10月1日に開催された産業競争力会議で、人材派遣会社パソナ・グループ会長を務める竹中平蔵氏がまとめた資料が配布された。ここには、パソナの利益拡大のために、一気に雇用分野における新自由主義路線を加速させようという意図がにじみ出ているように見える。 同日配布された日本経済再生本部がまとめた「成長戦略の当面の実行方針」には、「雇用制度改革・人材力強化」として次のように謳われている。

「民間人材ビジネス活用の加速や待機児童の解消など、人材力強化や雇用制度改革に向けた取組を早期に進めるとともに、国立大学改革プランを本年10月を目途に取りまとめ、人事給与システム改革をはじめとする大学改革の加速を図る。
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